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Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

南太平洋

2024-04-27 | 映画(ま行)


◾️「南太平洋/South Pacific」(1958年・アメリカ)

監督=ジョシュア・ローガン
主演=ミッチー・ゲイナー ロッサノ・ブラッツィ ジョン・カー ファニタ・ホール

うちの親父殿世代には、きっと思い出深い映画なんだろう。8トラック(懐)のカーステレオで、このミュージカル映画の代表曲「魅惑の宵」を聴きながら、映画とロッサノ・ブラッツィについて話していた記憶がある。当時はメロドラマの色男役を多数演じていた人。あーそうだそうだ、僕も「旅情」は観たことある。ベネチアを旅行するアメリカ女性をしつこく口説くイタリア男だった。「南太平洋」では、ポリネシアで農園を営むフランス人の中年寡(やもめ)役。従軍看護士のアメリカ女性に恋をするのだが、どうも暗い過去があるらしい。

ブラッツィの歌は吹替えのようだが、彼をめぐるエピソードは、中年男とヤンキーガールのコテコテメロドラマなので、持ち前の魅力が発揮されているのだろう。彼女を丘の上から見送りながら、
この恋を逃してはならなーいー♪
と歌う野太い低音に、恋する男の執念を感じる。若い頃これを観てたら、多分暑苦しいヤツとしか思えなかっただろう。

映画ではもう一つの恋が描かれる。ポリネシア海域に展開する敵兵力偵察のためにやってきた若い中尉が、バリハイ島に住む現地の娘に恋をするエピソードだ。アメリカ兵たち相手に仕事をする現地の肝っ玉母ちゃんみたいな女性が、彼に向かって高らかに歌うのは、このミュージカルの代表曲「バリハイ」。
バリハイ島があんたを呼んでいるー♪
女性との関わりが欲しい部下の兵士たちと共に島に渡った中尉。美女たちとエキゾチックな祭りを部下が楽しんでいる間に、肝っ玉母ちゃんが中尉と美しい娘を引き合わせる。片言のフランス語でしかコミュニケーションがとれないけれど、二人は確実に恋におちた。イチャイチャする二人を見ながら肝っ玉母ちゃんは言う。
「いい婿になるよ!」
婿探しだったのかっ!🫢

その場面で流れる✋🫱手振りが楽しい楽曲がHappy Talk。あー、知ってる♪このミュージカルナンバーだったのか。

そんな楽曲は確かに素晴らしいのだけれど、ミュージカルシーンになると、画面の色彩が突然変わる。舞台照明を意識しての演出らしいが、テレビの色彩設定がおかしいのかと疑ってしまう。コピーガードが働いて色調が不安定になるVHSの映像を思い出してしまった。てか、そんな現象と一緒にしては、ジョシュア・ローガン監督に失礼ですよねー💧

女性を賛美する楽しい曲There Is Nothin' But A Dameが好き。第二次世界大戦下のポリネシアが舞台なので、字幕で"敵"と訳されているのは"Japanese"。クライマックスは歌唱シーンが控えめになって、危険な任務に就いた中尉とフランス男が話の中心となっていく。このパートに力を注ぐと冒険活劇ぽく仕上がりそうだし、人種偏見もテーマとして含まれるだけに、もっと描きようがあるだろうと古臭く感じる方もあると思う。だがそれも時代。バリハーイ♪のメロディがしばらく頭に残ること必至。





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マーガレットと素敵な何か

2024-02-03 | 映画(ま行)



◾️「マーガレットと素敵な何か/L'age De Raison」(2009年・フランス=ベルギー)

監督=ヤン・サミュエル
主演=ソフィー・マルソー マートン・ソーカス ミシェル・デュショーソワ ショナサン・ザッカイ

ソフィーの笑顔に会いたくなって、未見だった「マーガレットと素敵な何か」をセレクト。ん?監督はヤン・サミュエル。げっ!あの共感ポイントが見つけられなかった長ーいタイトルのおフランス映画の監督やん!大丈夫か?またどよーんとした気分になっちまうんじゃないよな。と思いつつ、再生ボタンを押した。ガーリーでポップなコラージュ満載のタイトルバック。

