羽を休める鳥のように

きっとまた訪れる薄紫の夕暮れを待ちながら

あきらめる

2010年01月15日 | Weblog
寒い。手が冷たい。パソコンしていても手が冷たいから、
時々ストーブの直前に行って温める。
熱いコーヒーを持ってきてもカップをこの手でさわるからすぐに冷める。

あまりに寒いと、ファイトがなくなりいろいろな事を諦める。

10月のはじめ頃、不思議な植物の種(が入っているらしい固形物)を見つけた。
だいぶ前にどこからか貰ってきてそのままになっていた。
直径4センチほどで、厚みが5ミリ位だった。
深めの皿に入れて吸水させてください、と書いてある。
「四季なりイチゴ、スグメガデール」と真面目に書いてある。

深めの皿に入れたら、水を吸ってすくすく縦に伸び、円筒形の可愛い形になった。
芽が出て双葉になるまでは、こまめに水遣りをと書いてあるので、
その通りにして面倒を見ていた。
山荘に行って留守にするときなど、娘に頼んだりした。

でも、芽がでないままどんどん秋が深まり冬に突入した。
たぶん、気温が低いからダメなのだろう。「四季なり」といううたい文句に
ひかれたし、イチゴとまでは望まないが、せめて芽がでるのを
目撃したくて、しつこく大切にしていた。

暖房のきいた部屋へと連れて歩き、昼の日差しが当たるように窓辺において
仕事に行き、猫に不審がられながら、夜はタオルで覆っておいた。
「トモダチだね」と娘に笑われて「そうなの」と答えたりして。

青いきれいな皿に入っている円筒形の小さな黒い物体は、
ふとした瞬間にはチョコケーキのようにも見えてナイフを入れたいと
思ったりもした。

いい加減、諦めればいいのだけれど、
植物の形をしていないから枯れるわけでもなく、
「もう放っておいて」というサインが見えない。

しかし・・・、今日見たら、ちょっと変色して茶色くなっていた。
どうにか冬を越したら芽が出るチャンスもあるかもしれないと、
ごくごく僅かな望みを捨て切れなかったが、やっぱりダメみたい。

そろそろ、諦めるときがきたようだ。
どうせなら、春を待ってお皿に入れてあげればよかった。

あきらめるって、さびしいね。