tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

評価すべき電機連合の決断

2009年03月09日 11時54分00秒 | 労働
評価すべき電機連合の決断
 09年の春闘(春季の労使交渉)も、3月18日の、いわゆる集中回答日に向けて、個別企業での交渉もいよいよ重要な時期を迎えているようです。

 今年の労使交渉は、世界不況がこれほど深刻になると予想されない段階で、連合としては、回復してきた日本経済の状況では「久方ぶりに」賃上げ要求も可能ではないかということで、従来の「賃金カーブ維持」に代えて「2パーセント、あるいは4000円程度の賃上げ」賃上げを要求することにしたようでした。

 しかし、残念ながら、この春闘方針は全く裏目に出てしまいました。
 アメリカが、サブプライムローン債権を証券化して売り出したことに端を発する世界的な金融危機は、瞬く間に、日本経済も飲み込んでしまいました。もともと日本経済は比較的に健全でしたが、世界的な金融クランチによる、心理的効果も含む消費の激減には、抗する術もありません。

 経済成長がマイナスに落ち込むことが確実になった時、連合は「誤って、改むるに、憚ることなかれ」と、要求内容を変えるべきだったのでしょう。連合とて、日本経済が健全に発展することを願っているはずですし、そのためにも、企業を過度に危険にさらすべきではないと思っているはずです。

 組織運動の難しさでしょうか、連合は、賃上げ要求はおろさず、合理性のない、「賃上げが景気を良くする」という、かつての論理を持ち出して既定路線を走っています(注)。

 困るのは直接交渉を行う個別企業の労使です。組合も会社の窮状は良くわかっています。要求の無理さの程度も理解しています。しかし連合の方針は変わりません。

 こうした中で、3月2日、電機連合が、今春闘は「雇用中心」を打ち出し、連合路線 と一線を隔しました。電機連合は以前から、独自に、より合理的な労使関係をもとめる路線を打ち出す歴史を持っていますが、今回も、09春闘のあるべき方向を、率先して示したという意味で、その行動は客観的な意味で評価されるべきではないでしょうか。

   
  (注):賃上げで景気がよくなるのであれば、不況のときは賃上げをすれば良いわけで、賃上げさえしていれば、不況はなくなることになります。