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週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

ポール・マッカートニー Live in Dome

2013年11月22日 | ★映画★

   
              東京ドーム

 ヤァ!ヤァ!ヤァ!

 ポールがやってきた。

 十ん年来の友人Mから回ってきた。恐るべしさすがD社。プレミアチケットを握って、この日ばかりは残業なんか知らんぷりで飛び出す。

 イギリス流にサンドウィッチとフライ、そしてビール!

 ライブ前、アイドリングもバッチリだ♪

 22番ゲートから逸る気持ちをそのまま、バックネット裏、前から5番目の席につく。


 

 久しぶりに大物の出番を待つ。

 ステージが遠い、されどドーム。

 隣には妙齢大きな眸の女性が一人で意気揚々と出だしから立ち上がった!

 われわれも、その気合のオーラに絆され、濃い目の角ハイボールで乾杯!

 伴奏が高まる、いよいよスタートだ!


 
             ポール・マッカートニー登場

 
     「伝説の歌は浮き世に秋の月」 哲露


 のっけからビートルズの楽曲ではじまる。

 すっげえ!徐々に気が昂ぶってきた。


01.Eight Days a Week

02.Save us

03.All My Loving

 私がよく口ずさむメロディが流れる。

 バック演奏なしで、黒い鳥が歌われる。


15.Blackbird


 これにやられた!

 ポール、71歳。

 めちゃくちゃカッコいいでないかい。

 keyも若い頃のまま、音楽に年齢は関係ないとはいえ、素直に感動する。


25.Something

 ジョージのコンサートもここドームだった。あの時は、クラプトンが半分くらい歌っていた。

 ジョージに捧げる曲。

 乾いたウクレレの旋律が響く。

 この夜、私がいちばん痺れた瞬間ッ!
 

 

 アンコールがなんと二回あった。

 71歳(←しつこいッ)

 だけど、実際、まさに命懸けのLiveだ!

 ピンシャンと伸びた姿勢は現役そのもの。ふさふさの髪も健在。

 純粋に粋で、カッコいいジェントルマン!

 四方に散る真白い照明が輝き、日本人に馴染みの深いあの名曲がはじまった。


35.Yesterday

 もはや、言葉がないよ。




28.Back in the U.S.S.R.

29.Let It Be

30.Live and Let Die

31.Hey Jude

 生きているうちに、ポールの生唄で、Back in the U.S.S.R.が聴けると思ってなかった。

 多摩校舎に通った、セピア調の日々が蘇ってくる。

 過ぎ去った友、新たに出会った友。様々な想いが掠める。

 思い出は懐古だが、いまこの時、ポール・マッカートニーはそこにいる。

 ご縁で回ってきたチケット

 当初の気持ちが軽かっただけに、ゆり戻しで感動が深かった。
 

 アウトゼアー・ツアー♪

 大観衆を飽きさせず、MCも自分でこなし3時間弱に及んだコンサート。

 金持ちミュージシャンの道楽でも愉楽でもない。

 当たり前だけど、ポールは本気だった。

 たしかに、29.Let It Beは辛そうだったけど、31.Hey Judeは聴かせてくれた。

 器もジャンルも違えど、勇気とエネルギーをいっぱいもらったよ。





 興奮冷めやらぬわれわれは、ふらふらと夜の町へ。

 水道橋駅裏の静かな店の暖簾をくぐる。

 昭和33年創業の老舗。


06.Paperback Writer

 ライブ6番目の楽曲。

 おもえば、小説家の唄じゃないか。

 江戸の器、ぬる燗が喉元を通ると、ポールの生声を聴けた悦楽がじんわりと沁みてゆく。

 行ってよかった。

 声をかけてくれたMに心から感謝。

 ポールが私の背中を押してくれた
  


希望の国

2012年11月08日 | ★映画★

      

 10月のこと

 同人の大会作品をレポートするため、どうしても観ておいたほうがいいな、という映画に出会ってしまった。

 それが園子温監督の希望の国である。

     

