何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

ジェネリックの使用を見合わせる

2008-07-02 22:41:10 | くすり雑感
 新薬において発売後ある一定期間(1~2年)あえて院内採用を見合わせて、別段の問題が見られなければ、正式採用を検討する、という医療機関がある。新規性の高い成分であるほど、あまり類を見ない作用のある薬ほど、市販後、思わぬ副作用報告がある。

 それと似ているのだが、市販後、ある一定期間(たとえば3カ月)ジェネリックの使用を見合わせてはどうか、という主張があることを知人が教えてくれた。
 ジェネリックは先発品とは違う、その違いは一種の新規成分が含まれているかのようであって、世間での動向を見てからでもいいのではないか、ということのようである。良くいえば慎重姿勢である。

 添加物にせよ、製造時に含まれる微量成分にせよ、使用範囲や量的な規制の働いた中で使用されている限り、体質に合わないようなレアケースを除いて、何らかの薬理作用をもたらすということなど考えられない。ありえないと言ってもよい。
 生物学的同等性試験によって同等性が確認できている薬剤であれば、いまさらそのような慎重姿勢は不要ではないだろうか。

 GEにおいて、フェーズ4のような市販後調査も設定されていないことも、ケシカランというのだろうか。新規性の検証をするのと異なり、同等性が確認されたものに対して、再検証する意義は乏しいのではないか。効果や効き方において、明らかな違いがあるというのだろうか。未知の有害作用が起こりうる可能性があるというのだろうか。製剤上の、「違いとは言えない範囲内の違い」に対して向き合う慎重さとは、どのような態度が適切なのだろう。

 「あなたが先に飲んでみて・・・」。旨いか不味いか、効くか効かないか、安全か毒か、他人に使わせてからその様子を見て自分の行動を決める、というのも、全員が同時に始めたら、物事が進まないことになる。そのための臨床試験であり、先発品であり、ジェネリックの製造承認要件なのではないかと思う。
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ビジネス脳を磨く

2008-07-02 22:08:22 | Book Reviews
「ビジネス脳を磨く」 小阪裕司・著、日本経済新聞社、2008年5月8日

p.57 感性社会には主に三つの特徴がある。
・単一の解がない
 「これをやれば必ずこうなる」という決まりきった解答がない。「誰もがこれさえやればうまくいく」という類の、単一の解もない。
・今日通用しても、明日は通用しない
 ライバル会社がヒット商品を出したからといって、そのまま何も考えず類似商品を作ったり、近所の店が流行っているからといって、そのままその内装や広告を真似たりするのも、この社会に適さないやり方である。
・A社の解はB社の解ではない
 他社の解は自社の解ではない。

p.98 「お客さんの感性に訴える」が問われる
 これがなぜ最重要か。それは、お客さんの感性に向けて発信する感性情報を変えることで、お客さんの心の中に価値が生まれ、消費行動が変わるからである。

p.121 お客さん一人ひとりを「情報系」と見たとき、こちら側が感性情報を多く与えていく(商品やサービスについて語ったり、販売する)と、それを受け取って情報処理した(語りを聞き、商品やサービスを購入し、体験した)お客さんの情報系が更新される。このやり取りが、感性社会のビジネスの根幹だ。

p.126-7 実は彼らの商品、かなりくせのあるデザインである。何の情報もなくまず商品を見ると、好き嫌いは大きく分かれるだろう。しかし今お話した情報を知った後、彼らの商品を見るあなたの目はすでに異なる。
 モノとしての素晴らしさも含めた感性情報のすべてがあなたをとらえ、そこから生まれた価値を感じているのである。

p.132 何を売ってもいいのであれば、軸が必要だ。この軸は自分そのものだ。この軸は仕事の根っこ。この軸を変えてはいけないのである。この「軸」をもっと本質に近い言葉に置き換えると、「道」である。

p.147-8 POSデータで「死に筋」の商品があるというデータをどう読むか。「売れていないということは、感性情報デザインが適切ではないのではないか」。欲しいという気持ちにさせるのは「デザインされた感性情報」だ。

p.154 ささやかな情報には、ビジネスの数字を劇的に変えてしまう圧倒的なヒントが隠されているからである。その情報に着目し、なぜその出来事が起きたのか、どんなことが作用しているのか。それが仕事の現場で起きたことであれば、この人はどのような思考プロセスで、どのような解をひねり出したのか、という観点から解析する。だから、ものすごくささやかな事例も逃さない。

p.157 「まずは価値を伝達する」ということは、今自分が関わっている仕事をよく眺めてみて、そこにある価値がちゃんと伝わるべき相手(お客さんや社内の人など)に伝わっているかをチェックしてみるところから始まる。

p.161 「外化」(アウトプット)で成長する。「外化」とは、頭の中で考えていることや、体験によって漠然と得たこと、理解したつもりになっていることなどを、他者に説明するために文字通り外に出すことだ。

p.193-4 普及させるのはツールやテクニックではなく、思考プロセスだ。
 思考プロセスは外から見えない。まったく同じものを作るだけで誰でも同じ成果が出るというものは、すぐコピーされる。それで他社もおおよそうまくいく。しかし思考プロセスはコピーできないから、真似されることはないし、独自の競争力、イニシアチブになる。またそうして、実践コミュニティの中の知量が高まり、中身が更新され続けていけば、後発組はなかなか追いつくことが難しい。こうした競争力やよりどころを高めていけば高めていくほど、仕事はなくならないだろう。
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