工業プラントを販売するビッグビジネスに携わっている主人公マーガレット。忙しい日々を送る彼女の元に元公証人の男がやって来る。7歳のマーガレットが40歳の自分に宛てて手紙を送るように依頼したというのだ。大事な商談の時期だが、彼女は過去の自分から届いた手紙に夢中になっていく。彼女は両親の離婚から始まる幸せとは言い難い生い立ちを断ち切るため、本名のマルグリットではなくよりデキる女をイメージできるとしてマーガレットと名乗っていた。誕生日に家具が差し押さえられ、その後父親が家を出て行く回想シーンの強烈な印象。あの長い邦題の映画同様、映像センスはなかなかだ。

7歳の自分に導かれて、様々な再会を果たす。引っ越し前に仲良しだった穴掘り名人の男の子、長年疎遠だった弟。元公証人から聞いたピカソの言葉「自分自身になれ」というひと言から、マーガレットはじわじわと今の自分にまとわりついた縛りをほどき、自分を取り戻していく。

この監督が不思議ちゃんだからなのか、ヒロインが過去の自分からの手紙で揺れ動く感じがどうも掴みにくい。商談がからむパーティに行く途中なのに突然元に公証人の乗る電車をずぶ濡れで追いかけたり、支店長の女性上司に「アンタの上にいってやる」などと言う一方で仕事そっちのけで昔住んだ村に走ったり。それらはみんな過去の自分からの手紙が原因なのに、彼女の葛藤が伝わらない。仕事のパートナーから素敵なプロポーズ(子供につけたい名前リストを見せて求婚ってナイス👍)を受けたのに、彼との関わりが希薄になる。彼がすんなりマーガレットの決断を受け入れてしまうのも納得いかず。筋には必要ないよ、ってことなのかな。

ましてやこんな大掛かりな依頼をやったのなら、本人も少しくらい覚えててもよさそうなものだが、依頼したことすらマーガレットはうろ覚えに見える。人は変わるものだし、それだけ過去を断ち切ったということなのだろうけど、それでもトイレに流そうとするほど手紙にうろたえるものなのかな。

マーガレットが生活の大事な場面に臨む時に、憧れる偉大な女性たちをイメージして自分を奮い立たせるところが好き。エヴァ・ガードナー、マネーネ・ディートリッヒ、サッチャー、マザー・テレサなどなど、先人への敬意を感じる素敵な場面。ソフィーがそんなヒロインを演じてるのが、ファンには嬉しい。「ラ・ブーム2」で「雨に唄えば」のキャラを真似てた少女が、そのまま大人になったみたいでさ。



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マンハッタン殺人ミステリー

2024-01-17 | 映画(ま行)


◾️「マンハッタン殺人ミステリー/Manhattan Murder Mystery」(1993年・アメリカ)

監督=ウディ・アレン
主演=ウディ・アレン ダイアン・キートン アラン・アルダ アンジェリカ・ヒューストン

いゃぁー、面白かったし、何よりも繰り返し観たくなる楽しさ。ちょうどアレン先生がすったもんだがあって、ミア・ファローと破局した頃の作品。ミアが降板したので、かつてのパートナーであるダイアン・キートンが出演。でもね、このキャスティングは成功。

マンションの隣人である女性が死んだ。これを殺人だと疑念をもった妻ダイアン・キートンは、夫ウディの反対を押し切り、友人アラン・アルダの協力で素人探偵を始める。まさにヒッチコックの「裏窓」を彷彿とさせるストーリー。アラン・アルダの横恋慕とウディのジェラシーを絡めながら、物語は事件の核心へと迫っていく。

