(前回からの続き)
中国が本当にするべきことは、共産党政府が大半を所有している国富を、新興国への投融資や日本国債とか金(ゴールド)の購入・・・に振り向けるのではなく、国民各層と分かち合うことでしょう。同国は世界一の人口を抱える国なのだから、その経済の主柱は個人消費であるべき。これを高めるには、いま以上に人々の賃金水準を向上させ、年金や保険等といったソーシャルセイフティネットを充実させる必要があります。そのための原資に巨額の外貨準備等を充当せよ、ということ。それによって中国の経済構造は、現在の輸出主導型から、人口大国には望ましい内需主導型に転換していくはずです(?)。
ですが・・・かの国には現実にこれを推進することはできないでしょう。その理由は2つ。1つ目は、既得権益者が権力とマネー(およびそれに関連する権限等)をなかなか手放そうとはしないため。そして2つ目は、自分たち上層階級の特権的な地位が危うくなるため。現在よりずっと多くの国民が豊かになっていけば、彼ら彼女らは権利意識にいっそう目覚め、経済社会の改革改善を訴えて、現体制の退陣・・・どころか解体等すら要求しかねませんからね・・・
以上により、中国・・・の共産党体制は、せっかくの国富を、国民一人ひとりを豊かにする方向には使おうとはせず(というよりは使えず)、引き続き上述した稚拙な(?)投資や自分たちの蓄財に回したりする(?)ので、大半の人々の生活水準や生活環境は改善されないまま低レベルで捨て置かれることに・・・。こうして同国はますます貧富差の大きな国になり、身分間の対立が激しくなって、結局は「歴史は繰り返す」的な展開に・・・という、いつもの結論に至るわけです(?)。
中国は隣国であるせいか、一帯一路構想に基づく関連国支援とかアフリカ等への軍隊派遣などをとらえ、わが国では同国を脅威視する見方が多い印象を受けます。ですが、きっと大丈夫(?)、これらはいずれも過度に心配するほどのことはないでしょう。上記状況等から判断すれば、これらは日本の国益を脅かすほど深刻なものではないし、むしろ中国自身にマイナスの結果をもたらしかねないうえ、本当に国を強くする(国民を富ませる)投資等とはいえない、などのためです。したがってわたしたちは、かの国がやっていることを冷静に見極め、ときには協力し、ときには距離を置きながら、という、付かず離れずのスタンスでこの隣人と付き合っていくのが適当かと・・・
(「中国:成長の足を引っ張る稚拙な投資」おわり)
金融・投資(全般) ブログランキングへ