(前回からの続き)
そうこうするうちに日経平均株価は先週13日、前日比263円高の19254円と、じつに15年ぶりに19000円円台を回復しました。で、この日、なぜ日本株が買われたのか、ですが、直前12日のアメリカN.Y.市場で株価が大きく上がったから、とされています。そして米国株上昇の理由ですが、発表された2月の小売売上高が市場予想に反して減少したため・・・って、通常ならば米景気の不透明感が確認されたわけだから株は「売り」となるべきところ、これで米FRBの利上げ時期(6月?)が遠のくだろう―――引き続き株投資に有利な金融緩和環境が続くだろう―――という観測が市場で支配的になり、株が買われた、ということなのだそうな・・・。
上記の日米両株式市場の株価の動きから、あらためていまの相場が「金融緩和相場」の様相を呈している様子が確認できます。つまり、中銀(先週末の場合はFRB)の金融政策が緩和方向ならば株は「買い」で、引き締め方向ならば「売り」ということ。逆にいえば、そこでは、ファンダメンタルズとかPER・PBR等に示される各企業の業績といった本来的に株価を左右する要素は度外視されています。要するに金融緩和「バブル」が生成されているということ。だから、いまの株価はデータでは説明がつかないバブリーな水準にある、という株式市場の過熱感とは真逆の冷めた判断が求められそうです、大やけどをしないためには・・・。
先述のように、そのあたりを見極めているのが外国人投資家が日本株を爆買いした2月に逆行売りして利確した(?)「ミセス・ワタナベ」(日本人の個人投資家)といえそうです。一方、そんな相場の空気が読めず(?)、新しい目標ポートフォリオの早期達成だけにこだわり、日本株を高値掴みして外国人投資家ばかりを儲けさせた(?)のが、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)等のわれらが年金基金・・・。
ここで、心配性のわたしには2つの懸念事項があります。一つ目は上述のとおりで、高値で内外の株を、そして円安外貨高局面で外債を買いまくるGPIFなどの年金基金が今後、マーケットが必然的に迎える(?)リスクオフ・モード(株安円高)によって巨額の評価損&為替損を抱え込むリスクが十二分にあると予想されること。これによってわたしたちの将来の年金給付額が大きく削られることになりはしないか・・・。
そして二つ目は・・・だからこそ一つ目のリスクを絶対に発生させないような政策しか政府・日銀には選択できないということ。つまり・・・国民の虎の子である年金基金が安倍政権下で作られた新ポートフォリオにしたがってリスク資産を高値掴みしてしまった!→そのため、どれほど「アベノミクス」(≒円安誘導)が批判されても、自分たちから緩和縮小のような株価にマイナスな政策なんて打てない→もうこうなったら「これしかない!」(by 安倍総理)、つまり、ひたすら日銀の異次元緩和(≒円安インフレ)路線を突っ走るしかない!・・・といった感じです。その意味するところは「アベノミクスに歯向かったら、キミたちの年金がどうなっても知らないぞ!!」ということ・・・。
こうして、わたしたちの大切な年金基金はアベノミクスによって「人質」にされてしまった・・・こう考える次第です。やれやれ・・・。