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【ギリシャを放逐できないEUのなさけなさ・・・】QEをめぐって対立深まる欧州②

2015-01-21 00:03:39 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 前回書いたような理由から、欧州の盟主ドイツにとっては欧州中央銀行(ECB)による量的緩和策(QE)は不要です。QEなんてメリットはないし、各国の財政再建の取り組みを邪魔立てするだけだから・・・。

 しかし・・・ここがユーロ圏のヤヤコシイところですが、そんなドイツと同じ屋根の下に、QE=国債買い入れ=財政ファイナンスをやってほしくてたまらない、大量の低金利マネーが欲しくてたまらないキリギリスな仲間たち―――PIIGS諸国がいるため、ドイツ一国の都合だけでQEはやらない!とは言い切れません。それにECBのドラギ総裁はイタリア人。当然、ドイツよりも彼らのほうに心情的に近い(?)からなおさらやっかい・・・。

 で、そんな中から毎度おなじみのギリシャが火を噴きそうになっています。すでにあちこちで報道されているので詳細は省きますが、まもなく行われる総選挙(25日)で、左翼野党SYRIZA(国際的な金融支援と引き換えに同国が約束させられた緊縮財政の放棄等を主張!)が勝利して政権を取ったりしたら、たいへんなことに・・・。

 本ブログで何度も綴っているとおり、そもそもギリシャに巨額の支援をすること自体、無謀だったわけです。2010年にEU等がギリシャに対して供与を決めた融資金は2400億ユーロ。これに対して同国のGDPは約2220億ユーロ(2010年)。ということはギリシャは何と!自国のGDPを上回るほどの借金を「外国」からすることになります。わが国に当てはめてみれば約500兆円! そんな大金、あのギリシャ国民に返せるわけがない・・・。

 しかも大甘なことに、ギリシャは上記の約束さえ守れば、この返済を2023年まで始めなくてよいことになっています(こんな先なら、いまの各国首脳、ECBやIMFの幹部は任期を終えているだろうから?)。だからギリシャには「かたじけない・・・」と思って死ぬ気で改革に取り組んでもらわないとならないのに、かの国はこんなにユルユルな条件すら我慢できず、しまいには債権者側に借金棒引きを要求しそうな気配・・・。

 ところが・・・そんな居直りまくりのギリシャに対し、何ともナサケナイことにユーロ諸国は「出ていけ!」と言えませんこちらの記事などに書いたように、すでに欧州の公的組織や金融機関はギリシャの国債とかデリバティブなどを保有し過ぎており、同国がデフォルトでもしようものなら彼らも一緒に吹っ飛んでしまうためです。だから「ドイツがギリシャのユーロ離脱を容認した」なんてハッタリもいいところ(?)。そのへんが見え見え―――各国が自分たちを追い出すことができないことが見え透いているから、ギリシャはますます増長することに・・・。

 で、明日(22日)、こんなトホホなギリシャの総選挙直前に理事会を開き、QEをどうするか議論をしなければならないECB、とりわけドラギ総裁にはたいへんだな~と同情するわけです。まあ先日、欧州司法裁判所がECBの国債購入を合法と認めたこともあるので、おそらくECBはドイツの猛反対を押し切って「QEをやります!」と宣言するのでしょう。ここまではマーケットの想定内ですが、問題はその中身です・・・。

 注目はまずQEの規模―――当初予定のとおり1兆ユーロか、それともその半分の5千億ユーロ(あるいはそれ以下)に止まるのか。次にその内容―――国債を買うのか、それとも(「それは財政ファイナンスにつながって南欧諸国をサボらせるだけだ!」と反対するドイツに配慮して)国債はやめてかわりに社債等を購入するのか。そして国債を買うことにした場合―――どこの国の国債をいくら買うのか、さらに・・・その際のPIIGS国債、とりわけギリシャ国債の扱い(投資不適格級だがECBは特例的に担保として受け入れている経緯あり)はどうなるのか・・・(場合によってはQE期待で値上がりしているスペイン債とかイタリア債などが暴落[利回り急上昇]の恐れも!)

 さらにさらに・・・ここでECBがもっとも意識するのが、今回の決定を、上記ギリシャの総選挙で緊縮財政路線を守るとしている現与党・新民主主義党を勝たせるものにしなければならない、ということ。もしここでヘタなメッセージを発して、同放棄を主張するSYRIZAに政権を取らせたりしたら、ギリシャ支援は頓挫し、欧州市場は大混乱に陥りかねませんから・・・。

 というわけで、間もなく始まるECBの鳩首会議・・・アメリカならずとも目が離せません!

(続く)

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