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「コップン・カー」は間違い タイ語

2021-08-31 15:15:55 | 社会・政治
日本語の「ありがとう」に該当するタイ語として、日本では間違った言葉が普及している。

「コップン・カー」がそれである。

思わず

「骨粉か!」

と突っ込みたくなるほど酷い間違いなのだが、多くの日本人は無知と無関心・無責任が災いして、この間違いに気付かず、間違いのまま普及が進んでしまっている。これは単に間違いであるだけでなく、タイ人に対しても失礼になっていることをまずは認識すべきだろう。

間違いを普及させる主な犯人はテレビ等のマスメディアだが、現在ではYouTuber等も加担してますます状況は悪化しているようだ。


まずは正しいタイ語をお知りいただきたい。

日本語の「ありがとう」を正しくタイ語で言うとどうなるのだろうか。タイ語の文章は女性形と男性形で末尾に付加する言葉が違うので、そこも含めて見ていただこう。

「コープ クン カー / ขอบคุณค่ะ(kʰɔ̀ɔp kʰun kʰâ)」(女性形)

「コープ クン クラップ / ขอบคุณครับ(kʰɔ̀ɔp kʰun kʰráp)」(男性形)

である。

冒頭の「コープ」は短く「コプ」と発音されることが多い。
お分かりと思うが、最後に付加する単語が違う。女性なら「カー」、男性なら「クラップ(カップ)」(*1)を付ける。これを付加することで丁寧な言い回しになるのだ。

あくまで「ありがとう」という謝意を伝えるだけなら「コープ・クン」だけでもOKである。(*2)

この「ありがとう」を意味する「コープ・クン」とはどういうものだろうか。

まず、『コープ / ขอบ(kʰɔ̀ɔp)は「返事をする、応える、受け取る、感謝する」といった意味』である。
また、『クン / คุณ」は「貴方」という意味』である。

見て分かる通り、「コープ(感謝する)」も「クン(貴方)」もきちんと発音しなければ文章として意味として成立しない。だから 骨粉、いや、「コップン・カー」は間違いだ、と断言できるのである。


当ブログでは過去に何度も記してきたが、日本のマスメディア、特にテレビ局は言葉に対して非常に無責任で無神経、いい加減である。完全に間違っている言葉を平然と垂れ流し、社会に間違った言葉を広めてしまう。その罪の大きさは計り知れない。そのテレビ屋が進んで間違った言葉「コップン・カー」を広めてしまったのである。

最近はテレビ屋に加えて、例えばYouTuberなどもこの間違いの普及に加担するようになっており、事態はますます深刻化している。(*3) 喫驚すべきことに、タイ在住の日本人YouTuberでさえ「コップン・カー」を連発しているのはブラマヨでなくても「どうかしてるぜ!」な状況である。さらに驚くのは、タイ在住で、しかもタイと日本のハーフという男性ですらこの間違いを犯している実態には呆れるしかない。しかもこの男性は末尾の丁寧語である「クラップ」(男性形)も言えてない。平然と「カー」(女性形)と発音するのだ。(*4) 何をか言わんや、である。(蔑笑)

また、ネット上の記事でも「コップン・カーでいいよ」と間違いを是認するものも散見されるが、基本中の基本をそのように間違ってしまうと後でどのような行き違い・ボタンの掛け違いが生じるか判ったものではない。とんでもないことなのだ。

前述の通り、タイ語を習得していく際に「コープ・クン」の原義を知っていれば、それはその後のタイ語習得の際にも礎となるだろうが、原義も理解せずに「コップン・カー」で覚えてしまうと、その後のタイ語習得にも明らかに間違いが起きやすくなるのは必定である。応用ができなくなる、ということだ。


ここまで来ると、単に「間違っていますね」では済まない問題だ。日本人から「コップン・カー(クラップ)」と言われたタイ人はどう思うだろうか。冒頭に書いたようにこの間違いはタイ人に失礼である。タイ人はそれが間違いであることを認識するであろうが、しかし「微笑みの国・タイ」の人は微笑みをもってそれを受け止めてくれるだろう。だが、内心は「基礎的なタイ語も喋れない日本人」として認識されることになるだろう。そんなことが続けば見下される事にもなるし、最悪の場合、タイ人が日本人から馬鹿にされているような事案として受け止められる可能性もある。それが元になって日本人がタイ人からバカにされる可能性さえある。日本と日本人のイメージが悪くなるのは必定であろう。間違った言葉が普及することは、最終的に国民同士の交流にも暗い影を落としかねないのだ。日本のマスメディアも、無頓着に間違った言葉を発する日本人もそうした自覚が皆無なのである。


言葉に無責任・無神経な連中の罪は大きく深い。



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(*1)
丁寧語の男性形「クラップ」もそのまんま「くらっぷ」と発音すると少し違う。正確には「クラップ」の「プ」を子音「P」の発音にする(子音発音、つまり母音を発音しない、という事)と良い。敢えて文字表記すると「クラッ(P)」または「クラッ」になろうか。
そうでなければ、「クラップ」ではなく「カップ」と言っても良い。この場合も「プ」は「P」(子音発音)にする。

(*2)
どこの国でも俗語というか、日常生活に馴染んだ言葉や言い回しというものは存在する。タイでもこの「コープ・クン・カー」が訛ったり変形して「コープ・チャイ・ナ」という表現も聞かれるし、時には笑顔で「コープ・チャイ・チャー」などと言うタイのおばさんも見かける。これらはある種の通俗的な表現であり、タイ人の生活の中で自然に変遷してそうなったものである。日本のテレビ屋が意味も知らずに間違えているのとは根本的に違う。

(*3)
YouTuber以外にも、有名な人物がSNSで「最近、タイ語を覚えました。”コップン・カー”って言うの」などと無頓着に間違ったタイ語を発信するケースもある。有名人は影響力が大きいだけにとても看過できない状況なのである。

(*4)
日本のテレビ番組で男性芸人がタイ人に向かって「コップン・カー」と言うシーンを何度か見かけた事がある。「コップン」が間違っているのは先述のとおりだが、男性が末尾の丁寧語「カー」を言うのも間違いだ。「カー」は女性形だからである。男性なら「カー」ではなく「クラップ」になるのだが、芸人は無知故にそれも知らずに「コップン・カー」と言ってしまう。二重に間違っている訳で「日本の面汚し」と言えよう。何よりタイ人に対して失礼である。本当に「何処に出しても恥ずかしい連中」である。







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