
砂浜海岸に打ち上げられた植物性漂着物、おそらく伊勢湾北部の川の増水により流されてきたものであろう、その堆積物の中にはどんな生き物が居るのだろう。何種類かの昆虫は死骸で見つかった。
生きている昆虫の中でカメムシはこのコバネナガカメムシだけであった。
ナガカメムシ科で、短翅型と長翅型がある。この個体は短翅型、翅らしい翅がないので幼虫に思えた。体長は5ミリ前後。マコモやヨシに寄生しているらしいが、田中川干潟ではこれまで見つけていないので、どこかの川からヨシやマコモにくっついて漂着したものと思われる。
さて、何個体も動き回っていた彼らの運命は今後どうなるのだろう。今、生活している場所はだんだん砂に埋もれていく。堆積物の中で死んでしまったとしても、死骸を見つけるのはむつかしい、海風は小さな彼らの死骸を吹き飛ばしてしまうだろう。
干潟のヨシ原までは50メートル以上も離れている。間には干潟もある。翅のほとんどない彼らが無事に寄生できるヨシまでたどり着ける可能性は高いとは思えない。
2006.5.5