 直近ではヒミズが話題となった。国際的にも国内のクリエーターたちにも評価の高い監督だが、おいらはこの作品が初めての鑑賞である。

 あの震災から随分経ったようで、まだ一年半だ。人の気持ちは移ろいやすい。それを的確に表現した作品だった。

 衝撃を通り越した映像を見てからその後、時折特集されるドキュメンタリーを無意識に避けるように生きていた。いつのまにか……。

 あの日からかの土地では不条理、理不尽、矛盾が有象無象に渦巻き、血の通う人間の尊厳を踏みにじってきた。

 過去は消えない。ただだからといって過去に生きるのではなく、流されず傷や思い出や悔しさや不条理を忘れずに進む大切さを教えてくれる作品である。

 映画のあと、原作も読んでみた。撮影の舞台裏も書かれている。撮影の前後ですら変化する監督はじめ、スタッフ、家族の行動とセリフがリアルに伝わって、人間の強靭さと狡さを考えさせられた。

    

 多くは語るまい。おいらにはそんな資格も無いだろう。

 ただ、おいらも考えていたことを、あさのさんも思っていたんだ、とすんなり心に入ってきた。

 それぞれのあの日。それを語らず、伝えずして何が物書きか。

 それぞれの物語に向き合おう
 
    

 
   「そぞろ寒言葉に宿る温かさ」 海光


青いターバンの少女

2012年09月23日 | ★映画★

    
       ヨハネス・フェルメール〈真珠の耳飾りの少女〉
 
 
  9月の三連休のど真ん中に、上野の東京都美術館へ行ってきた

 〈マウリッツハイス美術館〉所蔵する珠玉の名画が集まったと話題になっていた。

 マウリッツハイスは、オランダ語でマウリッツ邸の意。個人の邸宅が世界的な美術館になる。黄金期と言われた往時の隆盛が伺える。

 フェルメール〈耳飾りの少女〉、レンブラント〈自画像〉、ルーベンス〈聖母被昇天〉といった、17世紀のオランダ、フランドルの絵画の魅力がつまった絵画展だ。そうフランドルといえば、フランダースの犬。最終回のネロが母と慕った聖母マリアの昇天画は1622~25年に書かれたものだという。

  
         

 女優の武井咲が少女に扮した衣装も飾られている。大仕掛けのギャグのセンスや如何に。金にモノを言わせる、金融と代理店の思惑に、冷めてしまう。

 真珠の…のほかに、〈青いターバンの少女〉とも呼ばれ親しまれたという。

 特定の誰かではない、想像の人物を描くことを〈トローニー〉と呼ぶらしい。

 たしかに、宝石よりもトルコ風のターバンのほうが謎めく少女の愛称に相応しい気がする。
 

  
           リニューアルした東京都美術館


       「賛美歌が聴こえる杜の人波や」
                        海光


 芸大の隣にある東京都美術館。リニューアル後にはじめて訪れる。

 じつは、先週も行ったのだが、あまりの行列に恐れをなして帰ってしまった。この日は開場前から並んだので、30分後に入ることができた。それにしても、日本人って、こんなに美術が好きだっけ?と懐疑心を抱く。ただ、流行りモノが好きってことかな。

 息子と絵画を並んで鑑賞していると、後先考えず割り込んでくる熱心?な大人がたくさんいた。秩序だって並ぶ姿に感激した諸外国の尊敬の眼差しも、ここでは呆れの対象でしかない。

 あっしは当時の風景画と歴史画に目を奪われた。風俗画にいたっては、浮世絵さながらそこに暮らしていた人々の息遣いが感じられて面白い。

 肖像画は耳飾りほか12点ある。生涯書き続けたレンブラントの肖像が興味深い。絵に造詣が浅いあっしには、耳飾り以外にも惹きつけられるものがある。どうして少女だけ着目されるのか。どっかで別の絵と人気が逆転しても不思議に思わない。実際、この少女の絵も、フェルメールの死後とても安値で買い叩かれたらしい。時代によって、評価が変わる。見る人の価値観も変わるって証明なのか!?

 本物は残る。そう信じて、作り手は進むしかない。

 異時代、異文化の空気、創作家の思いを吸い込んで上野の杜を後にした。

 行列はイヤだけれど、たまには生の作品に触れることも大切なのだな。

 芸術の秋に限らず時間の許す限り、様々な作品に出会いたいと思う


尾道の汽笛!

