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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ガイトナー財務長官の発言

2011年03月23日 12時44分53秒 | 国際経済
ガイトナー財務長官の発言
 今回の大震災の発生後、投機筋の思惑が先行して円高が進行する中で、アメリカのガイトナー財務長官は、上院の委員会で、
「日本政府の復興費用や、保険会社の保険金支払いのために、米国債の売却が進むか」との質問に、
「そうは思わない」と答えたのをユーチューブで見ました。その説明として、「日本は、ベリー リッチ カントリーだ」といい、さらに、「日本の貯蓄率は高く、復興の力はある」といっています。

 投機筋の思惑で円高が進む中では、これは日本から見ても、大変適切な発言で、その後の協調介入を受けて円高は一応の落ち着きを見せました。

 円高の落ち着きは、22日の東証株価の大幅高にも繋がったのでしょうが、こうしたアメリカ国内のやり取りの中から、アメリカが何を考えているかが何となく読み取れるような気もします。

 「日本が米国債を売ったらどうする(どうなる)」という質問は、投機筋の思惑による円高進展の中で、アメリカが感じる危険を踏まえた、財務長官に対する突っ込みでしょう。

 財務長官として、即座にそれを否定したのですが、「多少売るかもしれないが、問題ない」というのではなくて、「売ることはない」と明言しなければならなかったという事は、日本による米国債の売却は、アメリカにとって、「大変な問題だ」と認識されていることを実感させます。

 そしてその理由として、アメリカ主要格付け会社が揃って日本国債の格付けを下げているにも拘らず、あえて「日本は大金持ちだ」と説明し、さらに「貯蓄率が高い(経常黒字が大幅 )」と指摘し、災害の再建はアメリカ国債を売らなくてもやれる」と言い張っているわけです。

 輻輳する日米経済関係の中で、こうした発言の中から、アメリカが日本との相互の財政の関係のあり方をどう考えているのか、確りと読み取っておくことも、日米関係の今後を考える上で、大事ではないかなどと何となく感じた一幕だったように思います。