何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

【ジェネリック】 前向きな薬局と後向きの薬局の差は

2010-05-26 23:02:49 | ジェネリック de リ・スタート!
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┃ ★ ジェネリック de リ・スタート!
┃  -治療レベルを下げずに、支払いはリーズナブルに-
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┃       2010.4.29  Thr.   通巻56号
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 みたキタ企画、薬剤師のsukeです。

 このメールマガジンは、ジェネリック医薬品(後発医薬品)が適切に使用
されることを目的として、話題を提供しています。

◆ジェネリックの使用をためらっている一般のかた
◆ジェネリックの適切な使用促進に悩んでいる薬剤師
◆ジェネリックについて興味や関心のあるあなた

 といった皆さんにお読みいただきたいと思います。

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☆ ジェネリックに前向きな薬局と後向きの薬局の差は・・・
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 その薬局は近隣に開業医が数件あるものの、近くに競合店はなく、
比較的恵まれた環境に立地していました。そこの経営者とお話していた時、
突然、ジェネリックの話が出てきました。

 「ウチはジェネリックはあまり使用していないんです。患者さんから
希望があれば変更には応じますけどね・・・」

 「6点は魅力だけど、安かろう・悪かろうというものを勧めるのも気が
ひけませんか」

 通常の調剤は、熱心に行われている様子が感じられる薬剤師でした。

 いよいよジェネリックの使用促進も正念場を迎えようとしている中、
このような薬局があったことに少々驚かされました。 
 
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 ジェネリックに関連した用事でお邪魔したわけではなかったので、
それ以上お聞きすることは控えました。

 本当は、近隣の医療機関のジェネリック処方の様子や、
これまで処方せんベースではどの程度だったのかなど、
ツッコんでお聞きしたかったのですが、またの機会ということにしました。
 
 どうやら原因は、ジェネリックの存在を「安かろう・悪かろう」と位置づけて
いることにありそうです。

 なぜ、そのような印象を持つに至ったのか・・・、そこも重要でしょう。

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 患者さんは、疾病に応じて複数の医療機関を受診するように、
必ずしもひとつの薬局だけを利用するわけではありません。

 その時、ある薬局ではジェネリックについて前向きな対応があり、
一方でたいへん消極的な薬局に出会ったとき、患者さんはその違いを
どのように評価するのでしょう・・・。戸惑いを感じるのではないでしょうか。

 患者さんと薬局の考えがマッチすれば、大きな問題になることはない
のかもしれませんが、はっきりと食い違いが見られるようであると、
今後の行動に変化が見られるかもしれません。


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☆ 地道な努力で数量ベース30%を越えてきた薬局もあります!
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 厚生労働省は、2012年までに数量ベースで30%以上のジェネリック
使用促進を目指しているわけですが、今年度の段階で既にそのラインを
達成している薬局もあります。

 その薬局は、個人病院の門前に立地する薬局でした。

 そこの管理薬剤師いわく、とくに医療機関にこれといった働きかけ
(根回しとも言う)をしてきたわけでもなく、患者さんの希望を聞きながら、
1品目ずつ変更していった結果が積み上がってそうなったのことでした。
 
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 地道な努力といってしまえばそれまでですが、そこには2つの要点が
あったようだと分析しておられました。

 ひとつは、スタッフの皆がジェネリックの働きかけをしてきたこと。

 もうひとつは、その薬局において最古参である薬剤師が、患者さんから
確固たる信頼を得ていたことだそうです。

 若手の薬剤師もそれなりに親身になって勧めているのですが、
もう少しのところで“やっぱり今回はよしておくわ”と言われてしまうのに
対し、その最古参の薬剤師が対応すると“じゃあ、使ってみようかしら”と
なるのだそうです。

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 いったい、その違いは何?