2012年04月12日 | ★映画★

        
                 「東京物語」
            脚本:野田高梧・小津安二郎
                監督:小津安二郎

 敬愛する大兄に薦められて本作を観た

 映画館で上映されておらず、DVDであったが…。

 名匠、小津安二郎の高名と本作のことは知っていたが、きちんと観賞したのははじめてである。

 寅さんシリーズでも御馴染みの、笠智衆の静かに抑えた演技が秀逸だ。

 長閑な尾道と高度成長期の東京の対比が心をえぐる。監督の狙いと分かりつつ、分かりやすいことが決して厭らしくなく伝わってくる。

 笠氏演じる周吉のそばに、表と裏、日向と陰のように、常に寄り添うとみこと、東山千栄子の自然体がまたいい。

 長女志げ(杉村春子)の都会病に染まってしまった底意地の悪さが、夫を亡くした紀子(原節子)の優しい色気と、次女京子(香川京子)の健気を際立たせている。

 長男幸一(山村聡)と志げに邪険にされ、熱海に追いやられた周吉ととみが、団体客の喧騒に眠れぬ夜がなんとも切ない。

 それだから、翌朝、夫婦並んで熱海の海を眺めるシーンが心を打つのだ。

 忙しい日常の中で、意地悪でありながらも家族とともに都会を生きる幸一と志げ。

 同じ忙しい日常にいて、心優しい紀子であるがゆえの深い淋しさと先々への不安。周吉ととみ双方に再婚を薦められてその不安がさらに増幅する模様が痛いほど伝わってくる。そんな心の動きが理解できる分別がついたということか。

 小狡賢しくとも逞しく生きることの肯定と罪、人の心の機微に触れられる優しさを持つことで陥る不条理と悲しさが作品を通じて迫ってきた。

 全編通して、一つ二つでは答えられない、家族のあり様を問いかけた作品である。

 母とみの眠る墓から見える海と尾道の線路。

 その海沿いを都会に向かう列車の汽笛が、これを書いている今も頭の隅に鳴り響いている


       「春霞 都会も田舎も ひとりぼち」
                         海光


ブルースリーのルーツ!

2012年04月05日 | ★映画★

         
                 イップ・マン誕生

 新宿に出掛ける用があったので、ついでに映画をみることにした

 ちょうど朝刊を見ていたら、 「イップ・マン誕生」がやっていたのだ。

 実は2年前に配給会社から券が届き、試写会を観たことがある。

 それが「イップ・マン葉問」だ。

 本国香港、中国で公開されるやたちまち1位になった作品。

 格闘技好き、カンフー映画好きとして、たいへん興奮しながら画面に釘付けになった記憶がある。

 この作品がヒットしたら、それまでの一連の作品が公開できるので、宣伝よろしくと配給元の広報に頼まれたのだ。肝心の宣伝について貢献できたものか定かでないが、こうして劇場公開されたのだから、それなりに手応えがあったのだろう。

 タイトルにもなった、中国武術・詠春拳の達人イップ・マン。この達人はかのブルースリーの師匠でもあるのだ。葉問のなかで、年少のブルースが出てくるシーンがあるのが心憎い。

 武術指導はベテランの、サモ・ハン・キンポー。彼自身もそれぞれに出演して作品を盛り上げている。

 主演は、ブルースリー、ジャッキーチェン、ジェットリーに継ぐ、香港映画界の新しいカンフースター「ドニー・イェン」。彼の静謐な顔立ちが、誠と誇りを守り通したイップ・マンの静かな強さを体現しているようだ。

     

 このイップ・マン誕生は、そのドニー・イェンを若くしたらこんな感じという、そっくりな佇まいの新人アクションスター「デニス・トー」である。サモ・ハン・キンポーやユン・ピョウ、ルイス・ファンと引けをとらないアクションに詠春拳のかっこよさをみる。

 ブルース・リーはこの詠春拳をもとに、渡米後の数多の経験を経て、截拳道(Jeet Kune Do/JKD/ジークンドー)を創始する。

 この話はあまりにも有名だが、そのルーツはここにあるのだ。

 デニス・トーは世界武術選手権で優勝ほか数々の格闘技の大会で活躍している。またこの「イップ・マン誕生」では、香港アカデミー賞で優秀新人賞を受賞した。

    

