羽を休める鳥のように

きっとまた訪れる薄紫の夕暮れを待ちながら

二隻の舟(にそうのふね)

2009年08月14日 | Weblog
ここ4ヶ月ほど、つらくて聴けない歌があった。
寝つきの悪いわたしはクスリがないと眠れない。
クスリを飲んでも、眠いはずでも、眠れないときがある。
そういうときは好きな歌を聴きながら慰めて貰って眠りにつく。

中島みゆき「二隻の舟」
「おまえとわたしはたとえば二隻の舟 暗い海を渡ってゆくひとつひとつの舟
互いの姿は波に隔てられても  同じ歌を歌いながらゆく 二隻の舟」

「敢えなくわたしが 波に砕ける日には どこかでおまえの舟がかすかに
きしむだろう それだけのことで わたしは海をゆけるよ
たとえ舫い綱は切れて 嵐に飲まれても」

「風は強く波は高く 闇は深く 星も見えない
風の中で波の中で たかが愛は木の葉のように」

わたしの小さなウォークマンで、この歌を二人で一緒に聴いた事があった。
イヤフォンを片方ずつ分け合い、目を閉じて聴いた。

あれから月日が経ち、この歌が聴けないときも過ぎ、
好きな歌を手放さなかったわたしのところに再び二隻の舟は戻ってきた。

「ひとつずつの、そしてひとつの・・・」

たくさんのわからないことがあった。ようやくすこし明らかなったことも。
ゴチャゴチャの気持ちをすこしずつ整理して、
巣穴にかえるウサギのようにひっそりと居心地のよい場所も作った。


久しぶりにみゆきさんのアルバムを開いてみたら、
鳥獣戯画のような絵が目にとまった(以前は気がつかなかった)。
猿も蛙も、そして兎も、溌剌として楽しそうだ。