東京ドーム
ヤァ!ヤァ!ヤァ!
ポールがやってきた。
十ん年来の友人Mから回ってきた。恐るべしさすがD社。プレミアチケットを握って、この日ばかりは残業なんか知らんぷりで飛び出す。
イギリス流にサンドウィッチとフライ、そしてビール!
ライブ前、アイドリングもバッチリだ♪
22番ゲートから逸る気持ちをそのまま、バックネット裏、前から5番目の席につく。
久しぶりに大物の出番を待つ。
ステージが遠い、されどドーム。
隣には妙齢大きな眸の女性が一人で意気揚々と出だしから立ち上がった!
われわれも、その気合のオーラに絆され、濃い目の角ハイボールで乾杯!
伴奏が高まる、いよいよスタートだ!
ポール・マッカートニー登場
「伝説の歌は浮き世に秋の月」 哲露
のっけからビートルズの楽曲ではじまる。
すっげえ!徐々に気が昂ぶってきた。
01.Eight Days a Week
02.Save us
03.All My Loving
私がよく口ずさむメロディが流れる。
バック演奏なしで、黒い鳥が歌われる。
15.Blackbird
これにやられた!
ポール、71歳。
めちゃくちゃカッコいいでないかい。
keyも若い頃のまま、音楽に年齢は関係ないとはいえ、素直に感動する。
25.Something
ジョージのコンサートもここドームだった。あの時は、クラプトンが半分くらい歌っていた。
ジョージに捧げる曲。
乾いたウクレレの旋律が響く。
この夜、私がいちばん痺れた瞬間ッ!
アンコールがなんと二回あった。
71歳(←しつこいッ)
だけど、実際、まさに命懸けのLiveだ!
ピンシャンと伸びた姿勢は現役そのもの。ふさふさの髪も健在。
純粋に粋で、カッコいいジェントルマン!
四方に散る真白い照明が輝き、日本人に馴染みの深いあの名曲がはじまった。
35.Yesterday
もはや、言葉がないよ。
28.Back in the U.S.S.R.
29.Let It Be
30.Live and Let Die
31.Hey Jude
生きているうちに、ポールの生唄で、Back in the U.S.S.R.が聴けると思ってなかった。
多摩校舎に通った、セピア調の日々が蘇ってくる。
過ぎ去った友、新たに出会った友。様々な想いが掠める。
思い出は懐古だが、いまこの時、ポール・マッカートニーはそこにいる。
ご縁で回ってきたチケット
当初の気持ちが軽かっただけに、ゆり戻しで感動が深かった。
アウトゼアー・ツアー♪
大観衆を飽きさせず、MCも自分でこなし3時間弱に及んだコンサート。
金持ちミュージシャンの道楽でも愉楽でもない。
当たり前だけど、ポールは本気だった。
たしかに、29.Let It Beは辛そうだったけど、31.Hey Judeは聴かせてくれた。
器もジャンルも違えど、勇気とエネルギーをいっぱいもらったよ。
興奮冷めやらぬわれわれは、ふらふらと夜の町へ。
水道橋駅裏の静かな店の暖簾をくぐる。
昭和33年創業の老舗。
06.Paperback Writer
ライブ6番目の楽曲。
おもえば、小説家の唄じゃないか。
江戸の器、ぬる燗が喉元を通ると、ポールの生声を聴けた悦楽がじんわりと沁みてゆく。
行ってよかった。
声をかけてくれたMに心から感謝。
ポールが私の背中を押してくれた