tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円高を止める具体的方法-3

2011年01月18日 11時29分19秒 | 経済
円高を止める具体的方法-3
 前回の最後の部分で述べましたように、日本が財政再建政策を確り取るようになって、 プライマリーバランスの回復の可能性も見えてきて、政府も、「これで長年の悲願が達成される可能性が出てきた」と一安心し、国民も、「これで子孫に借金を残すという心配が薄らいだ」と喜ぶのは、大変喜ばしい事で、いわば、桜田財政制度審議会、土光臨調以来の、日本経済の懸案が、解決に向けて一歩前進することです。

 もちろんこれは、政府が舵取りをするわけですが、負担するのは国民で、消費税率や社会保障負担を引き上げて、歳入を増やす事で、「民間と政府」の間の所得配分のバランスを政府側に多くするということです。
 企業で労使の配分について「 労働分配率」論争というのがありますが、これは「企業と従業員」の間の配分の関係です。財政再建は、「民間と政府」の間の配分の関係、言い換えれば「国民負担率 」を高めるということです。

 因みに、「財政支出を減らせばよいではないか」という意見はいつもありますが、圧倒的に大きいのは年金や医療費ですから、これは増えるだけです。いくら財政支出を減らそうと「事業仕分け」をやっても、財政再建が可能になるような財源が出てこないことは、経験済みです。

 しかし、本来、今日のような財政状態では国民負担率を高めてでも、財政の健全化を進めることは、大変大事な事で、国民としても、増税は嫌だなどと単純に駄々をこねるのではなく、日本経済の健全化のため、なすべき努力はするのでなければならないでしょう。

 ただしそれは「為替レートが合理的に決まる(あるいは固定相場制 )」という国際経済環境の下での話であって、今日のような、国際投機資本の思惑で為替レートが決まるような困った環境のもとでは、危険性をはらむ可能性が大きいというが、前回の末尾の指摘の理由です。
 
 万年経常黒字の日本が、財政も健全化したら、国際投機資本は一層円を便利な「シェルター」として活用する可能性が高くなり、一層の円高をもたらす可能性大です。
 それでは、子孫に借金を残す代わりに、「ますます疲弊した日本経済」を残すことになります。これは政府の借金よりもっと恐ろしいでしょう。

 逆に財政健全化をしないほうが、国際投機資本にとっては、円を買いにくくなるでしょう。だからといって、財政垂れ流しはいけないというのであれば、財政健全化と同時に、経常黒字をゼロ、あるいは、ある程度の赤字?にするぐらいの政策を併用しなければなりません。
 前々回のべた2つ目の方法は、そうした視点から言われているのだと思います。