 その場面を録音して、テープ起こしでもするかのように聞き直してみたら、
何らかのポイントがわかるのでしょう。

 最も考えられることとして、これまでの服薬指導実績から、両者では
信頼度が異なることが大きいようです。言葉の重みも違うのでしょうか。

 ジェネリックとは関係のない、たとえば副作用や飲み合わせの説明や
相談において、古参薬剤師さんによって助けられてきた数々の実績が
ジェネリックの説明においても反映され、患者さんの受ける印象が異なる
のではないかとのことでした。

 そう言われてしまうと、若手の薬剤師ではジェネリックの使用促進が
できないのでしょうか。ベテラン薬剤師でも、たとえ顔見知りであっても
信頼を積み重ねてきているとはいえない薬剤師では、ジェネリックの
使用促進は難しいのでしょうか・・・。

 長年の積み重ねてきた差というのもは急には埋まらないでしょうが、
だからといって、明日からの取り組み次第で信頼を得ることは可能でしょう。

 薬局のために仕事をするのか、患者さんのために仕事をするのか、
その違いが根底にあると、判断や表現、言葉の端々に薬局の姿勢として
滲み出てしまいます。

 医療従事者が行う使用促進と、社員が行うそれとは、明らかに異なる
のだと思います。

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 ジェネリックの使用促進、それはこれまで築きあげた信頼によって
達成度が変わってくるのではないでしょうか。

 小手先のテクニックだけでは、難しいようです。

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 みなさんはどのようにお感じでしょうか。

 ジェネリックにまつわるエピソードやこれらについて、是非お知らせください。
 また取り上げてほしい話題、感想等、些細なことでも構いません。

 お送り先は、 tamsuke@gmail.com です。
(@は小文字の「@」に変えてお送りください)

 お待ちしています! それではまた次回! (^^)/

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☆☆☆【みたキタ企画よりお知らせ】

 みたキタ企画では、ジェネリックについてご相談をお受けしています。

●個人的な疑問がある、相談したいという要望(一般のかた)
●ある集まりで、話をして欲しいという要望(一般のかた)
●どうやってジェネリックを進めていくとよいか悩んでいる(薬剤師)

 ご要望があれば相談に応じますので、ご遠慮なくお知らせください。 
 現状から一歩前進できるよう、そのお手伝いができればと思います。

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上司は思いつきでものを言う

2010-05-26 22:03:50 | Book Reviews
「上司は思いつきでものを言う」 橋本治・著、集英社新書0240C、2004年4月21日

p.16-7 「思いつきはしたものの、形にならずに捨てられたアイデア」は、いくらでもあるのです。
 アイデアも思いつきも同じもので、どちらも本来は、形になる前の、形にするための足がかりの一つなのです。

p.18-9 大人になったあなたが「よく考えてください」という決断を迫られる時は、あまりいい時じゃありません。悪いセールスマンは、「よくお考え下さい」と言います。悪くなくても、自分の利益を考える人は、「よく考えて下さい」」と言って、相手を説得します。どうしてかというと、「よく考えて下さい」と言って相手に決断を迫る側は、自分の都合のいいように、相手の思考の方向をあらかじめ設定してしまっているからです。「我々の誘導通りにお考えになれば、あなたは損をしないのです」というガイドラインが設定されているからこそ、「よくお考えになって下さい」という勧誘が成り立つのです。
 問題を出す側が、あらかじめその答えを知っている――だから、「よく考えて」は勧誘の言葉になるのです。

p.25-6 その上司は別に、「俺の気に入るアイデアを出せ」と言ったわけじゃありません。ただ、「なんかアイデアを出せ」と言ったのです。ところが、真面目に一生懸命「よく考える」をするあなたは、いつの間にか、「この正解は上司が握っている」と思い始めてしまうのです。

p.39 「今の日本には、古墳を作ろうと考える人間はいない。もうずっと前からいない」ということは、それを言われる上司達にとっては、「その間、あなた達はなにをしてたんだ?」という、現状認識を怠った無能の責任を問う言葉にもなりうるからです。
 あなたの言うことは、「今まではともかく、これからは――」なんです。とことが、その話を聞かされる上司達は、「今まで」を生きてきて、「これから」がまだよく理解出来ません。それで、上司達の聞く耳は、「これから」の方にではなく、「今まで」の方に向いてしまうのです。
 「今まであんた達が無能だったから、会社はここまで傾いた。だからオレが、あんた達にどうすればいいか教えてやる」――あなたの提案は、上司達の耳にはそう聞こえるのです。

