「小林清親」の浮世絵
季節の変わり目の寒暖は古くからある現象だろうが、今年ほど酷いものも珍しいのではないか
3月中旬に5月並みの温暖が訪れ、桜も大慌てで開花した。
ところがどうだ。満開になってみれば、三寒四温なんて、生易しいもんじゃない、寒波が再び舞い降りた。
先々週末は地元で花見を決行。息子のノロに寒風と疲労が覆いかぶさり、カラダが機能を失った。
先週末も聞くだけで親しい人々が、花見を計画し、その余りの寒さに茣蓙を畳んだようだ。
まるでお天道様が神をも恐れぬ人の所業にお灸をすえているかのようであるが、桜に関していえば、これだけ長く愉しめる年もない。
清親の光線画のような四季折々の季節感が、美しい陰影を刻む時代がなつかしい。
杉本章子さんはどうして遠く九州にいて、お江戸の市井をあれだけ描けるのだろう。
向島の風景
ご覧の絵は、おいらが生まれて間もない時期に集英社が刊行した「浮世絵体系」の清親の中からとったもの。
内勤になって久しぶりに神保町の書店に出掛ける用事があった。その帰りに、破格の古書と出会ってしまった。
小林清親と、春章の作品。ほか、豪華「肉筆浮世絵」 を衝動買いした。
浮世絵体系は、縦43.0cm×横30.0cm×厚さ2.8cm 143ページ 3.1Kg。 二冊で6.2kg。肉筆にいたっては、一冊でその二冊分はあろうかという重さ。
会社まで、自宅まで腕の筋トレには十分な重厚感である。そして、いつでも見られるという満足感もたっぷり。
今戸夕景
この今戸から山谷堀が通っていた。
いまや花見の名所でもある。
今年は今戸神社も陽の年で、本社神輿が出る。6月がいまから待ち遠しい。
絵の今戸橋跡からほど近く、竹屋の渡しの石碑がある。
ここで、この週末「第25回 桜橋花まつり」が行われる。
湯屋
賑やかな湯屋に見えるように、下町の春はどこもかしこも笑顔でいっぱいだ。
杉本さんの作品で知った清親だが、晩年紙洗橋に暮らした荷風大老も好んだ画家だとこの時代の博識、優女さんから教えてもらった。
清親の写実も味わいがあっていいが、光線画の後描いたポンチ絵も風刺を効かせた心意気もみせる。
墨堤の露天は3週続けての花見となる。
特別純米酒「国稀」
その花見句会に香りを添えようと、全その華、優女さんが北の誉れを送ってくれた。
枝に残る桜の花びらを惜しみながら、皆で黄金の滴を飲み干そうと思う。
酒は純米に限るとは、小林清親と同じ姓の画家小林豊氏の名言である。おいらもまったくの同感。
合羽橋と仲見世を回って、句会の賞品も準備した。
当日は気温もあがり、穏やかに晴れ渡るなかでの会合となるだろう。この週末まで持ってくれよと祈るばかり。
山の宿の渡しに、集まる粋な兄さん、姐さん。
大川を往復する出船に間に合うよう、皆さんよろしゅう
「花ひらり 清明までの 命かな」 海光
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