 見所はまだまだたくさんある。

 実際のイップ・マンの本当の息子イップ・チュンが、作中リョン・ビック役で登場する。

 このリョン・ビックは相当なお歳ながら、小憎らしいくらい技が切れ、なおかつ美しい。

 拳法を学ぶおいらが、うずうずしてきたくらい、躍動感あふれる技の数々なのだ。

 そして、葉問ではなかった男女の入り組んだ恋が描かれている。それもしっかりと。

 リー・メイワイ役のローズ・チャンも可愛らしい演技しているが、チャン・ウィンセン役のクリスタル・ホアンがいい。

 女性だてらに正義感を前面に押し出す気の強さが、誠実なイップ・マンにぴったりと寄り添う。その勝気なふるまいと手紙の返信を心待ちにする乙女心、この好対照、浮き沈みの表情に、心が奪われた。


          木人樁(もくじんしょう)
 
 体に型を覚えさせるための木人樁(もくじんしょう)が展示されている。
 
 昨年公開した『イップ・マン葉門/序章』公開時に、新宿武蔵野館がオリジナル制作したという。

 まだ観ぬ、「イップ・マン序章」を近々観てみようと思う。

 格闘技ファン、香港映画ファン、カンフーアクション好きには格好の作品が誕生した。

 ぜひ劇場でご覧になることをオススメする。

 春の町を彩る桜の輝きと同じくして、久しぶりに映画で爽快な気分になれた


       「香港の 若きスターと 桜愛で」
                        海光

 

 

 


音楽とともに!

2012年03月29日 | ★映画★

       
                         John G Rose

 先週の雨上がり、友人たちのLiveに行った

 オープニングは「John G. Rose」

 20年以上前に一緒に海を渡った友のバンドだ。おいらの結婚式でも演奏してくれた。ボイストレーニングもしたという発声は、確実にヒートアップしている。聴かせるねえ。

 Jの家族や知人の見守る中、彼の愛する人へ、息子へ、兄へ届ける楽曲、これがまたいかすのだ。

            Jiro

 フランスの小さな田舎村を唄った、「Misy」の歌詞がいつまでも心に残る。

 「…あなたが歩いてきたその道はあなたと繋がる人の声

     僕らにも聞こえているよ

    あなたの声が聞こえてくるよ 僕らの笑顔も見えているんだろ
        
     みんなで歩いた川のほとりには 今でもあなたの時間が流れている

           Misyへ         Misyへ  ……」


 ボーカルが交代し、Y氏の歌う「雨」。MySpaceでも聴かせてもらっていた耳に馴染んだ曲。なだらかで、激しいテンポが心地良く響く。

 怒涛のオリジナルロックが9曲、ツェッペリンのカバーが1曲。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 つづいて、「きねづかバンド」が、往年のロックの名曲のカバーで盛り上げる。

 トリを飾ったのは、この日オリジナルでデビューした、我らが「花粉航海」

 花粉航海の名付けの由来も聞くことができた。

      
                花粉航海 &大坂寛

 新曲から始まった一連の曲は、どれもムードのあるものばかり。

 アップテンポなボサノヴァ調のものから、メロディアスなものまで変幻自在。

 John G. RoseのY氏曰く、鍵盤が入ると音域が広がる利点があるのだとか…。なるほど。。

 おいらの社会人生の苦しいときに救ってくれた、おいらにとっての大切な曲がかかる。

 「Your Story」

 ここまで思えば遠くへきたもんだ。遠い若かりし思いの苦み、甘みを懐かしむゆとりもできた。

 Jiro、K大兄とのご縁。ここに集った仲間たちとのご縁。

            

 かつての内藤新宿から街道に入ってすぐ、小滝橋通り裏のライブハウスはこの日、おいらにとって路地裏にある冬の陽だまりのようであった。

            21世紀

 総勢16名で、いつものしょんべん横丁へ。

 贋の桜が咲いている。今年初の花見となる。

 道産子の海鮮三昧に、昆布焼酎がじゃんじゃん空き、愉しい打ち上げになった。

            思い出横丁


       「音に酔い 友に酔わされ 花見酒」
                                                        海光



 素敵な大人たち。素晴らしい仲間たちに感謝。

 ホントの桜ももうすぐだ
 

 

    


四丁目の夕日!

