Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

まさかのスラップ

2024-07-01 20:37:53 | 交通
JR北海道の「難癖」の続報として、インフルエンサー(笑)の情報ではありますが、BSフジの番組につき番組制作会社に対して、小樽駅、布部駅の外観と根室線の廃線を撮影して番組で使ったのは無断撮影と抗議してきたそうです。

いやいや、ホームでのスナップ写真にクレームというのにも眩暈がしましたが、駅舎外観にクレームはある意味前代未聞です。毎度おなじみの赤レンガ駅頭の光景とか、構内側ならまだしも構外、パブリックスペースからの撮影に対して許可が必要と真顔で言ってくるとは。廃線問題を取り上げた番組なので内容へのクレームかと思ったら「無断撮影」とは、と制作会社も驚いたようですが、そりゃそうでしょう。一般的に「無断撮影」と言われても仕方がない場所ならともかく、外観や廃線といった事実上のオープンスペースです。

内容にケチを付けられないから、スラップ訴訟よろしく「無断撮影」で責めてきたとしか思えない対応です。一般的に公共の場としての屋外にある設置物に著作権が及ばないとされますから、公共の場からの撮影に対してそもそも「管理者」が権利を主張できるかどうかという話でしょう。なお路線バスのラッピングバスを撮影して幼児向け出版物に掲載されたケースで、ラッピングバスのデザイナーが著作権侵害を訴えた訴訟では、デザイナーの主張は棄却されています。(「はたらくじどうしゃ事件」)

先のスナップ写真もそうですが、JR北海道から指摘があったとする主張を否定していないので、指摘したことは疑いのないところとすると、ちょっと企業法務としてお粗末すぎないか。駅舎外観の撮影でこのような指摘が成立するとなると、変な例えになりますが、不祥事企業のニュースで本社社屋や看板をニュースの画像に使うのも「アウト」でしょう。
なお有償での利用はこうした適用除外には当たりませんが、「報道」はもともと除外されています。スナップ写真の時のような「紀行」は微妙ですが、メディアにおいてそこまで峻別も出来ませんし、BSでの番組は明らかに「報道」でしょう。社会面は報道だが、文化面はそうじゃないとか言い出したら、コラムはどうかとか、キリがなくなります。

かつて留萌線秩父別駅での積み残し事件の際に、メディアを呼んでラッシュ耐性のある別の車両を持ってきて「積み残すほどではなかった」という記事を書かせて、後からからくりがバレて恥の上塗りとなった事件がありましたが、報道なんかちょろい、というような意識があるんでしょうね。あるいは最も厳しい状態にありながら、「国鉄気分」だけは人一倍強いとか。

【補遺】
JR北海道からのクレームですが、実は会社の手によるものでは無かったりして。そう、JRH公式サイトでも、当社を騙る電話に注意、と書いてありますからね(爆)





ファンド相手に数字をどこまで残せるか

2024-07-01 20:35:42 | 交通
いすみ、トキ鉄と「歴任」した公募社長が、今度は大井川鉄道の社長に就任したそうです。今度は公募ではないので、(旧)経営陣が依頼して株主も了承したという仕立てです。
これまでは三セクということで行政という「スポンサー」がいましたが、今度はファンドの参加という特殊な形態とはいえ純民間企業であり、「お財布」「パトロン」がない状態でいつもの手法が使えるかどうか。まあ事業実態からこれまで以上に「お遊び」に特化しないといけない、というか「お遊び」で食ってかないといけないというのは逆に厳しいでしょうね。趣味が仕事になったら趣味とは言えないと言われますし。

大鉄は現在北海道のファンドの完全子会社となっています。名鉄の撤退でファンドに売られた格好ですが、地元財界との接点もあるようで、「再生請負人」の手に任せた方がいいという判断かもしれません。石橋を叩いても渡らないような融資姿勢に「シブ銀」と貶されることもある静銀も支援しているくらいですから、「芽はある」という判断なんでしょうし。
一方でコロナ前の段階で30億近い総資産に対し最終利益は30万程度と、0.01%の利益では投資ファンドとしてはかなり残念です。

