田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

シロズヒメヨコバイ

2009-05-04 | カメムシ
シロズヒメヨコバイ
ヨコバイ科のシロズヒメヨコバイ Aguriahana triangularis (Matsumura, 1932)

庭のヤツデの葉上に白黒模様の何かが居る。
とりあえず写真を撮る。1枚撮ったら、居なくなった。生き物だ。
すぐに戻ってきてくれたが、カメラを近づけるとまた逃げてしまう。

シロズヒメヨコバイはバラとクサイチゴの葉を汚損する害虫として知られている。
体長は翅端まで3.5mm内外。黒紋の大きさと形状にはかなりの個体変異がある。本州・四国・九州および台湾の山地に分布。(新訂原色昆虫大図鑑より)

ヤツデキジラミ

2009-05-03 | カメムシ
ヤツデキジラミ
カメムシ目キジラミ科のヤツデキジラミ Cacopsylla fatsiae (Jensen)

庭木の新緑の葉を毎日眺めている。
しゃがみこんでいると、いろんな虫たちが眼の前に現れてくれる。
ひと目でヤツデキジラミだろうと思った。いつかは会えるだろうと思っていた。実物は初めてである。

体長は2.6~3.4mm。背面には濃褐色の縦縞模様がある。前翅は透明、第2肘脈の内方寄りに暗褐色の斑紋がある。触角は長く、頭幅の1.7倍以上。
1年に何回か発生するが、夏にはあまり見られない。幼虫はヤツデの葉裏の主脈に沿って、また新芽に群がって吸汁する。(新訂原色昆虫大図鑑より)

ヤツデの葉裏をまた覘いてみよう。今度は幼虫に会えるかも。
2009.5.1

ナベブタムシ

2009-04-28 | カメムシ
ナベブタムシ
カメムシ目ナベブタムシ科のナベブタムシ Aphelocheirus vittatus Matsumura

雲出川水系のとある河川の上流部に出かけた。
川の生き物観察会に参加して、複数の講師からいろいろ教えてもらった。
こういう場所にはあまり行ったことが無いので、どの生き物も初めて見るものばかりであった。
ナベブタムシは以前から名前や姿は覚えがあるが、実物を見るのは初めてであった。
体長は1センチも無い。渓流にすむ。
ナベブタムシ類は成虫になっても水中の酸素をとって呼吸することが出来るので、生涯を水中で過ごすことが出来ると、ある図鑑に記述されている。

素手でつかんで講師に渡したら、講師はピンセットで受け取った。「こいつには痛い目にあっている」と言う。
ナベブタムシを裏返して腹側を見ると、長い口吻があった。この口吻で他の水生昆虫の体液を吸っているという。こんなのに刺されたら痛いに決まっている。
図鑑の検索表にナベブタムシ科は「口吻は長く、前腿節より長く、中基節に達し、末端節はその前節より短い。触角は頭部の側縁を越える。前脛節は直線状で、その付節は可動性」とある。

2009.4.26
ナベブタムシ

ナベブタムシ

ヨコバイ科のコミミズク

2009-04-25 | カメムシ
コミミズク
ヨコバイ科 Cicadellidae ミミズク亜科LedrinaeのコミミズクPetalocephala discolor(Uhler)

夕方、車で出かけて用水路沿いの農道を歩いた。家に帰ってから腕を見ると、上着に見たことの無い虫が歩いているのに気づいた。歩き方はおっとりしている。体長は翅端まで10ミリはある。

頭部の前方は扁平化し、葉状を呈するのがミミズク亜科の特徴という。
ミミズクは本州、四国、九州に分布し、アラカシなどに普通。成虫は5~6月に現れるなどと図鑑に記されている。雌のほうが大きい。
後脛節は扁平化せず、頭頂の側縁は反り返っていないので近似種とは見分けが付く。
あちこち調べてみると、4月下旬頃には成虫の姿が見られ、体色の濃淡は変異が大きいらしい。ブナ科の木に見られるらしいが、私は今日そんな木があるところには行っていない。昨日は里山のアラカシに近づいていた。ひょっとしたら、昨日のうちに車に乗せてしまっていたのかも。
出歩けば、いろいろ会えるものだ。
「そんなに毎日あちこち行ける場所があるんですか、あの方には」と人に言われているらしい。

2009.4.25
コミミズク

アオクサカメムシ

2009-01-19 | カメムシ
アオクサカメムシ
庭のロウバイの花に一匹のアオクサカメムシがもぐりこんでいた。
近縁種にミナミアオカメムシがあるが、図鑑によると「両種の間の生殖的隔離は完全でなく、混生地域では自然交雑が起こっている」という。どちらも成虫の体色に遺伝的な変異が多いという。
カメムシ科のNezara属なのだが、どちらの種か、決めかねるのでとりあえずアオクサカメムシとしておく。
広食性で、いろんな植物を吸収する。
成虫越冬するようだ。
2009.1.14

ケブカカスミカメ

2009-01-09 | カメムシ
ケブカカスミカメ
ケブカカスミカメ Tinginotum perlatum Linnavuori,1961

車の室内にケブカカスミカメがいた。いつから、どこで入ってきたのか分からない。
駐車場の横にロウバイが花を咲かせているので、そこへ放した。いたく気に入ったようで、花の中へ入ったまま出てこなかった。
津駅西付近の林縁でも見かけたことがある。西日本に広く分布しているという。
体長は約5ミリ。背面は長毛が密に生えているが、肉眼では分かりにくい。成虫越冬する。
2009.1.6

ケブカカスミカメ

スカシヒメヘリカメムシの家族

2008-10-08 | カメムシ
スカシヒメヘリカメムシ
伊勢市の宮川へ出かけた。車が入れない堤防上を歩く。
クズの葉やオオニシキソウにカメムシの家族が暮らしていた。
ヒメヘリカメムシ科のスカシヒメヘリカメムシ
前翅は透明。
体長は5~7ミリ。
体色に赤みのある個体も見られたので、色彩の変化が多いようだ。
イネ、アワなどのイネ科植物やその他の植物に寄生する。
2008.10.7

スカシヒメヘリカメムシ

スカシヒメヘリカメムシ

オオホシカメムシ

2008-09-17 | カメムシ
オオホシカメムシ
オオホシカメムシ科のオオホシカメムシ Physopelta gutta

津市の豊津海岸でヤブガラシに訪花するオオホシカメムシと出会った。
数年前にアカメガシワに居るのを見たこともある。
体長は15~19ミリ。
良く似たヒメホシカメムシ同様、灯火に飛来する。
ヒメホシカメムシよりもはるかに大型で背面の点刻が弱い。
19ミリサイズの個体は標本でしか見たことが無い。えらく細長いと感じた。
2008.9.16

ブチヒゲカメムシ幼虫と成虫

2008-07-26 | カメムシ
ブチヒゲカメムシ幼虫
海岸の荒地にダキバアレチハナガサが群生している。
その内の一株に近づくと、ブチヒゲカメムシの幼虫と成虫が何匹も見られた。
隣の株には一匹も居なかった。
ブチヒゲカメムシはマメ科、キク科、イネ科など多くの植物に見られるという。
私はクマツヅラ科のダキバアレチハナガサにいる彼らを何度も見かけている。
2008.7.21

ブチヒゲカメムシ幼虫
ブチヒゲカメムシ5齢幼虫 かなり毛深い

ブチヒゲカメムシ成虫
ブチヒゲカメムシ成虫 カメムシ科

オオキンカメムシ

2008-06-25 | カメムシ
オオキンカメムシ
花盛りのマサキの木に、いかにも南方系の生き物ですといわんばかりの派手な色彩のカメムシを見つけた。辺りを探したが、この1個体のみであった。
30分以上観察していたが、あまり動き回らなかった。
体長は25ミリほど。オレンジ色の地に黒色の紋があり、腹面の一部がピンク色をしていて、どの色も光沢を持っていて美しい。
キンカメムシ科のオオキンカメムシ Eucorysses grandis (Thunberg)
標本にすると、生時の色は保てないらしい。
三重県内では南伊勢町あたりの海岸近くの照葉樹林で越冬個体が群れていると聞いている。
幼虫はセンダンの実も食べるという、近くにあるセンダンにオオキンカメムシの幼虫はいるのだろうか。
2008.6.25

オオキンカメムシ

砂浜のアカスジカメムシ

2008-06-17 | カメムシ
アカスジカメムシ
芦原海岸のハマボウフウを見て歩いた。ひとつの株にアカスジカメムシがいるのに気がついた。
ハマウドにいるのは何度か見ている。ハマボウフウも同じセリ科植物だから、寄生していても不思議は無いのだが、シチュエーションが違う。背の高いハマウドでは首を伸ばして観察していた。砂浜のハマボウフウでは座り込んで観察できる。
赤と黒の2色で出来ている体。
5本の赤い縦縞は濃淡や幅に変化が多いという。
ハマボウフウの花もほとんど咲き終わり、果実が作られていく。アカスジカメムシはハマボウフウの未熟な果実の汁を吸収していた。
2008.6.11

アカスジカメムシ

ネムノキで暮らす蛾とカメムシ

2008-06-12 | カメムシ
ハグルマトモエ
海岸のネムノキ群生地に出かけた。
大きな蛾が飛び出してきて、草むらの中に消えて行った。
すぐに見つかった。前翅長が3センチ前後もあり、大きな目玉模様がある。
ヤガ科シタバガ亜科のハグルマトモエ
幼虫はネムノキを食べ、終齢幼虫の体長は6センチを超えるらしいが、未見である。
この蛾が飛んでいるときに、翅の一部が赤色をしているように見えたが、止まった姿からは赤色の部分は見えていない。

ネムノキの葉上には、ヘリカメムシ科のオオクモヘリカメムシの姿も見えた。ネムノキに寄生するカメムシである。
2008.6.11

オオクモヘリカメムシ

ツチカメムシ

2008-06-08 | カメムシ
ツチカメムシ
コウボウムギやハマボウフウ、ハマヒルガオが群生する砂浜で数時間過ごした。
海浜植物の株周りを探していて、一匹のツチカメムシを見つけた。
体長は8ミリ。ツチカメムシ科
植物の根や地表に落ちた木の実を吸収する。他の昆虫も食べる。
2008.6.6

クロモンサシガメ幼虫

2008-05-01 | カメムシ
クロモンサシガメ幼虫
野菜畑で、敷き藁を取り除いていたらクロモンサシガメの幼虫が走り出した。
なかなか止まってくれない。草の根際や土の隙間に隠れようとする。
地表性のサシガメで、西日本では人里近くで最も多いという。
五齢幼虫だから、もうすぐ真っ黒な成虫に会えるだろう。
2008.4.29

ヒメジュウジナガカメムシ

2008-04-23 | カメムシ
ヒメジュウジナガカメムシ
鈴鹿川の河川緑地公園でヒメジュウジナガカメムシの集団に出会った。
イネ科植物の草むらの中で群生していた。
話には聞いていたが、こんなにたくさんの数が群生しているのを見るのは初めてだったので感動した。
それにしても彼らは何をしていたのか。日光浴をしているくらいにしか見えなかったが。
ナガカメムシ科
2008.4.20

ヒメジュウジナガカメムシ