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【「この銀行」をどちらが支えるのか…】独立の機を逸した?スコットランド④

2014-03-09 00:00:47 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 どの通貨を使うか、の議論はさておき、今年9月の住民投票等を経て、スコットランドが本当に英国から独立することになったら、英国としては当然、その債務のうち一定部分をスコットランドに引き継ぐよう要求することでしょう。

 先述のとおり、英国の公的債務残高は2013年末時点で約1.49兆ポンド(約254兆円)と推測されています。これをかりに英国とスコットランドの人口比(約530万人/約6300万人)で割り振ると、スコットランド分の債務額は約1250億ポンド(21兆円あまり)となります。スコットランドのGDPは北海油田からの歳入分を含めると1500億ポンド弱(2485億ドル:2013年)くらいだから、累積の公的債務の対GDP割合は80%をゆうに超えることになり、ユーロ導入の認可基準のひとつである同比率の60%を大きく上回ってしまいます・・・。まあ実際にユーロの使用が認められるかどうかはべつにしても、この国家負債が「独立」後のスコットランド経済にとってたいへんな重荷であることは間違いのないところ・・・。

 ところで、これに関連して個人的に関心があるのが、スコットランド生まれの大銀行・ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)に投じられた公的資金の扱いと今後のRBSの支援体制の行方です。スコットランドが「独立」した場合、これらのお金を英国とスコットランドの両国がどう負担するかが大きな問題となりそうだ、と予想しているからです。

 Wikipedia等によれば、RBSは1727年にスコットランドの「首都」エディンバラに設立された歴史ある銀行です。もともとは同地方を地盤としていましたが、1980年代以降、積極的に海外業務に進出するも、アメリカの不動産バブル崩壊で膨大な不良債権を抱えて経営危機に陥り、2008年に英国政府から資本注入を受けました。それ以降も業績は回復せず、資産の劣化が止まらなかったため、同政府はRBSに公的資金を追加投入してきました。その累積額は現時点で458億ポンド、そしてRBS株式の同政府保有割合は81%に達しています。

 先日発表された同社の2013年の純損益は90億ポンドの赤字と、2008年の上記の資本注入以降で最悪の結果に・・・。世界的な「リスク・オン」モードにもかかわらず株価は低迷しており、現時点(3/5)で328ペンスと、英国政府が損益分岐点とする407ペンスを2割も下回っています。こんなところをみると、この銀行は、近いうちにまたまた過小資本(もしかして債務超過!?)に追い込まれるのかも・・・。

 このようなRBSのさえないパフォーマンスにさぞかし英国政府とイングランド銀行はイライラしているだろうなーと思うわけです。RBSがなかなか政府依存から脱却できないうえ、英国から離れたがっているスコットランド発祥の銀行だからです。そのため両者の本心は「まったく世話が焼ける。RBSの面倒はそっちでみてくれ~」といったところなのではないでしょうか。

 ということで、かりにスコットランドが独立するとなると、おそらく英国政府はこれまでに取得したRBS株式の買い取りと、この銀行の今後の支援の双方をスコットランド新政府に求めるだろうと予想しています。上述の国家債務継承分に加え、これらにともなう負担が加わるのですから、独立スコットランドの財政は誕生直後からたいへん厳しい局面を迎えそう・・・。

 そしてRBSにとってもスコットランドの「独立」は経営上の大きなリスクとなるかもしれません。最大のスポンサーが英国政府から財政基盤がさらに脆いスコットランド政府に代わる可能性が高いからです。本当にそうなったらRBSはどうなるのだろう?――― で、今後のRBSの株価に注目しています。世論調査でスコットランド独立派が優勢!なんて結果が出たら同社の株価は!? ・・・

続く


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