「キル・ビル」のルーツを探せ!(その24)★邵氏兄弟有限公司/敵陣に乗り込むヒロインは・・・
■「大酔侠/大酔侠」(1966年・香港)
監督=キン・フー
主演=チェン・ペイペイ ユエ・ホア チェン・ハンリェ
ショウ・ブラザースの未公開作が次々と観ることができるようになって嬉しい限り。本作「大酔侠」は、香港での武侠映画ブームを起こしたとされる重要作。映画秘宝別冊の「キル・ビル」研究本「キル・ビル」&タランティーノ・ムービー インサイダーによれば、この映画からは、クレイジー88とブライドが戦うところ、パイ・メイの元で修行するくだりが引用だとされている。映画が始まってしばらくすると、ヒロイン金燕子(チェン・ペイペイ)が酒場にやってくる場面がある。ヒロインの周りに次々と悪党が現れ、一人戦うことになる。ここの金燕子の強いこと強いこと!。観ていて実に爽快な活躍ぶりだ。待てよ、酒場で女一人が悪漢に襲われて大活躍・・・って「グリーン・デスティニー」のチャン・ツィイーじゃん!。と思ったあなた、いい発想ですよん。実はヒロインを演ずるチャン・ペイペイは「グリーン・デスティニー」の悪役ジェイド・フォックスを演じている女優さん。チャン・ツィイーのアクションが決まった後のポーズがやたらかっこいいあの場面は、「大酔侠」へのオマージュなんだろう。
ヒロインは強敵の前に破れる。影ながら彼女の力になってきた男(これが武術の使い手である酔侠)が、彼女を助け出し、傷の手当てをし、協力を申し出る。しかし彼は悪党のアジトである寺院から帰った途端に浮かぬ表情を見せる。それは悪党一味の協力者が、自分の兄弟子だったからだ。しかも兄弟子は師匠を殺した憎むべき相手。青竹派というその流派はとにかく凄い。手のひらから強い風圧の風を出し、滝の流れをも分かつ。クライマックスは兄弟弟子同士の死闘。さすがはショウ・ブラザース!と言いたくなるような血みどろの死闘。キン・フー監督というと武侠映画の傑作「侠女」(「LOVERS」でチャン・イーモウがパクった(失礼)竹林の戦いが有名。カンヌ映画祭では受賞も!)で知られる名監督。どちらかというとスタイリッシュなイメージが強かったのでこれは意外だったなぁ。”ヒロインと悪の群衆”が「キル・ビル」の元ネタということだが、僕は酔侠と兄弟子の対決も「キル・ビル」に影響を与えたのでは・・・と推測する。ビルとブライドは師弟にして元恋人。エル・ドライヴァーとブライドはパイ・メイの弟子同士。「大酔侠」での酔侠は兄弟子に恩義を感じているところが弱みなれど、戦いを挑んでいく。エル・ドライヴァーは師匠パイ・メイを殺しているだけに、ブライドとの戦いは仇討ちの意味も込められている。アクションを単なる戦いやドンパチに終わらせず、観客がそこに込められた登場人物の思いと一体になることで、よりよいアクション映画が生まれる。「キル・ビル」に僕らが惹かれるのももちろんそれが理由なのだ。
■「大酔侠/大酔侠」(1966年・香港)
監督=キン・フー
主演=チェン・ペイペイ ユエ・ホア チェン・ハンリェ
ショウ・ブラザースの未公開作が次々と観ることができるようになって嬉しい限り。本作「大酔侠」は、香港での武侠映画ブームを起こしたとされる重要作。映画秘宝別冊の「キル・ビル」研究本「キル・ビル」&タランティーノ・ムービー インサイダーによれば、この映画からは、クレイジー88とブライドが戦うところ、パイ・メイの元で修行するくだりが引用だとされている。映画が始まってしばらくすると、ヒロイン金燕子(チェン・ペイペイ)が酒場にやってくる場面がある。ヒロインの周りに次々と悪党が現れ、一人戦うことになる。ここの金燕子の強いこと強いこと!。観ていて実に爽快な活躍ぶりだ。待てよ、酒場で女一人が悪漢に襲われて大活躍・・・って「グリーン・デスティニー」のチャン・ツィイーじゃん!。と思ったあなた、いい発想ですよん。実はヒロインを演ずるチャン・ペイペイは「グリーン・デスティニー」の悪役ジェイド・フォックスを演じている女優さん。チャン・ツィイーのアクションが決まった後のポーズがやたらかっこいいあの場面は、「大酔侠」へのオマージュなんだろう。
ヒロインは強敵の前に破れる。影ながら彼女の力になってきた男(これが武術の使い手である酔侠)が、彼女を助け出し、傷の手当てをし、協力を申し出る。しかし彼は悪党のアジトである寺院から帰った途端に浮かぬ表情を見せる。それは悪党一味の協力者が、自分の兄弟子だったからだ。しかも兄弟子は師匠を殺した憎むべき相手。青竹派というその流派はとにかく凄い。手のひらから強い風圧の風を出し、滝の流れをも分かつ。クライマックスは兄弟弟子同士の死闘。さすがはショウ・ブラザース!と言いたくなるような血みどろの死闘。キン・フー監督というと武侠映画の傑作「侠女」(「LOVERS」でチャン・イーモウがパクった(失礼)竹林の戦いが有名。カンヌ映画祭では受賞も!)で知られる名監督。どちらかというとスタイリッシュなイメージが強かったのでこれは意外だったなぁ。”ヒロインと悪の群衆”が「キル・ビル」の元ネタということだが、僕は酔侠と兄弟子の対決も「キル・ビル」に影響を与えたのでは・・・と推測する。ビルとブライドは師弟にして元恋人。エル・ドライヴァーとブライドはパイ・メイの弟子同士。「大酔侠」での酔侠は兄弟子に恩義を感じているところが弱みなれど、戦いを挑んでいく。エル・ドライヴァーは師匠パイ・メイを殺しているだけに、ブライドとの戦いは仇討ちの意味も込められている。アクションを単なる戦いやドンパチに終わらせず、観客がそこに込められた登場人物の思いと一体になることで、よりよいアクション映画が生まれる。「キル・ビル」に僕らが惹かれるのももちろんそれが理由なのだ。