何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

顧客より経営が先という考え

2008-07-03 23:12:43 | 薬局経営
 先日、あるジェネリックメーカーの小冊子で、薬剤師4人の対談記事があった。みなどうやってジェネリックを国民に受け入れてもらおうか、医療への定着を図っていこうかを真剣に考えている中、あるチェーン薬局の経営者だけが「まず経営が成り立ってこそ、活動ができる」といった視点の発言をしており、一人だけ“浮いて”いた(相手にされていなかった)。どういうことからジェネリックの使用促進の取り組みが薬局に求められているか、理解できていないようなのだ。

 いつの世も、患者ありきか、経営が先か、議論のあるところだろう。

 経営優先は、多くの場合、売上至上主義ともそう遠い考え方ではない。安定経営なくして社員の生活の安定も図れないし、企業の存続もできない。だから安定成長を目指して、少しでも多くの売上をあげることに全力をあげるのは当然だと信じている。すべては売上のため、と言ってもよい。それでも活動の矛先が顧客満足に向けばまだしも、えてして組織内部の締め付けや縮小に注がれる。いざとなればたいした説明もせず(できず)命令だと、カンタンに進められるからだ。顧客に喜んでもらうには、多くのエネルギーもいれば、時間もかかる。売上が上がるには、コストがかかりすぎると考えるからだ。

 そんな経営者の元で行われる活動は、サービスや本質部分の質的向上ではなく、宣伝活動が主だ。門前立地は当たり前、いかに集客し、いかに単価を上げて稼ぐか。
 それを土台にした活動とは、いかに手間暇かけず、算定するかが中心になる。社員が頑張れば頑張るほど、けっして薬局の責務を果たすところへエネルギーが注がれず、効率良く(通常短時間で)、会話が打ち切られる。そのくせ自己負担額も高い。服薬指導にはほど遠い状態で支払いだけはしっかりとられるのなら、顧客からの評価が高まるはずがない。そんな状態で顧客サービスが大事だと言ったところで、矛盾も甚だしい。

 一方、顧客第一で薬局の使命や社会的責任に立脚する薬局ならどうだろうか。もし売上が不十分なら、自分たちの取り組みが患者から評価されていないのではないかと考え、さらにサービス向上、顧客満足に向けて、薬局の本質を追求しようとするだろう。スタッフは頑張れば頑張るほど成長し、顧客に喜ばれるようになっていくに違いない。

 果たして、努力が報われるのはどちらか。将来において生き残るのはどちらか。「そうはいっても経営が成り立たせることが優先・・・」は、自己矛盾をきたしているのは明らかだ。頑張れば頑張るほど、顧客離れを起こすのはどちらか。もはや経営が先か、顧客が先かということでもなくて、どちらに目を向けるべきかは明白のようである。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

仕事ができる人の魔法の口ぐせ

2008-07-03 22:30:16 | Book Reviews
「仕事ができる人の魔法の口ぐせ」 高城幸司・著、PHP文庫、2006年5月22日

p.56 近年、企業不祥事が連鎖反応のように生じているが、元をただせば、「そんな些細な問題に、いちいち目くじら立てなくたっていいじゃない」「失敗したって、気にすることないよ」と考える〈飲んで忘れる〉的な発想から生まれたものとも言える。

 飲んで忘れなくても、軽視してはいけないことにもかかわらず、その価値を低く見積もり、自分たちの都合のよいことだけを見て自身を正当化しようとする。反省して是正することは、これまでの非を認めることになるから、絶対しようとしない、そういう経営者を知っている・・・、という人は案外多いらしい。

p.77-8 驚くことに仕事をしなくても給料はもらえるからいいんだ、と断言する人がいる。
 その人に言わせると周囲に問題が起こった場合でも、それを対処する判断をするのでなく、「調査中」と称しながら次の異動まで何もせず問題を放置するらしい。理由は公認に引き継げば、問題処理に対する責任は取らなくてもいいからだそうだ。
 当事者意識がなく、自分がその問題を大きくしているなどと露とも思っていない。何かを生み出す力をなくしてしまった人材は、会社にとって大変頭の痛い問題になる。
 このような人材が増殖し、一定の数に達すると、企業の崩壊が始まっていく。

