(前回からの続き)
これまで綴ったように、新型コロナウイルス禍で大荒れの世界で、エネルギーコスト急落の恩恵を得ながら、まるで箱船のように、ほとんど自力でこの危機をしのいでいけるのは、日本だけだと信じています。そしてこの箱船、間もなく必然的にやってくるであろう(?)、世界経済&金融面を襲う大洪水、すなわち米ドルの大量流通がもたらすハイパーインフレによって、さらに浮上していくでしょう。
ドルのインフレ化は、本稿7回目で書いた、FRBのマイナス金利容認(米国債をマイナス利回りで買う、ボロ社債とかも全部買う、など)によって加速度的に進まざるを得ないと予想しています。FRBにはもう、それしか手が無いはずだからです(って、FRBがいまやっていることは、たとえば社債でも投資適格債を購入する、とか、この期に及んで自身の資産の質の劣化をヘンに気にして?中途半端すぎ。それだとFRBに買われない低格付け社債の価格はかえって下がって[利回りは上昇して]、これら発行企業等のデフォルトリスクを高めてしまう。実際、一時は8%台に下がっていた米国債とハイイールド社債とのスプレッドは再び上昇の気配を示し、2日時点で9%台に戻っている)。そうしなければ原油価格を跳ね上げることはできないし、でないと早晩、金融恐慌入りは避けられませんから・・・
・・・となって原油価格は一転、暴騰するとともに、当然、ドル建てで取引されている原材料の価格もまた一気に跳ね上がって、世界経済は激しいインフレに飲み込まれていきそう(?)。もちろんこのあたり、ドル発行国のアメリカも同様です・・・が、他国と違ってコワ過ぎるのが、本稿8回目で書いたように、かの国が「国民皆武装」であること。したがって、シューティング!?の準備を終えた多くの人々は、今般の失職(って6月には全米失業率が30%!?なんて予想もあり)、そして今後の激しいインフレで自身の生活が破壊されていくのを黙ってみているだけではないような・・・(って、精神性が高く、銃を持とうとはしないであろう、わが国の在米同胞の身の安全が、いまから本当に心配です・・・)
ドルの上記大暴落で価値が上がるのは当然、ドル以外の通貨(ってもドルにペッグさせている新興国通貨は除く)ですが、この際、世界の多くの人々にとって、ユーロ、英ポンド、スイスフラン等を持っていても仕方ないはず。なぜなら、これら通貨発行国は、自前のマスクすらマトモに作れない?先進国?ですから。となるとマスク交換券としての意味合いを持つ?人民元ならOK・・・かと思いきや、この通貨って「疑似ドル」(本ブログ造語)つまり上記「新興国型」だから、ドルの上記暴落時の価値や扱い等が動揺するのは必至です。となってくると、あとはもう・・・われらが「円」しかない、ということになります・・・
・・・って、まあこのへんは当然かつ毎度の結論ではあります。もとより円は、本ブログで繰り返し示す通貨の強さを表す不等式「円>ドル>ユーロ>振興国通貨」(実質金利=名目金利-予想インフレ率の高い順)のとおり世界最強の通貨のところに、上記のようにFRBが超マイナス金利を容認すれば、円とドルとの実質の利回り差が一挙に拡大するわけですからね。となってくれば、日本人はもちろんですが、「ドルの大洪水=インフレ」にのみこまれまい、とするアメリカ人を含む世界中の人々が、これから逃れようと「箱船」に乗ろうとする―――自身の資産価値を守ってくれる円を持とうとする―――のは自然の(市場原理に従った)流れかと・・・