tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2つのアメリカ

2009年03月18日 11時18分07秒 | 社会
2つのアメリカ
 巨大な公的資金の援助を受けているアメリカの保険会社のAIGが、幹部社員(数十人、多くは金融部門といわれる)に対して、総額1億6500万ドル(160億円)に及ぶボーナスを支給したことが報道され、大統領、議会も巻き込んだ大変な騒ぎになっているようです。

 1人で数億円を受け取った幹部もおり、すでに十数人は退職したといわれ、ニュースを聞いた人は、アメリカ企業の経営幹部というのは、一体何を考えているんだろうと思ったのではないでしょうか。

 国民の税金を提供していただきながら、それを右から左に幹部のボーナスに支払い、もらった人は、さっさと退社、というわけですから、常識では考えられないというのが正常な感覚でしょう。
 
 アメリカ人でも正常な感覚の持ち主ならば、当然怒り心頭でしょう。オバマ大統領、バーナンキFRB議長、ガイトナー財務長官をはじめ、多くの要人が、強烈な怒りの発言をし、あらゆる手段を講じて取り戻すべきだといっています。

 AIGというのは、かつて、日本で保険の第3分野を開拓し、アメリカが日本に市場開放を求める中で、「保険の第3分野はわれわれが開拓した分野だ、日本の保険会社に簡単に参入は許さない」などと身勝手なことをいっていたように記憶しています。

 最近では、金融部門に注力、CDS(クレジット デフォルト スワップ)などを拡大、急膨張したようですが、それが今回の金融危機で、破綻の原因になったようです。

 今回の事件で見えてくるのは、アメリカには、金に狂ったマネー・マーケットのアメリカ人と、社会常識と社会正義に敏感なアメリカ人(この方が圧倒的に多数でしょう)がいるということで、世界のマネー・マーケットを演出し、踊ったアメリカ人はごく一部だったのではないか、といったことでしょうか。

 2つのアメリカ・・・、マネー崇拝論者は、一部のアメリカ人かもしれませんが、世界中に大きな惨禍を撒き散らしました。しかし反省の声はあまり聞かれません。日本でも、カネでカネを儲けることが経済活動だと思っているような人々が増えてきているだけに、この面での先進国アメリカが、どういう結末になるのか確り見守りたいところです。