■「ラヴソング/甜蜜蜜(Comrades-Almost a Love Story)」(1996年・香港)
監督=ピーター・チャン(陳可辛)
出演=レオン・ライ マギー・チャン エリック・ツァン クリストファー・ドイル
●1997年香港電影金像奨 作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞・美術賞・撮影賞
・衣装メイクアップ賞・音楽賞・脚本賞
●1997年金馬奨 作品賞・主演女優賞
●1997年香港映画批評家協会賞 作品賞・監督賞・主演女優賞
テレサ・テンの歌声にのせて、運命のいたずらですれ違いを続ける男女の姿を描くピーター・チャンの大ヒット作。テレサ・テンが好きだというと、大陸出身者だとわかってしまう、というエピソードが興味深い。この映画観てると、当時の中国人にとって、香港は想像以上に”別の世界”だったというのがよくわかる。「海外に出ていった人たちはみんな中国に帰って来てるわよ」とマギー・チャンが言われる95年で、この物語は終わるんだけど、香港返還を控えた中国の人々の姿を通じて、香港経済・社会の移り変わりをこの映画から読みとることもできるだろう。
でも、恋愛映画として観るのならば、この映画全編に流れる切なさを観ている自分が受け入れられるかどうか、それぞれの切なさを抱える登場人物たちに感情移入できるか、そこでこの映画が気に入るかどうか決まっちゃうのかな、と思う。
マギー・チャンは強さを表面に出しながらも”耐える女”。「友情」と強がりながらも・・・切ない。
一方、レオン・ライは、「友情」の名の下でうまいこと二股をかけた男!ってイメージがどうしても最後までつきまとい、彼には感情移入しにくかった。ただ、慣れない都会生活での寂しい気持ちは理解できる。「怒ったらもう会ってくれないだろう?」 ここはこっちまで切なくなったね。
やくざのオッチャン、パウさんのエリック・ツァン。自分を怖がらず「鼠しか怖いものがない」というマギー・チャンのためにミッキー・マウスの刺青を入れるなんて、男のかわゆさ(?)が出てる。「俺は方々に女がいるんだ。お前も他に男つくれよ。」といいながらマギーを抱きしめるあたりは泣けてきた。こっちに感情移入するなんて、僕も年とったのかな・・・。レオン・ライのおばさん、これもまたいい。ウィリアム・ホールデンとペニンシュラホテルで食事した若い頃の思い出を大事にする姿は実に印象的だ。クリストファー・ドイル扮する英語教師が去っていく姿も短いんだけどジンときた。こうしてみると、愛すべき登場人物たちばかりだな。
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