司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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金融庁,ライツイシューを促進へ

2011-08-23 15:35:01 | 会社法(改正商法等)
日経記事

 金融庁は,「資金調達目的のライツ・イシューに限り,米国に居住する株主に新株予約権を割り当てても,行使しないよう制限することを認める」という方向であるようだ。


 例えば,行使の条件として,内国株主であることという条件を付すことは,一見,差別的な行使条件であるように見える。

 しかし,新株予約権を行使する権利は,株主としての権利の内容ではないことから,新株予約権の行使の条件については,さまざまなものが考えられ,会社法上特に限定はなく,内国株主であることという条件を付すことも,直ちに株主平等の原則に違反するものではない,と考えられる。

 この点,いわゆるブルドックソース事件最高裁決定(平成19年8月7日民集第61巻第5号2215頁)は,「法109条1項に定める株主平等の原則の趣旨は,新株予約権無償割当ての場合についても及ぶ」と判示しているが,「(1)企業防衛のためではなく資金調達の必要性に基づくものである点を明確に説明する,(2)新株予約権などを取引所市場に上場させ、外国人株主が換金できる場を整える――の2条件を満たす場合」,本件新株予約権無償割当てには,株主全体の利益向上の観点から新株予約権無償割当てを正当化する特段の事情があり,本件取扱いが衡平の理念に反し,相当性を欠くものではないので,株主平等の原則の趣旨に反するものということはできないであろう。したがって,OKでしょうね。

cf. ブルドックソース事件最高裁決定(平成19年8月7日民集第61巻第5号2215頁)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=35027&hanreiKbn=02
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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-08-24 10:26:33
 いつも拝見しております。

 差別的行使条件の付された新株予約権の無償割当ては,それがなければ会社の存立が危うくなるほどの「必要性」を要するとするのが最高裁決定と理解しています。

 記事を見る限り,法改正ではなく,上場規程の改正にとどまるようですが,単に「資金調達の必要性」ということで,差別的行使条件の付された新株予約権の無償割当てがOKになるという理解でよいのでしょうか。
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