何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

癌ノート

2010-05-18 21:43:07 | Book Reviews
「癌ノート 米長流前立腺癌への最善手 米長邦雄・著、ワニブックス【プラス】新書、2009年10月25日

 DIPEX japanが始まろうとしている。疾病やその治療を経験した患者に経験を語ってもらい、それをデータベース化して他の人の参考に役立てようとするものだ。経験した者でないとわからない、教科書にも載っていない、生の声が意志決定に重要な役割を果たす。

 本書はさしづめ、その“書籍版”である。著者のサイトである米長邦夫の家の中の「癌ノート」が出典である。

 本書は前立腺癌と診断されて、治療方針を選択するにあたり、誰もが悩むであろう葛藤をつつみ隠さず公開し、生活上のプラスマイナスを勘案し、自身で判断を下すことに始まり、治療中のこと、治療後のことを自身で語っていることが、何をもってしても貴重である。
 患者であれば、男であれば、最も知りたいこと、聞きたくても聞けないであろうことに真正面から向き合い、思いを述べる。それはきっと、どこを探しても書いてないことであろう。世の男性にとって何よりも参考になるに違いない。

 DIPEXと異なるのは、ところどころに主治医がコメントを寄せていることである。患者としてはこう思うということと同時に、主治医はこう考えて、解説するといった種明かし的な記述が入ることである。医療を受ける者、提供する側の両面からの思いの対比が面白い。

 前立腺癌のタイプや程度によって、必ずしも著者と同じ治療方針を選択することが「最善手」とならないのであるが、考え方としては少なからず役に立つであろう。

 米長さん、DIPEX japanにも登場して、語りとしても経験談を残してもらえないだろうか。
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