もし妻役がミア・ファローだったら、同じマンションの住民に疑惑を抱く姿に「ローズマリーの赤ちゃん」を重ねてしまって(笑)、情緒不安定な妻の妄想めいた話になっていたかもしれない。頼りないウディ・アレンの女性版な役柄を数多く演じてきただけに、似たもの夫婦が事件にあたふたしているコメディになっただろう。でも、ファッションや女性の生き方に主張があるダイアン・キートンが妻役だったことで、妻の暴走振りとそれに巻き込まれる夫の役柄が見事に生きている。ダイアン・キートンのファッションも見どころの一つで、「ネクタイは男っぽくなるから…」と二人の代表作「アニー・ホール」を茶化すような台詞も出てくる。二人の会話も自然なかけ合いだし、相変わらずの皮肉満載の台詞がなんとも粋なのだ。死んだはずの女性の死体を再び発見する場面では、「よく死ぬ女だな」とひと言。シリアスな場面なのに大爆笑ww

そして何よりも嬉しいのが、とにかく頼りない夫ウディ・アレンが決死の大活躍をするラスト。この展開、初期の共演作「スリーパー」を思わせる。映画ファンの心をくすぐるディープな仕掛けもある。保険金殺人の話であるクラシック映画「深夜の告白」(大傑作)が挿入されるのは、ストーリー上もなんとも意味深。クライマックスの映画館に追い詰められる場面では、鏡を使ったトリッキーでカッコいい撮影が緊張感を増してくれる。しかも上映されてる映画が同じく鏡を多用した場面が印象的なオーソン・ウェルズの秀作「上海からきた女」ってところがナイス。

サスペンスコメディとしても、マニアックな楽しみ方も両立してる見事な見事な映画。



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マドンナのスーザンを探して

2023-12-07 | 映画(ま行)


◼️「マドンナのスーザンを探して/Desperately Seeking Suzan」(1985年・アメリカ)

監督=スーザン・シーデルマン
主演=ロザンナ・アークエット マドンナ エイダン・クイン マーク・ブラム 

高校3年の頃。「ベストヒットU.S.A.」でBorderlineのPVを見て、マドンナのファンになった。本作はちょうどLike A Virginで大ブレイクする直前の出演作。ダンスフロアの場面とエンドクレジットで流れる主題歌は、大好きだったInto The Groove。この映画を当時観る機会がなくて、今回が初鑑賞である。

夫とのすれ違いが続くロバータは、新聞に個人が出している広告(日本風に言う一行広告ってやつね)が気になっていた。恋する相手に宛てたものもある中で、"必死にスーザンを探している"に目を引かれた。恋の現場を目にできるかも!と広告に書かれた待ち合わせ場所に向かうと、派手なジャケットの女性スーザンがいた。彼女が気になって後を追い始めたロバータは、スーザンが古着屋に売ったジャケットを購入する。スーザンはエジプトの秘宝のイヤリング盗難事件の犯人に関係していて、そのお宝を狙って追っ手が彼女に迫っていた。スーザンのジャケットを着たせいで、人違いされたロバータ。彼女は転倒した時に頭を打ち、記憶を失ってしまう。

お気楽なサスペンスコメディと思っていたら、単純な追いかけっこではなく、話がかなり混みいっている。スーザンに間違われたロバータを、犯人、ロバータを探す夫、スーザンが追いかける。そして、スーザンの恋人の友人デズとのラブコメ展開で、事態はさらに複雑になる。ロザンナ・アークエットがずっとあたふたしてる前半は、どうなることかと冷めた目で見ていたのだが、マドンナ演ずるスーザンがことの次第に気づいてからは、すれ違いに次ぐすれ違いがなかなか面白い。

ピチピチしていた頃のマドンナが、黒い下着姿を見せつけてくれる。デズが住むアパートの壁に、カンフー映画のポスターがでっかく描かれているのが気になる。少林寺ものっぽいけど何の映画だろ?




