Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

小役人の無能対応が溶かす税金

2020-07-21 21:32:00 | 時事
Go Toが全面中止でも同じ問題が全国規模で発生したとはいえ、キャンセル料を巡るドタバタは本件を象徴している感じです。そもそも国の朝令暮改で対象外になったわけです。キャンセルも好き好んでじゃなく、経済的損失もさることながら、東京都の除外は明らかに感染拡大が理由ですから、補助が無くても行きます、とは言いづらい状態ですよ。「東京から来ました」で歓迎されるか極めて疑問な状態ですから。

その意味では東京都を除外したということは、東京都との間の旅行はご遠慮ください、という意味になるわけで、だったらキャンセルするしかないわけです。一部報道では国交省や官公庁の小役人が「キャンセル料はまだかからない」と不正確な情報を上げたため、大臣がキャンセル料の負担はしない、と明言しちゃったわけです。今回は旅行代理店経由の旅行商品のほうが支援対象となる額の元本が大きくなるのですが、そういう商品はキャンセルャ潟Vーがかなり厳格に決められていることくらい常識でしょう。

PCR検査に続いて、国と国民の間に入る小役人が勝手なことをして引っ掻き回す、国民の迷惑になる、という構図になったわけで、これはどうしたものか。統治機構の緩み弛みです。行政のトップに立つ政治家が露骨な行動に走ると、下も当然腐るのです。

この時期にやるか、と国民の批判をよそに強行したツケということですが、キャンセル料を負担します、というか負担せざるを得なくなった瞬間に、不必要な税金負担が発生したわけです。
もちろん政府のドタバタでキャンセルせざるを得ない事態になったから、適用除外になった予約をした国民はキャンセルにかかる費用を請求する権利は当然あります。

しかし国が負担します、となった瞬間、旅行業者などはどう動くかを想定できていないのか。
相手が一利用者であればこのご時世、杓子定規に請求したらかわいそうだし、という配慮でキャンセルャ潟Vーの適用もケースバイケースでの対応になるでしょう。しかし国が負担するとなれば話は別、ふっかけることはないにしても、規定通りのキャンセルフィーを請求することは間違いないでしょう。

昔三宅島だったかで、全島避難した島民の帰宅貨物だったかの運送費用を行政が負担すると決めた際、運送業者は例外なく正規料金で請求したわけです。通常ならいくばくかの交渉になる部分にもかかわらずです。
全く交渉もしなかったようで、経営が苦しい中小業者ならいざ知らず、宅配事業などで名の通った大手もそうしたのですが、国のお財布なら引き出せるだけ引き出そうとする、それすら分かっていなかったのか。だからこそ余計に実施のタイミングや範囲は重要なのです。



「なし崩し」の出口戦略では

2020-07-21 21:31:00 | 時事
Covid19の「出口戦略」をどうするのか。「Go To」も含めて経済活動の回復が実現しないと社会が崩壊するだけに、いつまでも感染者数に一喜一憂してはいけない、という経済系、社会系の評論家を中心に「いつまで?」「たいしたことがない」の声が大きくなっています。

確かにおっしゃることはごもっとも、なんですが、じゃあCovid19に感染しても「大丈夫」と言い切れるのか。
「たいしたことがない」の論者が責任を取るなんてことは無いわけです。予防、治療の両方とも現状手段が確立していない、感染後の症状や重篤化、後遺症の発生も明確になっていない、という現状で感染前提の対応は無謀です。「指定感染症」にしているから悪いんや、という頭の悪い意見が一部にのさばっていますが、指定しているから治療費が公費負担で済むわけで、陰性となるまで数週間かかるのにそのコストは3割負担としても大きいですよ。いわんや後遺症をや。

ちなみにインフルエンザを例えに出す人が後を絶ちませんが、1シーズンで複数回罹る人もいますがざっくり1000万人ですから10人に1人が感染します。死者はこれもざっくりですが感染者の0.1%、要は1万人に1人は毎年死んでいるのです。

インフルエンザが流行しているから社会活動を自粛なんかしていませんよね、という経済優先、「たいしたことがない」の論者の口上ですが、確立している予防接種の実施、そして罹患したらいきなりの高熱ですからブラック企業自慢をしている人を除けば休みますよね。インフルエンザの潜伏期間は1~2日程度と短く、発症前1日から感染力がありますが、潜伏期間が短いですから無症状でばらまくケースは少ないとみられます。そして「当たり前」だから誰も意識しないだけで、予防行動はとってますし、感染者が出たらそれなりに社会活動が止まっています。なによりもその大半がすっきりと回復するから影響が出る「人・日」は少ないです。

一方でCovid19は感染するとそうはいかない。無症状でも感染させるリスクが高い。だったら感染を極力回避することで「セーフティーゾーン」を確立すれば経済活動は復活できるのですが、なぜか経済優先、「たいしたことがない」の論者が検査否定論者と被ると言う最大のミステリーがあるわけで、アクセルとブレーキを両方踏むというか、結局事態の収束を望んでいないという結論になりますね。

ちなみにこうした論者は日本やアジアのタイプは弱毒型、と決めつけていますが、収束したアジア諸国はともかく、アジア地域でもインドやインドネシアといった感染拡大が止まらない国、また欧州や北米、中南米は実は感染者の致死率は5%程度と、日本とあまり差がないわけです。そして欧米型は中国型からの変異という話ですが、感染が顕在化して3ヶ月経つか経たないかで変位するような厄介なウィルスであれば、いつ何時豹変するか分からないとして警戒するしかないのですが。感染拡大抑制を諦めるのであれば特に。

国内での感染収束を断念してなし崩し的な日常復帰、それこそ究極の「With Corona」が着地点だというのでしょうか。まあおそらく東アジア、東南アジアの感染収束国以外はそれで手を打つ可能性が高まっていますが、中国を筆頭にそれを受け入れるのか。

なし崩しで着地した国は一定の感染リスクが継続しているわけで、そうした国に対して国境を開放するのか。克服宣言を出したタイは現状での外国人入国緩和に95%が反対という調査結果も出ているわけで、国内は収束して経済活動が回復途上にある各国で、敢えて国境を感染リスク国に対して開放する、となったらまず世論が持たないでしょう。

それでも「鎖国」では国が持たないから妥協するしかない、となるかというと、収束した国の側に中国がいることも悩ましいわけで、中国を中心としたブロック経済の確立が十分可能です。
そうなれば妥協した欧米に対して開放する必然性が低くなるわけで、日本も欧米に追随した瞬間「サヨナラ」となるリスクがあります。実際に各国での日本のプレゼンスは中国ほど高くありませんから。

じゃあ日本は「脱亜論」で、というかと言えばそれは無謀で、陰湿に足を引っ張り続ける欧州と、ジャイアン米国を中心とした「With Coronaリーグ」で日本はどれだけの存在感を示せるのか。
まさか経済優先、「たいしたことがない」の論者は「鎖国」で経済が成立すると思っていないでしょうね。終わりの見えないCovid19対策に疲れた、という諦めと妥協にしか見えないんですよ、現状の議論は。戦略も何もない議論では日本の今後を誤らせます。まあ実務につきもののドロドロが見えてきたら取り組まずにすぐ投げ出すという改革屋マインドが跋扈する今の日本らしい状況ですが。