Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

勝つ気があるなら

2024-07-03 20:38:52 | 時事
現首相を前首相が追い落とすような格好になっていますが、いかに現首相の失政が目立つとはいえ、前首相にそれを云々する資格があるのかという話です。
それこそ暗殺という想像もしていなかった事態もありましたが、裏金問題もあり、党の有力者、長老が退場を余儀なくされたことを奇貨に、キングメーカー気取りというのはちゃんちゃらおかしいわけです。裏金問題も財政問題も現政権の責任というよりも、前首相が、そして自身が「女房役」を務めてきた政権で醸成されてきた事象であり、本来は「おまいう」案件です。前にも指摘したとおり、自分が手掛けた(関係した)もろもろが露呈することを恐れて精力的に動き出したのでは、ともいえるわけです。現首相は何かとこれまでの「悪弊」を暴露して潰しているわけで、それが政権与党への批判ということで総理総裁の現首相への批判となっていますが、政党の支持は持ち直しつつあるということを見ると、意外としたたかに改革しているようにも見えます。利権の付け替え、国民の自己責任、という改革屋が権力を握って久しいですが、改革の美名のもとに社会をぶっ壊してきたことを図らずも総括している格好です。奇しくも経済があれだけやっても動かなかった物価がついに上昇局面となっており、改革屋時代を経て国民の多くが困窮化したことも可視化されてますし。

政治の話題でもう一つ。まさかの信任投票化しつつある都知事選ですが、やはり対立候補を事実上立てられなかった立民の責任は重いです。
党内のコンセンサスにまで至らない状態で事実上の出馬宣言など、党内で外堀を埋めた気になったのでしょうが、まさかの「立憲共産党」路線になってしまったことで失った支持も多いです。王道の政党色がない、しかし著名な人材を探してきて、無難で、しかし現職の対立軸を構築する政策を掲げるという候補者ではなく、先鋭化した候補者ではいけません。実績も無いんですし。風も吹かず組織票で固めるしかないのに、立民のコアは本来「非自民、反共産」なんですからこれも伸びないでしょう。このままだと「2位もダメでした」と笑いものになりかねませんし、補選で勢いづこうとした立民が盛大にコケる格好です。

これ、いまさらの話になりますが、野田元首相を立てるといった奇策は誰も考えなかったのか。「立憲共産党」に振り切るのではなく、保守リベラルの軸足で挑む。外部から招へいする力量もない彼の党で党内発掘となるとこれくらいしかいないでしょう。貴重な衆院での議席を失うリスクはありますが、弁が立って勝てる人材という意味ではこれくらいしかいないでしょう。元首相で地方自治体の長、というと格落ちだなんだという声も出てくるかもしれませんが、「三権の長」まで務めて埼玉県知事になった例もあるわけで、欧州の中堅国家レベルの規模である東京都の知事であれば、逆にそれくらいの大物でないと務まらないでしょう。石原元知事がそのいい例です。本人も市議の応援でローカル私鉄駅の裏口でビラ配りをするような地味な活動を厭わない人ですから、都知事であれば相手にとって不足はないと考えるでしょうね。

まあ現在の議席は立民票ではなく「野田票」であり、政党の傾向とは全く違う動きも多いです。事実、前回の区割り変更で船橋市(千葉4区)から切り離されてCNTエリアと一緒になった千葉13区では立民は勝てませんでした。
今回の区割り変更では新京成沿線と習志野市で新設の千葉14区になり、まさに地元ということで鞍替えになるようですが、もし都知事選に転出して当選したら、別の候補で勝てるということはまず無いでしょうから、セコい執行部は1議席の方を重んじるでしょう。本人は秋の代表選に色気を見せているとも言われていますが、セコい政党の代表よりはずっとマシな大舞台だっただけに、もったいなかったですね。



国民の寄進という歴史を忘れるな

2024-07-03 20:37:31 | 歴史
都知事選でも論点になっている神宮外苑再開発の問題ですが、純都市計画的に見れば、傑出した都市公園である明治神宮外苑の「破壊」が創建100年を経て「完成」するイベントと言えます。敗戦後の米軍による接収を終えたのもつかの間、1964年の東京五輪の会場となり、それの関連で開通した首都高新宿線の用地に転用されるなど大きく変化しました。絵画館前の広場も各種施設が占めるようになり、何のために風致地区に指定したのか、という事態になっています。

戦後の政教分離で、外苑も明治神宮に払い下げ(売却)されていますが、それがゆえに明治神宮の所有物となった外苑に公金投入が出来ない、だから維持費用捻出のためにも収益施設の老朽化が顕在化した今、再開発が必要である、という主張で再開発が進んでいます。

外苑は日本の「独立」に伴い米軍の接収から解放されましたが、内苑と違い都市公園としての性格が強いため国有地のままにする、という方針が示されましたが、明治神宮側の猛反対で外苑も明治神宮所有とされました。ただしその際にはパブリックスペースとして、またアマチュアリズムから施設利用を低廉にするという前提が付されており、決して収益事業を大々的に行うための払い下げではなかったのです。

