週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

湘南海岸を歩いた

2017年06月03日 | ★江戸っ子エッセイ★


江ノ電 鎌倉高校前の踏切


【浮き沈み初夏の海水に消えゆく】哲露


 ここが世界から観光客が訪れるスラムダンクの聖地、鎌倉高校前の踏切だ。

 この日も、外国人がカメラやスマホ、タブレットを手に待ち構えていた。

 早いものでもう六月。

 鮎も泳ぎ出したという水無月だ。

 GW湘南海岸を歩いたレポートを綴る。






 いつものように東海道線で茅ヶ崎へ。

 毎年この街を複数回訪れている。

 ブログ読者にはおなじみ、私淑する師匠所縁の土地だから。





 駅からビーチへ向かう途中、お神輿が見えた。

 浜降祭も来月に迫るから、もう準備が始まっているんだろう。

 祭り好きにはその浮かれようが痛いほどわかる。





 サザンビーチは、ほんと和む。

 桑田サウンドを口ずさみ、浜辺ウォーキングをスタート。

 羽毛の一羽が見えるほどリアルに接近する鳶。

 波乗りをしていた若い頃、モスバーガーの新作をかじろうとしたところかっさわられた。

 その時の手の痛み、衝撃はいまだ鮮明に覚えている。

 道すがらお気に入りの店で買った惣菜パンを鳶とにらめっこしながら食べる。

 これもまた湘南風。





 この広大な太平洋を延々と歩く。

 チャリにボードを乗せたサーファー、怖いほど真っ黒に日焼けした肌のおっちゃん、犬を連れた女たちと何人もすれ違う。

 潮風と波の音がたまらない。






 歩く、歩く、歩く。

 しばらく行くと、ラチエン通りの辺りについた。

 防風林の片隅で咲き誇るツツジが眩しい。

 駅に戻るように、内陸へ。





 久々に訪ねる師匠、開高健の暮らした家。

 心に焦燥が走り、筆を持つべき手に緊張が漲る。

 師の呼吸を捉えると、豊穣な語彙と思考の嵐に圧倒される。

 物書きになりたい、今現在しょうもない駄文を書いている己が情けない。

 この徹底的なまでの自虐に苛まれ、物を書く勇気をふたたび奮い立たせるため、何度もこの地に足を運ぶ。



 


 歩く、歩く。

 江ノ島が見えてきた。

 水族館はうんざりするほどの行列。

 およそ並ぶのが大嫌いな私には信じられない光景だが、子供のため、彼女のため人は並ぶ。

 思いの外、歩道をゆく人が多い。

 そろそろ鎌倉高校が近いのだ。

 ここで冒頭の話に繋がる。





 ちょいと気になる道案内が目についた。

 横道に外れ、右手を行くと江ノ電の小さな踏切があった。

 その踏切から生えるように寺への階段が続く。





 満福寺。

 幟を眺めると、義経、弁慶ゆかりの寺とある。

 まんぷく寺でまってます、という同人の高田由紀子さんの顔が浮かぶ。

 これはぜひ彼女に伝えたい、と思った。

 高田さん、知ってますか?

 なので思わず、ちい散歩パクり、鎌倉てつ散歩篇。

 さらに稲村ガ崎まで歩く。

 鶴岡八幡さまの先、竹林まで行きたかったが、この日は時間切れ。

 観光客の帰路のピークと重ならないよう、江ノ電で鎌倉駅へ。


 


 ITを生業とし、大企業に身を投じると、校了のないエンドレスな世界が待っていた。

 ある程度覚悟はしていたが、何事も体験してみないとわからないものだ。

 私は無力で、非力で、無学だ。

 歳をとるごとにそれは痛切に広がる自虐。

 ただ何もない私は、人には恵まれているとも思う。

 それは実にありがたいことだ。

 悠々として 急げ。

 心に何度もつぶやく。

 先週、友と年末の湘南国際マラソン大会へエントリーした。

 明日もまた、陽はのぼる。