2012年02月01日 | ★映画★

                     

 今年に入って4本目の映画

 「ALWAYS 三丁目の夕日’64」。

 映画のシリーズの続編はほぼ第1作を上回る内容のものが少ない。それは初回の新鮮さ、インパクトが期待度を高めるためでもあるが…。それだけでもあるまい。

 しかし、昭和39年が舞台の本作は、シリーズの中でも高い評価を与えていいのではないだろうか。

 西岸良平、山崎貴、吉岡秀隆は期待を上回る傑作を作った。

 昭和40年代生まれのあっしだが、地元浅草の人情と雰囲気はまさにこの映画と同じ空気感であった。脚色は多いけど、昭和の一こまの情景をよく写していると思う。役者の配役もよかったが、昨今のCGはすごいですなあ。

 あっしがまだ幼い頃、いたずらしちゃあ、隣の八百屋のおばちゃん、おじちゃんに叱られた。駄菓子屋でも、屋台でも子ども同士で喧嘩していると、両成敗とばかり、こってり叱られた。懲りずにいたずらは繰り返すものの、大人も神様も見ているのだ、必ずどこかで誰かの目が光っているのだ、という意識を教わった。その内、それは自分自身の中に節度というものを植えつけてくれたのだ。それを教える躾けが、この当時の大人にたしかにあったのだろう。そこへいくと、今のあっしなどは親として、大人として、胸を張れず、相変わらずの とほほ、である。

           

 思えば、あの頃は、夕方の隣家から、
 
 「かよさん、かつおぶし切れたから貸しとくれ」
 
 「ふくちゃん、お安い御用だ。あいよ」

  ってなもんで、その翌日。
 
 「昨晩は助かったよ。竹の子の煮物こさえたからよかったら食べて」
 
 「まあ、いいのに。かよさん、どうもご馳走さま」

 下町、長屋文化が残っているこの時代が妙に懐かしい。そういう人と人の温かい交流を書きたいと思う。

          

 茶川竜之介は小説家。それも芥川賞候補になったほどの純文学派なのだ。それが、ヒロミと淳之介を養うことから、「冒険少年ブック」という雑誌の連載をすることになったのだ。夢を抱えながら、現実を生きるには夢に突き進めない、その葛藤こそが文学なのだな、と映画を観ながらそう思った。

 茶川林太郎、竜之介、淳之介。この3代に渡る親子の感情の起伏、思いやる心が、幾たびもあっしの涙腺を緩めさせる。どこかで親の愛情と判っていても、素直に感謝の気持ちを表現できない、その不器用さが、昭和の親子関係でもあったのだ。

 作者の仕掛けが判っていても、心が揺さぶられた。林太郎が残した、竜之介の著作を読んだ際の一言一言エールを書いた付箋の数々……。これでもあっしも人の親。重松清の「流星ワゴン」以来に、やられてしまった。歳をとったのかもな。

 間違いなく、シリーズ最高傑作だろう。

 2012年、東京スカイツリーが開業する。(残念ながら業平橋駅は改名してしまうが…)

 現代に生きる平成時代の親子も、新しい物語を紡いでいくはず。それが、少しでもこの時代のように物質の豊かさだけでない、本質の豊かさの物語であって欲しい。

 たとえわが子に憎まれても、本気で子どものために行動できる強い心。慈愛に満ちた物語であることを祈る。

 淳之介に、売れっ子作家の地位を譲った竜之介だが、このままでは終われまい。なぜなら、己に真摯に生きていく姿勢こそ、わが子に伝える最高の贈り物なのだから…。
     
                


                    「猫柳 夕陽に染まる 四丁目」
                                 海光

 
 幼い記憶には、かつて新吉原であった四丁目の夕日が残っている。

 幕末太陽傳とは一味違った、熱いモチベーションをもらうことができた

 


ロボットと人間の話!

