麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

冥王星と地球

2014年08月29日 | 鑑賞

ラグビーというスポーツは15人
(7人制もあり、そちらは次回五輪の
正式種目に決まっている)で
行われ、ポジションはおおまかに
フォワード(FW)8人とバックス(BK)7人。
バックスの中のハーフバック(HB)2人が
やや特異な仕事をこなす。

※※※

劇団銅鑼ドラマファクトリーvol.八
『たったいま八月の冥王星で
たったいま八月の地球では』
(テキスト/和合亮一、
構成・演出/篠本賢一)を
昨日拝見しました。

蛇足ながらvol.八はミスタッチじゃなく
タイトルの二つの八にリンクしています。

※※※

現代詩を演劇化するという困難な作業。
けれども、構成・演出の篠本は、
2005年、和合の現代詩の舞台化に着手し、
本作まで既に四本の創作実績がある。
その経験値が生きた作品だった。

銅鑼としては初の試みだから
難解と感じた観客も多かったと思う。
演出家はそれも織り込み済みで、
心憎い戦術を企んだ。

序盤。
このシュールな世界に引き込むため、
既に篠本作品を二度踏んでいる
三田直門でゲインを重ねていく。

三田はラグビーのFWのように、
泥臭く突進し基点を作るのだ。
そこからラックやモールを展開し、
初めてラグビーを見る人が
勇猛果敢なぶつかりあいに
引き込まれるように
「詩×劇」に誘っていった。

中盤。
サイドライン間際での密集。
その逆サイドにたった一人
FW永井沙織を残し、そこにパスが出る!
スピードがあるウイングではないが、
基本に忠実な動きで無人のフィールドを
永井は疾駆し鮮やかにトライを決める。

完全にゲームの主導権を握ると、
銅鑼のエースでもある館野元彦が
試合終盤をコントロール。
言葉が縦横無尽に飛び交う
和合の現代詩を、スタンドオフ
(HBのポジションの一つで司令塔の役割)
よろしく、フィールド中央で
縦に横にと自由に展開し、
スタンドを熱狂させた。

※※※

実際舞台は横長で客席は対面式。
舞台両側には天井に続く梯子があり。
詩の縦横無尽さを視的に演出もしていた。

またチェロの素晴らしい生演奏
(丸山剛弘)が宇宙観を
倍増させていたのだが、
和合×篠本の初演以来、音楽で参加し
「詩×劇」を熟知している藤田佐知子の
曲がベストフィットして心地よかった。

※※※

『たったいま八月の冥王星で
たったいま八月の地球では』の出演俳優は
前述の中堅三人と若手五人。
「one for all, all for one」
アンサンブルの精度も高かったのだが。

同時に高原瑞季の輝きが際立ってもいた。
「作者の妹」を先輩女優とともに演じたが
透明感がありながら、地に足のついた
存在感は「看板女優」へのオーラ!

『砂の上の星』で鮮烈デビューを果たした
土井真波とともに、今後劇団を
背負って立つよう精進を望む。

※※※

8/27(水)~31(日)、銅鑼アトリエにて。
ただし全ステージ完売だそうです。

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