tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本型ワークシェアリング合意

2009年03月23日 15時59分49秒 | 労働
日本型ワークシェアリング合意
 先週、3月18日、09春闘の集中回答日があり、大方の主要な単組の交渉は、雇用の最重視、ベアは無理、企業によっては定期昇給実施時期の延伸といった厳しいものになりました。
 久方ぶりの連合のベア要求はあったものの、その後の経済情勢の極度の悪化に、労使交渉の現場は、適切に対応したということでしょう。

 矢張り、日本の労使関係の伝統は確りと維持されていたことはご同慶にたえません。
 そして今日、3月23日の、「政労使の日本型ワークシェアリングの合意」です。これは大変タイミングがよかったと思います。

 連合の高木会長も、春闘で振り上げたこぶしをおろして参加し、政労使三者ともこの合意について評価していると報じられていますが、これをきっかけに、今回のような予想もしない経済の変化に対しても、政労使三者が柔軟で粘り強い対応をする日本的労使関係の伝統を、改めて固め直していただきたいと思います。

 日本の労使関係の特徴は、労使が、単に自らの利害に立つのではなく、必要に応じて、自分の立場より、全体の利益、みんなに共通する利益を考えて行動することが出来るということでしょう。これは、欧米主要国をはじめ多くの国の労使関係から見れば、離れ業のように見えたり、自主性のない癒着のようにも見えるようです。

 しかし日本人にとっては、本来これは特殊なものでもなんでもなく、根底にあるのは「和」の思想で、そのよって来る所以は、自分のことと全体のことを「将来という共通の視点」を前提に、合理的に理解、先見、洞察しうるという賢明さによるものでしょう。

 1960年代、ドイツが驚異的復興をした背後には、政労使の「協調行動」の成功があったといわれます。今回の政労使の三者合意は、多分、日本経済が世界に先駆けて元気を取り戻す一助になるだろうと思います。