2012年01月14日 | ★映画★

             
                 「リアル スティール」ポスター

 先にご紹介した「幕末太陽傳」に続いて、お正月に観た映画をもう1本取り上げる

 その題名は「リアル スティール」

 主演はチャーリーケントン役のヒュージャックマン。「X-MENシリーズ」のご存じモミアゲスタイル、ウルヴァリン役でブレイクしたイケメンである。その男前ぶりは、2008年「ピープル誌」で最もセクシーな男に選ばれるほどだが、2004年にブロードウェイミュージカルで、トニー賞ミュージカル主演男優賞を獲った演技派でもあるのだ。

 あっしは、その後の作品でも、中世の礼節と気位の高い騎士が現代に舞い降りる「ニューヨークの恋人」、アシュレイジャッドとの駆け引きが最高の「恋する遺伝子」、ドラキュラと狼男という西洋人の古典を最上級のエンターテインメントにした「ヴァンヘルシングなどが大好きだ。

 彼はオーストラリア人特有の野生味はもちろんのこと、エレガントなヨーロピアンのテイストも纏っている。演技のために鍛え上げた体も見事ながら、意思の強さを感じさせるマスクから零れる不敵で、ユーモア溢れる表情に、男惚れしている。

 今回の作品は近未来の話。

 人間の格闘に飽きた民衆のさらなる欲望を満たそうと、業界がロボットを戦わせるという設定。機械で人々の渇きを癒そうとしても土台人間は人間同士なのだよという、ありきたりな話ではある。

 ただ、配役がよかった。

 ネタバレするので詳細は避けるが、息子役のダコタ・ゴヨと恋人!?役のエヴァンジェリン・リリーが見つめるなか、ヒュー・ジャックマンが息子のロボットとともに、戦う姿に、グッときてしまった。

 ロボットの話で釣ってはいたが、実は至極ヒューマンドラマであったのだ。

 思えば「クレイマークレイマー」といい、「チャンプ」といい、父と子を題材にした作品にあっしは弱かったのである。

 今頃気付くなよ、ってか。

 とにかく、男の子を持つお父さんには、親子で観ることをオススメしやす


宿場町の匂いがプンプン!(幕末太陽傳)

2012年01月06日 | ★映画★

                     
                       居残り佐平次(フランキー堺)


             「女郎宿 居残る才も 初春まで」
                           海光

 お正月の恒例行事のひとつ、新春映画を2つ鑑賞した

 その1つが「幕末太陽傳」。日活の製作再開3周年作品であり、創立100周年に選ばれた記念作品である。

 監督は孤高、川島雄三。この作品のメガホンを最後に日活と袂を別ったのに、この度の選択に不思議なご縁を感じる。だが、そのおかげで、逸品に出会えた。日活の英断に感謝せねばなるまい。

 あっしの職場から刊行された藤本義一「無条件幸福論」には、数奇な師弟だった川島とのいきさつが書かれている。珍しく共感することの多い新書であったことを付け加えておく。

       
            女郎おそめ役(左幸子)         女郎こはる役(南田洋子)
 
 主役の佐平次の講釈といい、立ち回りといい、じつに痛快なこと。

 主演した喜劇俳優、フランキー堺は天才ですな。

 左幸子演ずるおそめは小憎らしいほどの美貌で観客を魅了するが、こはる役の南田洋子に完全に食われていた。妖艶でさばさばと快活な遊女の本質を見事に演じていたと思う。

 立っているだけで絵になる裕次郎演じる高杉に至っては、寝そべっているシーンが多かった。日活のスターである彼が、フランキー堺に主役の座を譲り、脇役に徹したのも、彼の演技力を考えての川島の妙案だろう。二谷英明のギタギタした感じもよい。ほかに、若衆喜助こと岡田真澄、小沢昭一、山岡久乃、金子信雄、菅井きん、小林旭、西村晃、役者が揃っている。

 昨年2度歩いた東海道とその第1の宿場町、品川宿がじつによく描かれている。

 旧い関東をうまく表現した雪の降りしきる街道を、鈴が森の御仕置場まで、痩せた馬に裸同然で乗せられ、また陰鬱に警護し、付き従う囚人たちの哀れなシーンが今でも目に焼きついている。

 幕末の宿場町なぞもちろん見たことなどないが、史実から思い浮かべる映像の本物加減!?に、誤解を恐れず云えば、心を奪われてしまった。


                        鈴が森のお仕置場

 この看板に下に、実際に使われた、火あぶりの台石と磔の台石が置かれている。

 小説家岡本綺堂も書いた、八百屋お七もここで焼かれたと云われる。17年ほど前、地下鉄に毒を巻きたくさんの犠牲者を出し、今もなお苦しめている教祖もどきがこの時代に生きていたらと思ってしまう。