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ムースの隠遁

2023-11-09 | 映画(ま行)

◼️「ムースの隠遁/Le Refuge」(2009年・フランス)

監督=フランソワ・オゾン
主演=イザベル・カレ ルイ・ロナン・ショワジー メルヴィル・プポー マリー・リヴィエール

妊婦を主役にした映画を撮りたいと願っていたフランソワ・オゾン監督が、当時妊娠6ヶ月だったイザベル・カレを主役に撮ったのが本作「ムースの隠遁」である。

わたくしごとだが、自分が父親になるまでの数ヶ月間、妻の変化を通じて、女ってすげえ、男は絶対に敵わないと思った。丸くなったお腹で何が起こっているのかを考えると、それはまさに神秘。中高生の時だったか、叔母が授乳している姿をたまたま見てしまったことがある。ごめんなさい!と思う以上に、何か"神々しいものを見た"という気持ちになった。ゲイであるオゾン監督作には惹かれ合う男子もたくさん登場するが、同じくらいに女性の様々な魅力を賛美する映画を撮ってきた人でもある。妊婦の美しさをフィルムに収めた映画を撮りたいと願った気持ち、僕は理解できる気がする。

イザベル・カレを初めて観たのは、全編主観ショットという隠れた秀作「視線のエロス」。その後オドレイ・トトゥ主演作でお見かけしただけなのだが、気になる女優さんの一人だった。その2作品ではどちらかと言うとクールでキツい表情が印象に残っているのだが、「ムースの隠遁」でのイザベルは、とても柔らかい表情を見せる。映画は撮影した当時の俳優をそのまま写したものだ、って当たり前のことだけど、その時でしか撮れない貴重な時間を切り取っているのだなと改めて感じる。

ヘロイン中毒で死んだ恋人の子供を宿したヒロイン。恋人の母からは産まない選択肢を勧められる。葬儀の日で誰からも構ってもらえず、そんな冷たい言葉をかけられる。望まれない妊娠、望まれない自分。世間から隠れるように田舎の小さな家で暮らすムース。この映画の原題は"避難所"。その意味がだんだんと心に染みてくる。そこへ恋人の弟が現れる。彼もまた両親や世間と距離を置く理由があった。彼と過ごす数日間。彼と彼女の心の動きが繊細に描かれる。オゾン映画の優しい視線はこの映画でも健在だ。エンドクレジットを迎えて、名残惜しい気持ちになった。

弟ポールを演じたルイ・ロナン・ショワジーはミュージシャンで、本作の音楽も担当している。劇中ピアノで弾き語りをし、その曲はヒロインの癒しになっていく。エンドクレジットではイザベル・カレとのデュエットでその曲Le Refugeが再び流れる。

ムースが選ぶ結末が期待と違ってあまりに残念。でも、いつか3人の笑顔が並ぶ日が訪れるように…そんな祈りにも似た気持ちになった。



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名探偵ポアロ ベネチアの亡霊

2023-09-25 | 映画(ま行)

◼️「名探偵ポアロ ベネチアの亡霊/A Haunting In Venice」(2023年・アメリカ)

監督=ケネス・ブラナー
主演=ケネス・ブラナー ミシェル・ヨー ティナ・フェイ ジェイミー・ドーナン

アガサ・クリスティの「ハロウィーン・パーティ」を原作とする、ケネス・ブラナー=ポアロの第3作。前作の「ナイル殺人事件」がセット撮影や仰々しい演出だったから、次作はどうなるのかと案じていたのだけれど、オープニングからベネチアの美しい風景を満喫できる。コロナ禍がひと段落したこともあるのだろうか。

それにしても「ハロウィーン・パーティ」を舞台を変え、さらに「ベネチアの幽霊」とタイトルまで変えてホラー映画テイストにする趣向。ブラナー先生、ご乱心?。何を狙っているのかと心配になっていた。原作は未読だが、デビッド・スーシェのドラマ版は鑑賞済み。

ミステリー作家の女性から降霊会へと誘われるポアロ。彼女は霊媒師がすごいが、トリックがわからないと言う。その降霊会の後、霊媒師が殺害され、ポアロも危険に晒された。嵐が吹き荒れる中、屋敷に残された人々。彼らは屋敷にまつわる痛ましい過去から亡霊の仕業だと騒ぎ出す。果たしてポアロは犯人を見つけ出すことができるのか。

作家先生がドラマ版とは違って、前半はポアロの助手的な立場で事件に関わる。ポアロを世界で自分の次に頭のいい人物と言う、なんとも高飛車で自意識過剰な女性なのだが、後半は独自の推論を口にしてポアロの推理を混乱させる。しかしポアロにとっては、彼女も容疑者の一人。ドラマ版では、解決へのアイディアを出し、自分の推論を語って「小説ではありませんぞ!」と叱られる存在。