 毎年、組織変更と称して、それをする必然性もないのに、実態は気分転換にすぎない、機構改革をする企業がある。本音は、そうやって組織に変化を与えながら、組織が固まって上層部に押し寄せてくるのを防いでいるのではないか、と囁かれている。企業体質を弱体化させた当事者意識はあるのだが、責任を取りたくないがためのトップによる抵抗のようだ・・・、という人は案外多いらしい。

p.86-7 ゼットンの稲本社長は、リーダーシップのあるべき姿について
 ●方向性を示して
 ●組織を動かして
 ●責任をとる
この3つがリーダーの大事な役目だと断言していた。
 日本では、
 ●方向ではなく権力を示して
 ●自分に都合のいい組織作りに励み
 ●責任を回避する
このようなリーダーが、依然トップの座にしがみついている企業もあるように思えてならない。

 身近にそのような経営者がいる・・・、と首肯する人は案外多いらしい。

p.88 ミスミの三枝匡社長は、組織が崩壊する過程には、かならずその組織内に政治性が蔓延することがあると指摘している。企業が顧客を見ずに、社内の人間関係ばかりに気を使いはじめたら、その企業には終わりが近づいているというのだ。社内で改革を進めようとしても権力を誇示する人間が抵抗勢力として対峙し、なかなか改善されない。

 崩壊寸前になっても、まだその責任について、主犯が自身であることを認めない経営者を知っている・・・、という人はマジで多いらしい。

p.122 最近はビジネスにおいても偶然の結果より〈自分の成功の形〉を身につけることが重要だと言われ始めてきた。

p.164 「売ってうれしい=売り上げが上がる」「買ってうれしい=コストが下がる・売り上げが伸びる」とWIN-WINの発想でないとビジネスが成立しないようになってきた。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジェネリックの使用を見合わせる

2008-07-02 22:41:10 | くすり雑感
 新薬において発売後ある一定期間(1~2年)あえて院内採用を見合わせて、別段の問題が見られなければ、正式採用を検討する、という医療機関がある。新規性の高い成分であるほど、あまり類を見ない作用のある薬ほど、市販後、思わぬ副作用報告がある。

 それと似ているのだが、市販後、ある一定期間(たとえば3カ月)ジェネリックの使用を見合わせてはどうか、という主張があることを知人が教えてくれた。
 ジェネリックは先発品とは違う、その違いは一種の新規成分が含まれているかのようであって、世間での動向を見てからでもいいのではないか、ということのようである。良くいえば慎重姿勢である。

 添加物にせよ、製造時に含まれる微量成分にせよ、使用範囲や量的な規制の働いた中で使用されている限り、体質に合わないようなレアケースを除いて、何らかの薬理作用をもたらすということなど考えられない。ありえないと言ってもよい。
 生物学的同等性試験によって同等性が確認できている薬剤であれば、いまさらそのような慎重姿勢は不要ではないだろうか。

 GEにおいて、フェーズ4のような市販後調査も設定されていないことも、ケシカランというのだろうか。新規性の検証をするのと異なり、同等性が確認されたものに対して、再検証する意義は乏しいのではないか。効果や効き方において、明らかな違いがあるというのだろうか。未知の有害作用が起こりうる可能性があるというのだろうか。製剤上の、「違いとは言えない範囲内の違い」に対して向き合う慎重さとは、どのような態度が適切なのだろう。