p.43 あなたの上司にとって、あなたの提案に耳を傾けることは、そのまま「今までの自分達の無能と怠慢を直視する」につながることなのです。だから、耳を傾けたくはないのです。

p.44 重要なことは、「わが社の主製品である埴輪の位置付けを変えよう」というあなたの提案が、会社の「今まで」を否定していることです。あなたにその気がなくても、これは事実です。だからこそ、あなたに否定された「今まで」を担当していた上司達は、うろたえるのです。あなたにその責任を問う気がなくても、あなたの上司は、「問われたんじゃないか・・・・・」と勝手に思って、うろたえるのです。

p.53 「寒流と暖流がぶつかるところは、魚の豊富ないい漁場になる」という、唐突な一言です。「現場からの流れ」と「会社からの流れ」がぶつかるところもまた、「魚の豊富ないい漁場」になるのです。もちろん、ここで言う「魚」とは、「思いつき」のことですが。

p.56 会社に代表される日本の組織は、「その事実はみんな薄々実感しているが、公式見解としてはその事実を認めない」という、不思議にしてややこしい性格を有するところなのです。

p.58-9 「会議」とか「議論」ということを考えると、どうしても「前提から始まって結論に至る」というようなもんだと思います。でも、日本の会議は違うんです。「「仮の前提から始まって、それを正式の前提として承認することによって終わる」が、日本の会議なんです。

p.60 「このままでは我が社もだめだ」という事実認識は、これまであなたの会社にはありませんでした。ということは、「このままでは我が社もだめになる」を、思考の前提にしてはいなかった――してはいけなかったということです。あなたが、上司からの不条理とも言うべき反撃にあったのも、この「してはいけない思考」をしてしまったからです。

p.89 「上司=命令する者」という考え方は、部下というものを「原則として無能」と考えるところから出ています。無能だから、あれこれ命令して動かさなければならないのです。しかし、部下が有能だったらどうでしょう。そんなことをする必要がありません。部下を「原則として有能」と考えるのが、現代の上司のあり方なのです。

p.96 「日本の会社では現場と会社の間に分裂が生じている。それが最大の問題だ」

p.98 「仕事」とはつまり、「他人の需要に応えること」です。

p.112 「景気のいい時の会社は、問題があっても、それを簡単に隠蔽してしまえる」

p.136 官の組織は、「利潤を得ること」も目的にしません。「利潤」は「現場」から吸い上げられるもので、だからこそ「利潤を得る」を目的とする「会社」は、現場の動向に耳を傾けざるをえません。しかし、官の組織は「利潤を得る」を目的にしていません。だから、「現場の声を聞く必要はない」なのです。

p.164-5 「上司をバカにせず、しかも“上司はバカかもしれない”という可能性を考慮する」
 「バカにせず、バカかもしれない可能性も考慮して」なのです。それは、「将来のある子供に対して、愛情をもって接する」と同じようなことです。「すぐにバカにしたくなるような相手」に、そんなことが出来るでしょうか? それが「慈悲」です。

p.166 「バカにせず、バカかもしれない可能性を考える」はかなりむずかしいことですが、これは、もっとむずかしくなります。というのは、この一方に、「バカにせず、バカではない可能性を考える」もあるからです。

p.199-200 「人は生まれ落ちた身分や家柄によって違う」というのは、立場固定主義です。「上司は“上司”だから特別だ」も、立場固定主義です。「年上の人は尊敬しなければならない」も、儒教の「長幼の序」で補強された立場固定主義です。「日本の社会には能力主義が根づかない」と言われるのは、日本の社会がまだ「能力主義=民主主義」を消化していないからです。
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