交通事業への投資という意味ではみちのりホールディングスが有名ですが、こちらも決算を公表していないので(法定公開事項が探し切れない)「投資」の成果が不明です。ファンドは手金で運用しているのではないので(投資家の出資を募る)、投資の効率が総てです。社会的意義があるからといって、投資が元本割れとなって納得する投資家がいるのか、という話です。あるいは実は配当を出せる、というのであれば、本来はその手腕をもっと宣伝すべき事案であり、地方交通の再生が決して夢物語でないことを示すのですが、どうなんでしょう。

さらに大鉄は水害による不通区間を抱え、しかもその復旧見通しが立っていません。そして利用の大半は観光客、それも乗車目当ての客ということは「地元」「公共交通」という殺し文句が使えません。「アトラクション」ですから。とはいえ黒字を計上するくらいの集客力があるわけで、だからこそファンドが引き受ける余地があったのですが、集客の太宗は「トーマス」であり、ヲタが好むようなスタイルではありません。というか、ヲタ好みの路線から決別したことで経営が逆に安定したといえます。その路線が新社長が歴任した2社で「手腕」を発揮した路線と相容れるのか。もしここで撮り鉄、乗り鉄といったヲタのニーズを切り捨てて「トーマス」を突き進めるのであれば、「手腕」は本物ですが、果たしてどうか。

旧国鉄の中古車を使い潰すという焼き畑系経営とは対極です。今あるSLをどうするのかというのも事業継続における大きなカギになります。
それこそ「トーマス」を新造するというまさかの積極策もあり得ますし、持続可能という趣旨で考えたらそれしかないでしょう。TDSでSLの新造例はあります。まさに同じ「アトラクション」です。今残っているSL列車にしても、機関車がダメになったら諦めるのか。JR九州はそうしましたが、JR西日本、東日本はどうなのか。特に「新型旧型客車」を新造したJR西日本は、客車の償却期間より先にSLの寿命が来る懸念が高いわけで、レプリカの新造で持続するのか、あるいはDL、EL牽引と「近代化」させるのか。その先例になるのが大鉄でしょうね。



現職が抜け出しあとは泡沫の背比べ?

2024-07-01 20:33:57 | 時事
都知事選は折り返し地点を過ぎましたが、各メディアが報じる支持動向を見ると、意外ともいえる傾向ですね。
なによりも現職が強いということ。いろいろありますが、やるべきことはやっているという「実績」があり、目立った「失政」がないから当然ではありますが、あからさまに自民が、それも裏金問題で名前が挙がった幹部を中心に支援しているというのに、それが目立ったマイナスになっていません。

一方で革新系候補ははっきり言って伸び悩みでしょう。「立憲共産党」を地で行く支援体制も旗幟鮮明でかえってプラスかと思いきや、現職が自民の支持をマイナスにしていないことの裏返しともいえますが、結局候補者のキャラというか政策を示せていないことが総てでしょう。反対だけなら見栄え良くできますが、じゃあ自分はどうするのか、というアピールが出来ない。都民にそこを見透かされている格好です。

第三軸となっている前安芸高田市長も、ライバルの工作という面も多分にあるとはいえ、ネットでの工作を強く疑われるわけで、全くの贔屓の引き倒し状態になってしまっている狂信的な「推し」の声もマイナスが勝ってしまっています。ボランティアの支持者が大勢集まって、と言いながら、揃いのユニフォームとか、そこかしこに「プロ」が見え隠れするあざとさも気になるところです。まあこれまでもフレッシュな新星、若手気鋭、と持ち上げられた首長や議会の候補が、その実はコテコテの既存勢力側だった、ということが多々あっただけに、いわば「実績のないぽっと出」がここまで目立つことへの違和感、警戒感すら起きていると言え、それがいまひとつムーブメントにならない理由でしょう。

現職が抜けだしそうな状況ではそれ以外は泡沫同然といえるわけで、支持母体の妙で、保守系諸派の票がけっこう伸びるか、と見ていたんですが、どうもそこまではいかなさそうですね。まあ一番目立つのがクセツヨのキャラですから、そこは明らかにマイナスでしょうし。