アップルボビングやハチミツなど原作にある要素を配置する一方で、登場人物の立ち位置や関係性は大きく改変されている。ドラマ版で印象的だった男と女の愛憎劇はなく、その代わりに心に残るのはホラー映画的な演出による全編の怪奇ムード。それでも人間関係を複雑に絡ませて、クリスティぽく仕上げているから、結末の謎解きは楽しめる。ドラマ版では、登場しないのに散々悪く言われる失踪中のメイドや、殺しの疑いをかけられる子供が本作では同名で登場するが、むしろ好意的な役柄に改変。ブラナー先生や脚本家は彼らに思い入れがあったのだろか。

医師親子を演じているのは、ブラナーの前作「ベルファスト」でも親子を演じたジェイミー・ドーナンとジュード・ヒル。霊媒師を堂々と演ずるのはミシェル・ヨー。こうしたこじんまりした舞台のクリスティ作品もいいけれど、「ABC殺人事件」や「死との約束」(「死海殺人事件」原作)を、ブラナーのポアロで観てみたい。





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ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART ONE

2023-08-06 | 映画(ま行)

◾️「ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART ONE」(2023年・アメリカ)

監督=クリストファー・マッカリー
主演=トム・クルーズ サイモン・ペッグ レベッカ・ファーガソン ヘイリー・アトウェル

この「デッドレコニングPART ONE」を観る前に、たまたまなのだが「キートンの大列車追跡」を観ていた。1926年の蒸気機関車のアクション映画と、2023年のオリエント急行で繰り広げられるアクションシーン。キートンは特殊撮影技術もない時代にこれを撮ったのか!!と、とにかく感激する。思えばイーサン・ハントのシリーズ第1作ではTGVが登場したし、鉄道を使った名作は数知れず。鉄道と映画ってほんとうに相性がいい。

どちらも鉄橋から列車が落下するシーンがあるけれど、トム君は簡単には落とさない。ギリギリ停まってセーフ!にせずに、畳みかける見せ場に繋がっているのが実に上手い。高所恐怖症の僕には、「ミッション:インポッシブル」シリーズはマジで心臓に悪い映画だ😰。今回も映画館の椅子にへばりついておりました💧。前作「フォールアウト」でも断崖の隙間に食い込んだ飛行機が少しずつ落下していくシーンがあり、従来横の空間が縦になる面白さがあった。今回はその発展形。スピルバーグは「ジュラシックパーク」の第2作で、本作の列車と同じように断崖にぶら下がったトレーラーの中をカメラが縦に駆け抜けるという妙技をやってのけた。あれも凄かったけど、トム君はその危機場面を繰り返す波状攻撃にしたんだから、すごいよな。

さらに予告編でおなじみのバイクスタント!高所恐怖症の自分は、クライマックスの恐怖感が強烈に残ってしまう映画でございました。これを4DXで観るなんて
無理!無理!無理!😱
映画料金おごってもらっても
固辞!固辞!固辞!😱
レビュー書いてるだけなのに、手のひらに汗が…💧。更年期?ww

シリーズ毎回新たなミッションが登場するけれど、ついにAIに立ち向かう大風呂敷広げてきた。このシリーズのプロデューサーとしてのトム君は、テーマや舞台の選び方、スタッフやキャストの人選まで時代をよく読んでると思う。使い途も分からない鍵だけを追って、よくここまで人が動くよな…とも思うけれど、もはや何が脅威になるかなんて予測不能な時代になっているとも言える。

レベッカ・ファーガソン、今回もカッコよかった。ローマの街を駆け抜けるカーアクションもど迫力。黄色のフィアット≒ルパン三世をイメージしてしまう日本人にはたまらない。鍵を狙って追ってくる組織は複数あって、対立関係も複雑なのに、お話の混乱もなくむしろスッキリしてるのは娯楽映画としてよく練られているということなのだろう。スパイ映画にベネチアはよく似合うと思うのは長年の007ファンの発想だろうか。