 「あなたが先に飲んでみて・・・」。旨いか不味いか、効くか効かないか、安全か毒か、他人に使わせてからその様子を見て自分の行動を決める、というのも、全員が同時に始めたら、物事が進まないことになる。そのための臨床試験であり、先発品であり、ジェネリックの製造承認要件なのではないかと思う。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ビジネス脳を磨く

2008-07-02 22:08:22 | Book Reviews
「ビジネス脳を磨く」 小阪裕司・著、日本経済新聞社、2008年5月8日

p.57 感性社会には主に三つの特徴がある。
・単一の解がない
 「これをやれば必ずこうなる」という決まりきった解答がない。「誰もがこれさえやればうまくいく」という類の、単一の解もない。
・今日通用しても、明日は通用しない
 ライバル会社がヒット商品を出したからといって、そのまま何も考えず類似商品を作ったり、近所の店が流行っているからといって、そのままその内装や広告を真似たりするのも、この社会に適さないやり方である。
・A社の解はB社の解ではない
 他社の解は自社の解ではない。

p.98 「お客さんの感性に訴える」が問われる
 これがなぜ最重要か。それは、お客さんの感性に向けて発信する感性情報を変えることで、お客さんの心の中に価値が生まれ、消費行動が変わるからである。

p.121 お客さん一人ひとりを「情報系」と見たとき、こちら側が感性情報を多く与えていく(商品やサービスについて語ったり、販売する)と、それを受け取って情報処理した(語りを聞き、商品やサービスを購入し、体験した)お客さんの情報系が更新される。このやり取りが、感性社会のビジネスの根幹だ。

p.126-7 実は彼らの商品、かなりくせのあるデザインである。何の情報もなくまず商品を見ると、好き嫌いは大きく分かれるだろう。しかし今お話した情報を知った後、彼らの商品を見るあなたの目はすでに異なる。
 モノとしての素晴らしさも含めた感性情報のすべてがあなたをとらえ、そこから生まれた価値を感じているのである。

p.132 何を売ってもいいのであれば、軸が必要だ。この軸は自分そのものだ。この軸は仕事の根っこ。この軸を変えてはいけないのである。この「軸」をもっと本質に近い言葉に置き換えると、「道」である。

p.147-8 POSデータで「死に筋」の商品があるというデータをどう読むか。「売れていないということは、感性情報デザインが適切ではないのではないか」。欲しいという気持ちにさせるのは「デザインされた感性情報」だ。

p.154 ささやかな情報には、ビジネスの数字を劇的に変えてしまう圧倒的なヒントが隠されているからである。その情報に着目し、なぜその出来事が起きたのか、どんなことが作用しているのか。それが仕事の現場で起きたことであれば、この人はどのような思考プロセスで、どのような解をひねり出したのか、という観点から解析する。だから、ものすごくささやかな事例も逃さない。

p.157 「まずは価値を伝達する」ということは、今自分が関わっている仕事をよく眺めてみて、そこにある価値がちゃんと伝わるべき相手(お客さんや社内の人など)に伝わっているかをチェックしてみるところから始まる。

p.161 「外化」(アウトプット)で成長する。「外化」とは、頭の中で考えていることや、体験によって漠然と得たこと、理解したつもりになっていることなどを、他者に説明するために文字通り外に出すことだ。

p.193-4 普及させるのはツールやテクニックではなく、思考プロセスだ。
 思考プロセスは外から見えない。まったく同じものを作るだけで誰でも同じ成果が出るというものは、すぐコピーされる。それで他社もおおよそうまくいく。しかし思考プロセスはコピーできないから、真似されることはないし、独自の競争力、イニシアチブになる。またそうして、実践コミュニティの中の知量が高まり、中身が更新され続けていけば、後発組はなかなか追いつくことが難しい。こうした競争力やよりどころを高めていけば高めていくほど、仕事はなくならないだろう。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

落語的学問のすすめ・2

2008-07-01 22:19:39 | Book Reviews
落語的学問のすすめ・2」 桂文珍・著、新潮文庫、1993年9月25日
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする