フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

映画館

2010-10-21 23:20:53 | Weblog
貴方の思い出の場所は?とアンケートをとると映画館と答える人は多いでしょうね。私もその一人です。
思い出話は後述するとして、戦後長く続いた映画館が時代についていけなくなり幕を降ろすことが多いなかで、古い映画館を改修して、芝居小屋として再出発させます。それも明治の大衆劇場として有名で、現在は犬山の「明治村」に移されている「呉服座(くれはざ)」を再現するのです。
呉服座は歌舞伎や漫才等の大衆娯楽の劇場でしたが、テレビの普及によって1969年に廃業したのです。それを子供の頃に呉服座で見た演劇の感動が忘れられないアマチュア劇団の座長が費用をすべて負担したのです。
同じようにテレビの普及で町の映画館がどんどん減ってゆきました。懐かしい商店街へ出掛けると「ああ、ここに映画館があったよね」という台詞が必ず出てくるように、映画館は最高の思い出の場所です。当時は座り心地もそれほど良くなく、音響も時には映写機の回る音が聞こえてくるほどでしたね。なにより、そんなに清潔ではありませんでした。にもかかわらず思い出の場所だったのは、まさに生活のなかで、晴れの場所だったのです。娯楽の中心に映画があったからですね。
いまでも映画と映画の間にお菓子を売りにくる売り声が蘇ります。