ともかく続編!待ち遠しい!😆




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メカゴジラの逆襲

2023-07-04 | 映画(ま行)

◼️「メカゴジラの逆襲」(1975年・日本)

監督=本田猪四郎
主演=佐々木勝彦 藍とも子 平田昭彦 大門正昭 内田勝正 

小学生の頃、長期のお休みに映画館に行くとなると、東映まんがまつりと東宝チャンピオンまつりの二者択一が目の前に。さぁー、どっちか連れて行ってやる!と言われたら、東映動画にどっぷりのロボットアニメ世代だし、民放2局の文化的僻地在住だったから、こういう機会でないと観られない作品が上映されてるのは断然東映。ゴジラ観たいよなぁーと思いつつも、チャンピオンまつりをスルーするお子ちゃまでした。てな訳でその時期の新作である「メカゴジラの逆襲」を観るのは今回が初めて。

前作でゴジラに葬られたメカゴジラの残骸を潜航艇が探していたところ消息が絶たれた。ボイスレコーダーに残った「恐竜だ!」のひと言。海洋研究所の一之瀬は、かつて学会を追われた真船博士が研究していたチタノサウルスだと考えた。真船博士の自宅を訪ねたが、玄関に現れた娘桂から父は死んだと聞かされる。しかしその背景には異星人の陰謀が隠されていた。

本作がシリーズワーストの興行収入だったことから、本作を最後にゴジラシリーズの製作は中止。84年の復活を待つことになる。されど面白くないかと言うとそれは違う。2対1と劣勢のゴジラがいかに勝利するかだけでなく、侵略者の企み、謎を追う国際警察と海洋研究所、桂を信じる一之瀬のラブ展開、真船博士の燃える復讐心、そして復活したメカゴジラの勇姿と見どころは多い。人間ドラマパートのシリアスな雰囲気は今の目線だから楽しめたのかな。

真船博士の娘を演ずる藍とも子は、「ウルトラマンレオ」で隊員の一人を演じていた女優さん。彼女がサイボーグ手術される場面では(明らかに不要なのに)フェイクの乳房が出てくるw。お子ちゃまを映画館に連れて行ったお父ちゃんはドキッとしたかも🤣。

それにしてもゴジラが日本に現れる必然性は全く語られない。チタノサウルスが現れたらゴジラが日本に向かってくるし、唐突に二人の子供が「ゴジラ助けて!」と叫んだら現れる。お子ちゃまのヒーローとしてのゴジラは極まった。




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マルサの女

2023-06-24 | 映画(ま行)

◼️「マルサの女」(1987年・日本)

監督=伊丹十三
主演=宮本信子 山崎努 津川雅彦 大地康雄 桜金造

伊丹十三監督の新作が毎年楽しみだった。それだけに亡くなった時はショックだった。監督第1作の「お葬式」観たのが高校卒業式の数日後。リアルタイムで観ている邦画の映画監督はたくさんいるけれど、こんなにハマった人はいない。「静かな生活」以外は全部観ている。「マルサの女」は大学時代。同時上映は吉永小百合主演「映画女優」。市川崑と伊丹十三の新作二本立てって、今思うとすごいな。

脱税を扱う映画なんて他に聞いたことないし、公開当時は自分がまだ納税者でもなかったから、本編に登場する脱税の手口、独特な登場人物たち、それに対抗する税務署の面々、そして大人の世界がただただ面白くって。税務署のお仕事映画としても、犯罪映画としても面白い。テレビで放送されるから、親に「これ面白いでぇ!」と伝えたら、ファーストシーンでいきなり老人がおっぱい吸ってるから、ドン引きされたっけ😅。

