カメムシ目タイコウチ科のヒメタイコウチ
奈良県で開催されたシンポジウム紀伊半島の野生生物というイベントに参加した。その会場で和歌山県産のヒメタイコウチを見せてもらった。プラスチックケースの中,ミズゴケの間に隠れていた。
奈良県では,平成22年4月1日に奈良県希少野生動植物の保護に関する条例に基づき,12種の「特定希少野生動植物」を指定している。12種の内の一つがこのヒメタイコウチである。
奈良県のヒメタイコウチ保護推進指針によると,「本種はタイコウチ科の昆虫類である。体色は光沢が鈍い黒褐色で、体長は20mm程度である。尾端にある呼吸管は3㎜程度で,タイコウチほど長くないために水中生活には適していない。湧水のある浅い湿地や休耕田に生息し,昆虫などを捕まえて体液を吸う。」
三重県レッドデータブック2005では絶滅危惧ⅠB(EN)類に選定されていて,「北勢地域で記録されているだけである。生息面積は極めて局所的であり,四日市市の垂坂町では1970年以降の記録を見ない。生息地はいずれも人為的影響を受けやすい脆弱な環境下にあり,土地改変および丘陵地の荒廃とそれにともなう湧水の枯渇などが減少要因となっている。」という。
三重県桑名市ではヒメタイコウチを天然記念物に指定し,行政と地域が一体となって保護活動を展開している。桑名市での保護活動を参考にして,奈良県では今後ヒメタイコウチの保護活動を進めていこうとしているという。
三重県津市の白塚海岸での松植樹についても,参加者から多くの意見が出た。砂浜の生きものについて,1種だけでなく他の種についても調査して,さまざまな生きものへの影響を訴えたほうが良いのではという声もあった。
希少な昆虫類も,一般の人たちにとっては「虫けらのようなもの」にしか映らないことも多いですよ,と言う人もいた。
2010.12.19
うちの娘も部活中に発見したそうです。