何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

星野リゾートの教科書

2010-05-16 10:33:27 | Book Reviews
「星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則 中沢康彦・著、日経BP社、2010年4月19日

p.14-5 教科書通りに判断したにも関わらず成果が出ない時もある。しかし、それでも最初の一歩としては正しく、そこから戦術を調整すればいい。何の方法論も持たずに飛び出すのに比べて、教科書に従えばはるかにリスクは減らせるのだから、まず教科書通りやってみる。

p.21 書かれている理論を理解すると同時に、「自社にどのように当てはめればいいのか」「どこを変える必要があるのか」と考えながら読む。自社の具体的な悩みを考えながら呼んでいると、頭の中が次第に整理されていき、やがて打つべき対策が見えてくる。

p.24-5 うまくいかないときには戦略を微調整することを考えるが、その判断は慎重にする必要がある。「効果が出るには時間がまだ不足している」「きちんと教科書通りにしていない」という理由で成果が出ていない場合は、戦略を変える必要はない。そんなときに作戦変更することは深い霧の中に入っていくようなものだ。

p.34-5 ポーターは、ライバルとの競争環境を踏まえながら戦略を組み立て、徹底する意義を強調する。そして、企業がライバルとの競争で取るべき戦略を3つに分けて論じている。コスト競争力で優位に立つ「コストリーダーシップ」、競争相手との違いを前面に出す「差別化」、特定の領域に自社の経営資源を集めてライバルに勝つ「集中」、の3つである。

p.78 「マーケティングにおける最も強力なコンセプトは、見込み客の心の中にただ1つの言葉を植えつけることである」

p.94 ハートの論文は、製造業で一般的な「保証」がサービス業にはほとんどないと指摘し、機械よりも不確かな人間が提供するサービスこそ「保証が重要」と力説している。

p.108 星野リゾートにおける「フラットな組織」とは、組織の文化としてのフラットさを意味する。自由なコミュニケーションを大切にして、スタッフがポジションにかかわらず自分の意見を述べることを推奨する。
 「スタッフは当時、『自分ならばこういうサービスをしたいのに』という不満を持っていた。対応を任せたことで、スタッフは生き生きと働き始めた」

p.114 「スタッフはお客様に対してパフォーマーのように振る舞っている。どのスタッフも接客のための強い意欲に満ちているのが印象的だ。『やらされている』という感じのスタッフは全くいない」

p.152 「会社の現状をどれだけ語ったとしても魅力を感じてもらえないならば、会社の将来についての話をしよう。今は残念ながらこういう状態だ。しかし、目指す将来像に向かって最短距離で進む。そう語れば、関心を持ってもらえるのではないか」

p.176 星野社長がこのときに意識するのは、「スタッフの気づき」である。「大事なのはアイデア自体ではない。出てきたアイデアの中から、このアイデアが好きだ。共感できると気づいてもらうことだ」

p.178 星野社長がコンセプト作りの参考にしたブランチャードの理論は、どんな製品・サービスを目指していくのかは、提供する側が自分たちで明確に決めるべきだと強調している。そのうえで、お客様の声に耳を傾け、工夫を重ねるべきだと説く。

p.180 ブランチャードの理論がユニークなのは、お客様の要求が自分たちの目指している製品・サービスと合致しない場合、「要求を無視するべきだ」と断言している点である。
 旅館・ホテルはすべてのお客様を満足させようとするあまり、サービスを増やし過ぎることが少なくない。これはコスト増を招き、経営を圧迫する。
 「ターゲットが絞られていないと、どのお客様にとっても不満はないが、感動もない施設になってしまう。共感度の高いコンセプトがあれば、スタッフにとって分かりやすい判断基準になる。どのサービスが必要で、どのサービスを切り捨てるべきか、すぐに分かる」。

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