羽を休める鳥のように

きっとまた訪れる薄紫の夕暮れを待ちながら

母の歯

2012年05月11日 | Weblog
すこし良くなる。
すこし逆戻りする。
がくんと悪化する。母の様子はこの繰り返し。
圧迫骨折の進行。認知症。そして歯。
お風呂、洗面、洗髪、歯磨きは苦手トップ4で、
なかでも困るのは歯だと思う。
コドモのように膝に頭をのせて磨いてあげるわけにもいかず、
じぶんでするから大丈夫!というので歯ブラシセットや貼り紙で
実行してもらおうと試みるがなかなかうまくいかない。
ある日気がつくとようやく治療が終わって間がないのにまた歯が欠けている。
(なかなか口をあけて見せてくれない)
どうにか歯医者さんに連れて行く。
またタクシーで通院が始まるのだ。
「だから歯磨きしてって言ったでしょ」とつい小言を言えば
これまた「わたしは子供の頃から歯が弱くて須賀川の熊田歯科にいつも行っていた」と
耳にたこのお話が際限なくリピートされる。

老化は口から進行する、口が大事だとある人に以前教わったが
まったくその通りだと思う。
歯の具合が悪ければ食事ができない。
お粥を作っても手つかず、軟らかい煮物を作っていろどりも考えて小鉢に盛っても
手つかず。アンパンマンの小さなはんぺんを見つけたので出してみた。
あら、かわいいね、と言っていたが結局食べない。
母はずっと一人で気ままに食事をしてきたので、
わたしが傍にいると「後で」と言って食べないので用意して置いておく。
あとで食後の薬を持って片付けに行くという習慣になっている。
食べてもらえない日が続いて悲しくなった。
お菓子を食べると食事が入らないのでお菓子も少量しか置いていない。
好きなサンドイッチも野菜スープも食べていない日が続いたので、
衰弱してはタイヘンと好物のクリームパンやドーナツやバナナを食べてもらった。
プリンもゼリーもヨーグルトもじわじわと賞味期限が近づいてくる。

これではハンガーストライキみたいだと思う。
お願いだから食べてね、と軟らかいご飯、冷奴、少量スープを並べて
全部食べてくれたときはホッとした。
歯痛を言うことは全くない。
だから食欲不振の本当の原因はよくわからない。
今日は腰痛がひどくてかかりつけの先生のところへタクシーでようやく行った。
ほんのすこしの動きにも激痛を訴える。
また入院、、という話になったがとにかくいったんは帰宅して休むことに。
鎮痛剤が効いたのか午後は起きてすこしだけ食事もした。
よく眠っている。寝顔に安堵して一日が終わる。