それからウン十年経って、ええ歳した社会人の目線でこの映画観ると、あの頃とは気になるポイントが違う。登場人物を深掘りしてしまうのだ。男性中心のあの時代にシングルマザーでハードワークをこなす板倉亮子。私生活は描かれないが物語の裏で辛いことあるんだろうな、と想像してしまう。それだけに権藤の息子太郎が叱られて家を飛び出す場面でのやり取りで感じる温かさは、公開当時の自分には十分に分からなかっただろな。架空名義の口座はないと言い張る銀行は悪として描かれるけれど、個人情報など難しいことが言われなかった時代のユルさ。「泣いて百万でも二百万でも助かるんならいくらでも泣いてやる」と伊東四朗が電柱に抱きついて泣く場面は、あの頃はただ笑ってたけれど、今ならその気持ちも分からんではないw。

そしてラストシーン。初めて観た時は、権藤が単に観念したんだと思っていた。けれど今観ると税をめぐっては対立する関係でありながらも、お互いを認め合っていることが無言でも感じられるのがいい。酒場に亮子が忘れていったハンカチを権藤が持っていて、それに血文字で番号を記して亮子に返す。あんたに一目置いている、息子のことで感謝している、でも自分を追い詰めた相手、暗証番号は教えるのは観念してるのだけど、些細な抵抗と別れのサイン。改めて台詞の少ないこのラストにシビれた。

本多俊之の有名なテーマ曲。5拍子に艶のあるソプラノサックス。





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劇場版マジンガーZ/INFINITY

2023-06-02 | 映画(ま行)

◼️「劇場版マジンガーZ/INFINITY」(2017年・日本)

監督=志水淳児
声の出演=森久保祥太郎 茅野愛衣 上坂すみれ 花江夏樹

「マジンガーZ」は70年代の巨大ロボットアニメブームの火付役。それまでのアトムや鉄人28号と違って、パイロットが搭乗して操縦するのは画期的で、男子の力への憧れ、変身願望を満たしてくれる重要な作品だった。その後日談として製作された新作。

光子力が社会を支える重要なエネルギーとして平和利用される未来が舞台。弓教授は総理大臣になっており、研究所はさやかが引き継ぎ、主人公兜甲児は研究者となっていた。富士山麓に突如現れた巨大な建造物と美少女姿のアンドロイド。蘇ったドクターヘルと機械獣たちが再び世界を襲う中、兜甲児は再びマジンガーで立ち上がる。

マジンガーZのアニメを毎週見て、ズタボロにやられる劇場版を映画館で観てショックを受け、雑誌テレビマガジンの付録?全プレ?のグレートマジンガーの銀色のカードを手にしてキャアキャア言ってた小学生だった。本作「INFINITY」には、こうした旧作への敬意がきちんと払われているのが好感。もりもり博士の遺影がチラッと登場するのもナイス。

巨大ロボットものもいろいろあるけれど、技や武器の名前を毎回叫ぶのはマジンガーがルーツ。改めて聞くとこれが気持ちいい。少年の気持ちに戻って叫びたくなる。ガンダムはビームサーベル!とか叫ばないもん。視聴者の気持ちを巻き込む仕掛けとして素晴らしい。それにロボットアクションの場面の面白さは、他のアニメとは違う。マジンガーを拘束する機械獣をロケットパンチで弾き飛ばしたり、ホバーパイルダーを一旦切り離して窮地を脱したり、技やマシンの性能をフルに使うアイディアは、弾を撃ちまくるだけのロボットアクションとはひと味違う。さすがは東映アニメーション。量産型マジンガーが、ガンダムのジムみたい。シローが乗ってるのはちょっと感慨深い。

東映まんがまつりの「暗黒大将軍」を彷彿とさせるダメージを負ったマジンガー。その窮地は全人類世界規模の力添えで立ち向かう。こういう展開、日本アニメはほんっと好きだよねー。「エヴァ」のヤシマ作戦にしても、「サマーウォーズ」のアバター大結集にしても。いや、東映がやってるんだもん、これは「ドラゴンボール」の元気玉の発展形なんだろうw。

永井豪作品つきもののお色気担当は、マジンガールズなる戦闘アイドルに託されていて、表現が露骨なのがちょっと残念。弓さやか好きのオールドファンとしては、さやかの露出こそお約束なのにーぃ🤣。

水木一郎アニキの歌声に気持ちがアガる。ご冥福を改めてお祈りします。







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