tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

食糧価格とマネー資本主義  (4)金融規制と生活者の行動と

2011年03月04日 14時27分52秒 | 経済
食糧価格とマネー資本主義  (4)金融規制と生活者の行動と
 表題は「食糧価格と」としながら、少し話が広がりすぎたかもしれませんが、実は食糧にしても原油にしても、その他もろもろの資源にしても問題点は共通です。資本主義という土俵の中で、本来人間生活に直接関わる「実体経済」と、お金の持つ毒に冒されてしまった「マネー資本主義」という鬼子が相克しているのが現在の資本主義ではないでしょうか。

 本来世界経済は、実体経済中心、金融市場はそれがスムーズに動くようにする潤滑油、という関係がベストなのでしょうが、鬼子は育ち過ぎてしまいました。 (情報通信技術の革命が、政治的な革命にまで及ぶ問題が起こっていますが、それとの関連には、あえて触れません。)
 
 ところで、日本人は、マネー資本主義は向いていないようです。未だ舶来崇拝の残る日本人は、鵜のマネをする烏のようにマネーゲームを試みますが、なかなかうまく出来ません。
 もともと日本人は、その伝統、文化、風土からして、モノづくり、実体経済の発展に勤しむことが向いているのです。人の良い日本人にはマネー資本主義は似合いません。 この面で日本の出来る国際貢献とは何でしょうか。

 今の日本にとって2つのことが重要のように思います。
 第1は、自分がうまく出来ないからというわけではありませんが、日本はG20などの場で、過度なマネー資本主義を規制し、人類社会の健全な発展に貢献する「実体経済の発展」中心の健全な資本主義の発展を徹底して主張し、そのリーダシップを取るべきでしょう。

 第2は、そうした活動が実るにはまだまだ時間がかかり、これからも食糧や資源の価格は、不安定を続けるでしょうから、国際商品の価格の乱高下に賢明に対処する具体的な生活者(消費者)のあり方を確りと実践して見せることでしょう。

 前者については、 日本の伝統と文化に立脚した新たな「本格的な国際デビュー」が必要でしょう。後者については、日本には実績があります。第1次オイルショック(原油価格4倍)で狂乱物価を経験した日本人は、第2次オイルショック(原油価格3倍)は賢明な対応で乗り切り、ジャパンアズナンバーワンといわれました。国民があわてなければ、経済変動は最小限になることを実証 したわけです。

 投機によって過剰に変動した価格は、少し時が経てば逆の動きになります。あわてないことが、投機筋の動きを鈍らせ、マネー資本主義の跳梁の抑制することになります。

 資源価格の変動が、実体経済の需給を反映したものならば、資源消費国から資源産出国への富の移転(経済価値の贈与)になり、それは資源の開発や節減、代替資源の開発などを誘発して、実体経済の安定発展に貢献するものです。 日本は、政府も国民も、最も合理的な消費者・生活者としての行動を実践し、世界に、こうした混乱の中で、あるべき方向を示すべきでしょう。