tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカ経済再建 その1: 2つの方法

2011年08月15日 10時49分00秒 | 経済
アメリカ経済再建 その1: 2つの方法
 今日は終戦記念日、今日も、あの日のように朝から暑い日差しです。それから66年、日本は早期に経済再建を果たし、一方戦後、世界経済の支配を続けてきたアメリカ経済はいよいよ行き詰まりのようです。そして、世界中がアメリカの景気回復を願い、アメリカも経済力の回復に一生懸命です。

 実体経済から見れば、アメリカの経済が落ち込むといってもせいぜい年に1パーセントとか3パーセントかで、欧・中・日などの対米輸出が落ち込んでも、伸びるアジア・ビジネスを活性化すれば、十分 カバーできると思われるのですが、問題は経済問題よりも政治問題でしょうか。

 ところで、アメリカ経済の再建を考える場合、最近の論調を見ていて感じることは、方法は基本的に2つあり、いま、アメリカ自体も含め、多くのエコノミストや政治家が考えている方法は、どういうわけか「巧くいきそうもない方法」に固執しているように見えて仕方ありません。
 前々回から書いていますように、実体経済を見ずに、金融政策に固執するといった様相です。

 アメリカ経済の基本的な問題点を、歯に衣着せずにいえば、生産より余計に消費 する状態から抜け出せない(抜け出そうとしない)ということでしょう。
 戦後のアメリカは「バターも大砲も」といわれたように、巨大な生産力で経済をカバーし、世界を援助できる黒字国でした。
 だからこそ、ドルは金1オンス=$35という、今なら夢のような価値(現在は1オンス=$1800を越えそう)を持っていたのです。

 しかし、このアメリカも、生産力が次第に落ち、消費の伸びは続いて、70年代に入ると経常赤字の年が増え、80年代には経常赤字が定着してしまいました。60年代の終わりには、それを見越したのでしょう、$35持って金1オンスを買うところが増え(例えばフランス)、アメリカの金準備が急減し、1970年のニクソン・ショック(金兌換停止)が起こり、この、「ドルのペーパーマネー化」が事態を一層悪化させたようです。

 ドル価値の維持(アメリカ経済の再建)には、経常赤字を直して、昔のように経常黒字(トントンでも)にすることが必要ですが(経常黒字の日本 はいつも円高です)、それは解っていても、問題はそれをどうやってやるかです。そして現実は、2011年の今日まで、ずっと失敗の連続です。
 そして今採られているのも、今迄、失敗の連続だった金融政策中心のアプローチです。

 アメリカ経済再建のためには、もうひとつ、実体経済中心のアプローチがあるはずですが、これをやるのには、国民が背伸びをやめ、汗をかかねばなりません。
 選挙のある世界では、国民に汗をかかせる政策は、なかなか難しいようです。アメリカは相変わらず失敗を繰り返し、そのたびに日本は円高で苦労し、アメリカを助けるのでしょうか。