何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

注意事項はなるべく目に触れないように

2008-07-20 21:21:35 | 薬害は人災だ
 医薬品に関する「安全性情報」とは、ものは言いようで、基本的には危険性を注意喚起する情報だ。危険性というのが物騒な表現だというのであれば、「副作用」でもよい。

 ある日突然、危険性や副作用を注意喚起するのが「緊急安全性情報」であり、段階を追って「ブルーレター」であり、「使用上の注意改訂情報」である。

 これらについて、どのような情報であるかをある書籍において解説すべく、その一例としてあるメーカーに了解を求めたところ、多くのメーカーからお断りをいただいた。全文掲載するのでなく、情報の「見本」として外見を示すように最初の一ページだけを示すだけなのであるが、快諾はもちろん、大きな隔たりがあるように感じられた。

 あるメーカーは、
(1)その情報がどういうものか、他の安全性情報との関係を明確に記載すること
(2)類薬でも同様の副作用が発生する可能性があるが、服用患者が多いことから、本剤について安全性情報が出されることになったこと
(3)その内容は、海外において従来から知られている内容であること

 これらを併記することを掲載条件としてつきつけてきた(中堅外資系企業B社)。既知のことであるにもかかわらず、その医薬品の安全性情報がいかなる機会であろうと多くの人の目に触れることを避けようというのだ。
 他のメーカーでも当該製品のイメージダウンの可能性につながることは少しでも避けたいと考え、他社に依頼してほしいと逃げ腰である。

 安全性情報は厚生労働省の安全対策課長通知として出さざるをえなくなってしまったことは販売を続けていくうえでは仕方ないとしても、人の噂も七十五日かどうか知らないが、まるでそのようなことが忘れ去られて欲しいかのようだ。何らかの文献に引用されるのならやむをえないのだろう。しかし情報を“人目”にさらすことにおいて、相当な抵抗があるようだ。

 医薬品等安全性情報の中には、既知の副作用にもかかわらず、一向に報告が減る気配なく、繰り返し報告され続けているものがある。一度注意喚起したら、医療現場では再発防止すべく最善の対策を取るべきであるが、それが不十分なままいることはないだろうか。

 メーカーの安全性に関する情報を幅広く制限する姿勢には、医薬品が安全に使われることよりも、使用拡大を図る営業姿勢が透けて見てとれ、バランスを欠いた状態のように思われてならない。
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落語的笑いのすすめ

2008-07-20 10:16:54 | Book Reviews
「落語的笑いのすすめ」 桂文珍・著、新潮文庫、2006年3月1日

 本書は慶応大学で文珍さんが講座を持ったときの内容をまとめたもの。関西大学で学生相手の講義を経験しているから、だいぶこなれた感がある。
 学生にウケた箇所には(笑)と入っているのだが、「落語的学問のすすめ」より、その回数が少なく、塾生はくそマジメに聞き過ぎていたのだろうか。いや、そうではあるまい。意図的かどうかはともかくとして、出版側が控え目に記載したにすぎないのだと思う。

 笑いも、教養がないと笑えないネタが多分に含まれているのがいい。疲れた気持ちを和らげる作用を持つものではないが、講義なのだ。くつろぎやストレス解消を求めているのなら、寄席に行けばよい。

 そういった講義ネタも、関西大学の経験があってこそ、仕入れたものなのだろう。シラフでなければ聴けない落語家の話に、腹の底から笑えるようになりたいものだ。
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