             



 駅伝の見学のついでに、鈴が森の御仕置場にいってみた。昼日中だからよいものを、薄ら寒い、得体の知れない不穏がそこかしこに纏っていた。

 思わず、付き合ってくれた家族とともに、お賽銭を投げ入れ、手を合わせる。お寺で子どもたちがみかんとお菓子をもらった。



 子どもたちがこの処刑場に生るみかんじゃないよな、と心配していた。

 初春の陽だまりに実る果実の樹に、隔世の思いを抱く。


               
                   高杉晋作役(石原裕次郎)
      

 名作「幕末太陽傳」。恐らくこれから何度も観返すことになるだろう。ご興味ある方には間違いなく、お薦めの1作である


芸術はどこへ!

2011年12月09日 | ★映画★

                 

 12月7日(水)。今年から参加している登山部「ローゼンピークス」の仲間の一人から誘われ表参道に向かった

 紀伊國屋の先路地を進んだ空間で、芸大の若き音楽家たちの演奏の場を設けたというものだ

                 
                 

 熱気溢れる地下の空間で、奏でられる演奏は馴染みのものもあって、師走の無機質な心にほっこりと灯りを点してくれる

 立食形式のお料理は、フランスで修行された若き女性シェフが腕を振るったもの。出てくるたびに、あっという間に、その場にいる人々の胃に消えていった

 居酒屋オーナーのわが同期が差し入れた日本の銘酒から、シャンパン、赤白ワインの逸品は無限に注がれて、極上の音楽とともに酔いしれる

                 

 普段交流しえない、20代から50代までの多業種にわたる出会いもこのパーティーの醍醐味。

 山登りつながりの仲間から仲間へ紹介が相次ぐ。

 実は…。あっしはその名の通り、海派です。とおずおずと紹介すると、さすがに百戦錬磨の手練れたち。知り合ったばかりの山ガール、山男から、ダイビングやら、サーフィンやら、マラソンまで趣味の話に花が咲いた

                 
                 
                 

 若き才能溢れる芸術家たちも、この不況で、目指す音楽家になるのは一割にも満たないとか。もったいない。

 そこで、わが仲間を含む有志たちが、活動の場を提供しようと呼びかけあって3年目に入るのだとか。

 バイタリティー溢れるKさん 山、自転車、RUN、飲み、仕事、すべてがナンパのためではなかったのだねえ、と感動した。

 手作りのパーティー。聖夜が近づくこの夜に、白いツリーのごとく、エネルギーを持った若者の顔がひときわ輝いていた

 誘ってくれた、Kさんありがとう

 そしてスタッフの皆さん、演奏家の皆さん、シェフ、仲間、すべてに感謝した夜

 当然、二次会へ。この日で三日目の忘年会と称する飲み会。今週は6日間連続の予定である。ふぅ~。

 芸術はどこへ向かうのだろう。曲がりなりにも物書きのあっしは、文学の向かう先も気になるところ。

 たまには、こうして若者のいる街にでると、元気もらうね



            「サックスの 音色にひかる 銀杏たち」
                              海光

 

   2011年TOTAL RUN  2014.5km    12月7日現在  


Plastic Soul Band/MAGICAL GRAFFITI

2010年07月03日 | ★映画★

           
                       Plastic Soul Band/MAGICAL GRAFFITI

            

中央大学時代の同期と池袋で飲んだ。
実は飲めない体質なのに、なぜか飲み屋の食い物が好きという奴がいて、件の男体山にお邪魔した。
彼、飲まないのに、なぜか居心地が良さそうだ
ただ、さすがにこのような呑み助が主役を張る店では、飲まないと入りずらいだろうな。
連れてってくれと云って一緒にいったが、じろさんこっちこそ一緒に飲めて光栄だよ

その友人から巻頭のジャケットにある、CDをプレゼントされた。
「 Plastic Soul Band/MAGICAL GRAFFITI」というアルバム
クレージーケンバンドの小野氏が帯を飾ってます。

同じく学生時代、違う友人がビートルズの赤盤青盤を購入したいと頼まれ、お金を貸したことがある。
結局、社会人になって会っても、払う気はなかったようで友人とはそれっきり。
親父に云われた教訓。
「真の友人とはお金の貸し借りをするな。」

どうしてもというときは、可能な金をくれてやれと。
友情と引き換えに、餞別をくれてやったようなものだ。といまは思う。
まさに、親父さまの云ったその通りに若気のいたり嫌な後味が残った経験だった

親父は偉大だ。

閑話休題・・・

話が反れたが、そんなことも思い出しつつ、過去にCDをプレゼントしてくれた友人は初めてだ。
と思う
じんわりと感動した。
彼のブログで紹介されていたインディーズのアーティストに興味を持って聴きたいものですな、
といったことをよ~く覚えていてくれたこと自体が嬉しかった。
http://jirojirojiro.cocolog-nifty.com/jgrblog/2010/03/plastic-soul-ba.html

早速、週末に聴いてみた。
一曲目の「Get Down」からやられてしまった。
飛ばすサウンド、ファンキーで弾むボーカル、なによりソールフルな空気感に早くも魅了された。
「くちばしにチェリー」でヒットした、筆者がかなり好きなEGO-WRAPPIN'に似た雰囲気♪
なんと自由で、伸びやかで、、迫力もあって、透き通ったサウンドなんだろう。
存在感ばっちりなのに、主張し過ぎず謙虚さも併せ持つ、本当にインディーズ!?
すべての音楽好きを包み込んでくれる楽しさがたくさん詰ったアルバム。
気に入ったよ、じろさん。

ありがとう。

人生で一番落ち込んだおいらを、もっともナチュラルに、俺らしさを取り戻す行動を示してくれた。
言葉にはできないくらい感謝してます。

感謝ついでに、ミュージシャンの彼に云うには滑稽なことだが、
このアルバムを聴いて思い出したアルバムがあった。

その名も、「UNDERCOVER BROTHER」♪
映画から入ってジャケット購入した代物だが、とってもお気に入りのソールフル&ファンキーなサウンド
もちろん、映画もファンキーでぴか一

                            

      「針のせて ファンキーに躍る七夕夜」
                           
哲路


かなり私的な珍しく日記調のブログでしたが、この二枚。
楽しく生きていくなら、聴かなきゃファンキーになれないぜぃ

是非、ブログ愛読者の皆さんご視聴あれ~~



マイケル ジャクソン 「THIS IS IT」★

2010年01月06日 | ★映画★

       マイケル ジャクソン 「THIS IS IT」

   マイケルに 若き感性踊りけり
                 哲路

1月1日映画の日、家族でTHIS IS IT」を観ました
2012、アバター、ジュリー&ジュリアなどいろいろと悩んだ挙句、マイケルに

思えば中学生の頃、「Thiller」を買ってよ~くMOON WALKを練習しました
ビリージョエルとスター比較された番組があったり面白い時代だったんですよ「Billie Jean」は本当に格好良かったな
当時のMTV初めて観た「Thiller」の映像は超衝撃、興奮ものでした~

最近子供たちにMOON WALKを披露したら、案外ビックリしてました~(笑)
鑑賞後下の子が「Beat It」「Bad」を聞きたいというので、早速TSUTAYAへGO

世代を超えて生きていく、これぞKINGというのでしょうね。

この映画を観て思ったのは、僕自身、しばらくマスコミや世間そのままの偏見を抱いてしまっていたのかもしれないということ

真実は天国のマイケルのみ

純粋に音楽や映画を楽しめた時代と違って、
すぐに作為を持って有名スターがフォーカスされてしまう現代は、
便利である一方で、ある種の雑音が入り淋しいものなのかもしれないですね

僕も特別マイケルファンというわけではなかったのですが、
マイケル世代のブログ読者にはぜひ観て欲しいと思う一作です

ご冥福を祈りつつ、中学以来の我が家のマイケルブームに乾杯

KINGよ、永遠に

ちょっぴり映像をYou Tubeから拝借
http://www.youtube.com/watch?v=5wFwmbHwGdo

マドンナの感動的な追悼スピーチ
http://www.mtvjapan.com/video/program/19585