羽を休める鳥のように

きっとまた訪れる薄紫の夕暮れを待ちながら

思いのまま

2013年03月25日 | Weblog
母のホームに行く道は畑が多い。
野菜直売所もあってうれしい。

いつか小説で読んだ一本の枝に紅白の花をつける「思いのまま」
という梅が見事に咲き誇っていた。

          

母は最近、食堂で席替えがあったから嬉しい、ということを何回も言う。
どういうことかというと母をすごく慕ってくれているおばあさんがいる。
母より数ヶ月後に入所されてお耳が遠いのでよく大きな声で話している。
そのかたが慣れない頃、よく母がなだめたり説明したり聞こえないので
何かに書いて教えてさしあげたりしていた。
母にそういう面があったことに驚きつつスタッフの方々に「級長さんみたい」と
言っていただきちょっぴり誇らしくもあった。

社交性のまったくない家にだけいた母をホームにお願いするのはとても心配だった。
でも新築で少人数からのスタートだったので徐々に慣れてくれたようだ。
そして新しく入った方のお世話までするようになったとは、、、、。

でもやはりそれは母には負担になってきたようで、
新しいおばあさんの母への依存がエスカレートしていきそれを母がストレスと
感じている、ということにベテランスタッフの女性が気がついてくれた。

食堂ではいつも隣に座るおばあさんをすこし離してくれた。
それがほんとうにホッとしたの、と何度も何度もわたしに言っていた。
気がついてもらってよかった。

母の物静かで穏やかな雰囲気と喋り方やいつもメモを書いている知的な印象が
きっと気に入ってくれたのだろう。

先日わたしが行ったとき数人のおばあさんたちが食堂で過ごしていた。
わたしが顔をだして母は嬉しそうに「部屋いこう」と立ち上がる。
杖をついて歩き始めると離れた所にいたそのおばあさんが
「どこ行くの!?」とそれはそれは大きな声で呼びかけてきた。
すこし子どもじみて微笑ましくもあるがさすがにこれでは煩わしさもあるだろう。

いろんなおばあさんがいる。
その日、ベテランスタッフと話をした。
彼女は今月いっぱいで他所へ移ってしまうという。
また新しい出会いがある。