何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

創造のちから

2010-05-31 22:36:14 | Book Reviews
『創造のちから 「不思議な企業」林原の発想 牧野昇・著、H&I、1999年2月10日

p.124 これまで資本主義といえば、利益や経済効率ばかりが最優先されてきました。したがって工業化、コンピュータ化の進展とともに、それによって生まれた余剰人員は容赦なく切り捨てられてきました。資本主義とはあくまでも経営ばかりが優先され、そこで働く人が中心として考えられてはいないということがいえるのです。

p.125 給料を支払う従業員が多くいればいるほど、製品を買ってくれる消費者も増加することになります。たくさんものができているのに、解雇によって、それを買ってくれる人がいなくなる。こんな自己矛盾は早々に解消されるべきでしょう。

p.125 会社ということでは、人間を中心とした経済という視点になることが重要です。もっと大きい視点で考えるならば、生物全体を中心とした考え方をしていかなければいけないのだと思うのです。

p.128 はじめ、多くの人は物事を善悪で考えます。ところが、商売ということになるとさまざまな制約が少しずつ生まれ、そのなかで目先の利益という、いわば損得の方にだんだん傾くのだと思います。
 商売人が悪いという意味ではないのです。が、気の持ち方として物事を善悪で判断して動く、これこそが重要なのだと思います。

p.132 製品開発をしていく上で大手企業との最も大きな差異点だと思われることは、開発に費やすことのできる期間です。仮に、大企業が四年かかってできる研究をやろうというのならば、私たちは10年、20年かからないとできないような研究に取り組む姿勢でいるのです。
 このように、大企業とはあらかじめ目標設定のスパンが違いますので、製品が完成したときには、完全に競合しないというわけなのです。確実に売れるか否かは別にしても、他の企業と競合しないということは独占できるということを意味します。

p.137-8 ものが売れないといわれる時代ですが、売れないというのはそもそも、既存の製品が売れないのであって、一般の人がお金がなくてものが買えないという状況に追い込まれているわけではないのです。つまり、本当に気に入ったものさえあれば、消費意欲はまたたく間に盛り上がってくることでしょう。
 買い控えという言葉がしきりに使われていますが、生活者は買うことを“控え”ているわけではなく、単にほしいものがない、“無欲”の状況なのだということです。
 そうであるならこれとは逆に、生活者がどうしても必要だというものをつくってしまえばいいのです。それは、製品を無条件で買ってもらえることを意味します。

p.189-190 創造性は、二つの条件がそろわないと成り立たないと思っています。
 一つは、無理をしてまで人と同じでなくてもいいという、いい意味の個人主義です。
 創造性に不可欠なもう一つの要素は、感性です。

p.222 企業トップとして大事なことは、それをまず社長自身が汲み上げて、それを社長責任という形ではじめて明確にしておくことです。完成するまでの過程においては各研究者に責任を持ってもらいますが、成果物に対する一切の責任は私にあるのです。そのテーマに対する責任を明確にしてあげる。これをしておかないと、せっかくのいいテーマが腐って死んでしまいます。

p.222 一般に研究開発がうまくいかない原因として、成功したら会社の手柄、失敗したら発案者の責任の形にすることが多いように思います。これでは、失敗を怖れて社員は委縮してしまい、ついつい易きに流れてしまいます。
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