国内経済活動活発化のための政策を問う
明けましておめでとう御座います。
今年の賀状には、新年の経済の動向を心配するものが多くありました。私も同感で、今年の経済は本当に心配です。
基本的には、$1=¥80そこそこの状態で、多くの日本産業が何処までやれるかという問題です。製造業の多く、それにサービス業でも国際競争に曝されるところにとっては、かなり無理な状態が続かざるを得ないように思われます。
すでに、自動車やバイクをタイや中国で作り、輸入販売に切り替えるケースが増えてきていますが、完成品、部品を問わず、製造業企業の海外移転は、今年は一層加速化するというのが一般的な予想です。
こうした形で進む国内産業の空洞化が、国内の雇用不振、所得機会の減少を通じて内需を不活性化し、国内産業の活動全体にマイナスの影響を広げていくというプロセスが進行する可能性は高いように思われます。
失われた10年に起きたことと同じことの繰り返しです。もし円が$1=¥60~70まで行けば、改めて「失われた10年」でしょうが、80円で止まっていてくれれば、もう少し短くて済むかもしれません。
一方、株式市場関係者の予想は、かなり強気です。出遅れ日本株が見直されるといった予想が多いようですが、その可能性はあるように思われます。日本の技術を持って、適切に海外展開すれば、企業としての収益性は高まる可能性が大きいからです。
企業収益と、国民経済との乖離は進まざるを得ないでしょう。ただ、株価の上昇は、「景気」という意味でムードを明るくしますから、資産保有者などの消費意欲を通じて、経済に、ある程度のプラス効果をもたらすかもしれません。
しかし、本当に重要なのは、GDPが増えること、つまり日本国内で経済活動が活発になることです。今の日本に必要なことはまさにこれなのですが、政府経済見通しでも、経済成長率は昨年より低くなる予想です。 いくら「仕分け」を一生懸命やっても、仕分けは予算配分の正義感の問題で、経済効果とは、あまり関係がなくなってきています。
経済学者や経済研究機関、政府、労使の中央機関などにお願いしたいのは、国内の経済活動を活発化するための政策の論議です。例えば、円高をこれ以上進めないための政策は可能なのか、言い換えれば「円レートを国際投機資本に任せて、日本の主体的な経済政策はありうるのか」といった問題です。
次回から、こういった問題を少し考えてみたいと思います。
明けましておめでとう御座います。
今年の賀状には、新年の経済の動向を心配するものが多くありました。私も同感で、今年の経済は本当に心配です。
基本的には、$1=¥80そこそこの状態で、多くの日本産業が何処までやれるかという問題です。製造業の多く、それにサービス業でも国際競争に曝されるところにとっては、かなり無理な状態が続かざるを得ないように思われます。
すでに、自動車やバイクをタイや中国で作り、輸入販売に切り替えるケースが増えてきていますが、完成品、部品を問わず、製造業企業の海外移転は、今年は一層加速化するというのが一般的な予想です。
こうした形で進む国内産業の空洞化が、国内の雇用不振、所得機会の減少を通じて内需を不活性化し、国内産業の活動全体にマイナスの影響を広げていくというプロセスが進行する可能性は高いように思われます。
失われた10年に起きたことと同じことの繰り返しです。もし円が$1=¥60~70まで行けば、改めて「失われた10年」でしょうが、80円で止まっていてくれれば、もう少し短くて済むかもしれません。
一方、株式市場関係者の予想は、かなり強気です。出遅れ日本株が見直されるといった予想が多いようですが、その可能性はあるように思われます。日本の技術を持って、適切に海外展開すれば、企業としての収益性は高まる可能性が大きいからです。
企業収益と、国民経済との乖離は進まざるを得ないでしょう。ただ、株価の上昇は、「景気」という意味でムードを明るくしますから、資産保有者などの消費意欲を通じて、経済に、ある程度のプラス効果をもたらすかもしれません。
しかし、本当に重要なのは、GDPが増えること、つまり日本国内で経済活動が活発になることです。今の日本に必要なことはまさにこれなのですが、政府経済見通しでも、経済成長率は昨年より低くなる予想です。 いくら「仕分け」を一生懸命やっても、仕分けは予算配分の正義感の問題で、経済効果とは、あまり関係がなくなってきています。
経済学者や経済研究機関、政府、労使の中央機関などにお願いしたいのは、国内の経済活動を活発化するための政策の論議です。例えば、円高をこれ以上進めないための政策は可能なのか、言い換えれば「円レートを国際投機資本に任せて、日本の主体的な経済政策はありうるのか」といった問題です。
次回から、こういった問題を少し考えてみたいと思います。