戦前の「国家神道」の建付けから、内苑も外苑も国有地だったものが神社は宗教法人の所有物ということで払い下げ(市価での売却)になったわけですが、外苑もセットにしたのは失策もいいところでした。おまけに首都高の建設で内苑外苑連絡道路を破壊したわけですから、国や都も外苑を守る気もなかったようです。明治神宮がその収益事業として絵画館前の広場に醜悪な施設を乱立しましたが、アマチュアスポーツのためという大義名分があっても、外苑という都市公園を破壊するフリーハンドを与えてはいないはずです。

確かに都内の一等地で維持コストも高いであろう内苑を含めての維持費が必要なのはわかります。しかしだからといって何をしてもいいのか。そもそも外苑は下物こそ青山練兵場ですが、上物は全国の浄財により建設されて明治神宮に寄贈されたという経緯があります。まあ内苑も含めて原生林と勘違いしている候補もあるようですが、100年程度の人工林だから価値はないのではなく、100年の時を経た都市公園という重みが重要なのです。ですからあるべきは醜悪な営利施設を排除して、創建(寄贈)当初の姿への復原でしょう。明治神宮側も、そのあるべき姿がなぜ打ち出せないのか。現在の計画では、目立つものは残すという感じで、腰巻建築レベルです。

それでも無い袖は、というかもしれませんが、やり方はいくらでもあるでしょう。昔から寺社は「勧進」で各種費用を集めていたわけで、それこそ「浄財」を集めるのです。残念ながら祭神は明治天皇と昭憲皇太后ということで「新しい」ので、宗教的権威とまではいかない現実があり、それゆえに内苑も含めた意義は、都市公園、緑地としての機能として認識されていますから、逆に「勧進」も集めやすいでしょう。創建時に国民が寄贈したという経緯を踏まえると、我々も支えて行かないといけませんし、明治神宮側も国民の寄贈という経緯と外苑の意義をもっと真剣に考えてほしいですね。おりしも神社本庁の内紛が顕在化していますが、ここでも神社の「宗家」ともいえる皇室との縁が浅からぬ統理などと事務局が対立してますよね。外苑問題でも再開発に前のめりに見える明治神宮は世俗がちと強すぎるようです。



「商売」が透けて見えないか

2024-07-03 20:35:29 | 時事
富士山の山開きとなりましたが、今年から有料制になります。
山開き直前には登山客4名の死亡が確認されるなど厳しさが牙をむく山ですが、今回の「入山規制」はオーバーツーリズム対応の面が強いです、

日本一の高山であり、2位の北岳と比べても600m近い標高差があり、日本で唯一高山病にかかることが多い山でもあります。
ゆえにそれなりの装備や準備が必要なのは間違いないですが、それでも例年甘く見た登山客が保護されています。

では今回の規制がそうした「被害」の防止に役立つかというとさにあらずで、手際よく予約していても準備不足なら全然解決策になりません。
要は入り込み数のコントロールしか考えてないからです。そしてこの手の規制のあるあるというか、地元尾が考えることはこれがメインと思わせるのが、山小屋宿泊の事実上の義務化でしょう。各地の規制でささやかれるのは地元の観光収入確保では、という疑念であり、富士山もかつてはピーク時に頭と足を互い違いにして詰め込むとか、およそ日本中の山小屋でも五非番劣悪では、と思わせる「商売」でした。

もちろん山小屋宿泊は高山への順応という意味もあり、決して無意味ではないのですが、一方で山小屋に泊まらない「弾丸登山」を何か悪のように言うのもどうか。
登山はいろいろな形態があるわけで、登山客の体力、知見に従います。ですから「弾丸登山」にしても無問題な人も当然いるわけです。例えそれがインバウンドであっても同じです。登山経験がある、豊富である人が来ないとは思えませんし、比率が高いことすら合理的に想像がつきます。

ですから弾丸登山を一律禁止というのは説得力が無いわけで、逆に登山の対象のはずが、観光地として見ていませんか、という話になってしまいます。
キャパオーバーにならないように、という目的とそれに呼応する内容での規制であれば得心も行きますがし、あるいは高山病防止という目的を強く打ち出せるのか。
今回の規制はそこがかみ合っていない感じもするわけで、突き詰めると「山小屋」の保護とも言えそうです。

きちんと目的と手段を一致させるのであれば、なにがなんでも「入場料」は取ることの徹底と、入山者数によるゲート閉鎖でしょう。あとは装備の確認による入山の拒否。
「弾丸登山」は自己責任です。一方で山小屋宿泊であっても装備に問題があるのであれば容赦なく入山禁止にするくらいの措置は必要です。
だいたいサンダルはダメでしょう。それとリュックじゃない荷物も。山頂までの往路はそれでも行けますが、下山路の砂走りは「滑って」進む特殊な技術が求められます。そこはどう考えても両手フリーが必須ですしサンダルでは困難です、落石を引き起こす危険性もあります。富士山では過去大規模な落石で多くの犠牲者を出す事故がありましたし。
まあ装備チェックでは恰好から入る中高年ハイカーに歯止めがかけられないのが問題ですけどね。近年の遭難による重大事故でも、登山経験がそれなりに豊富な中高年層がまず「足手まとい」になったというケースが目につきますから。