世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【この40年間で石油価格上昇率が世界一緩やかだったのは「円」のおかげ】強い円はやはり最大の国益だ②

2018-11-11 00:02:10 | 日本

前回からの続き)

 上のグラフで分かるように、1970年(「ニクソン・ショック」の前年)以降、はドルに対して一貫して値上がりを続け、2012年(「アベノミクス」の前年)には1970年の4.5倍以上(=360/79.8)の価値を持つ通貨になりました。その意味するところは様々ですが、そのおかげで日本がこの期間の石油価格上昇の悪影響をアメリカ等ほどは被らなかった点をここでは指摘しておきます。

 戦後しばらく経ってから1970年まで、原油価格はたいへん安定していました。たとえば、代表的な油種アラビアンライトの価格は1960年代、ほぼ1バレル1.81.9ドルで推移し、1970年も年間を通じて同1.8ドルでした。それが翌年つまり「ニクソン・ショック」が起こった年には同2.3ドルになり、その後は第一次・第二次オイルショックなどの様々な経緯をたどって2012年には同110ドルと、1970年の60倍にもなりました・・・が、これはあくまでもドルベースの場合です。この価格を円換算すると、この倍率は約13.5に抑制されます。つまり、それだけこの間に日本が受けた石油価格上昇のダメージはアメリカを含む諸外国と比べれば小さかったといえます(加えて、わが国がこの間、世界一、エネルギー効率の高い社会を築き上げたのも大きかった)。

 ところで・・・安定していた原油価格が1971年以降はどうしてこれほど激しく上昇&乱高下するようになってしまったのでしょうか。当時のOPEC諸国がカルテルを強化して石油価格を引き上げたから? 新興国の経済発展等にともなって石油の需要が増大したから? たしかにそれらもあるでしょう・・・が、本質的な理由は、ニクソン・ショックすなわち米ドルゴールド)の兌換停止にともなうドルのインフレ通貨化にあると考えています。

 ・・・同ショック前までドルは35トロイオンスの金と同等の価値を保っていたから、産油国はドル建てで一定の石油価格でも十分な収益を得ていました。ところが同ショック後、ドルは金の裏付けを失って無制限に発行されるようになりました。つまりドルの価値は時間が経つにつれて低下していくことになったわけです。であれば、これを受け取る産油国&オイルメジャーは、その目減り分以上にドルを稼ぐ必要に常時迫られます。そこで利害が一致した彼らは結束して原油価格の値上げに動いた、という次第・・・。そのへんが石油価格が上がり続けたことの真因であり、現在も機能しているメカニズムだと思っています。このように見れば、1971年からいまに至る石油価格の大幅な値上がりは、ニクソン・ショックに端を発した、石油に対するドルの著しい減価でもあったことが分かるわけです・・・

 話を戻しましょう。この期間の日本をそうした石油インフレから守ってくれたのが、上記の「」。このあたりこそ、円がドルに対して価値を増していったことの最大の恩恵だと認識しています。こちらの記事に書いたように、石油をはじめとする「エネルギー」が日本経済の最大の「アキレス腱」(外国に依存せざるを得ない「弱み」)。円は対ドルで高くなり続けたことで、この国家としての弱点をカバーしてくれた―――原油輸入代金の円建て価格の上昇を(主要国ではおそらく世界一)緩和してくれた―――わけです。こちらの記事「円」こそが、わが国最大の「強み」としたのは、そのような根拠からです。

 余談ですが、Wikipedia等を見ると、ニクソン・ショック→スミソニアン体制(1971/121ドル360円から同308円へ約17%切り上げ等)→同体制崩壊、変動相場制への移行(1973/2頃)への過程で、当時の日本の閣僚や役人らが、円の価値切り上げにどれほど懸念を抱いていたのかが伝わってきます。それは各位が、直後に日本を襲うことになる激烈な石油価格の上昇をまったく予見できていなかったことを物語るものでもあります。もし彼らの希望のとおり、ドルに対する円の切り上げ率が低いレートで固定されていたとしたら・・・2度のオイルショック等で日本は高騰する石油輸入代金の支払いに窮して・・・IMFの軍門に降っていたかもしれませんよ・・・!?

(続く)

金融・投資(全般) ブログランキングへ


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【1970年以降、ほぼ一貫して... | トップ | 【アベノミクス、石油代をつ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日本」カテゴリの最新記事