Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

枝葉に拘り幹がダメに

2020-07-17 22:37:00 | 時事
Go Toキャンペーンに関して、地方の観光産業はこれ以上待てない、破綻するしかない、といってキャンペーンの実施を正当化する人がいます。確かに観光産業、とりわけ宿泊施設は限界にあるし、公共交通も瀬戸際ですが、優先順位がおかしいわけです。

大多数の「産業従事者」から見れば、なぜこの業界だけ、としか思えないんですよ。
例えば製造業。コンマ以下の割合でコストダウンを続けて利益を確保しているというのに10%単位で受注が減少してはどうしようもないわけです。でも「Buyなんたらキャンペーン」とかやる気配もないですよね。中小零細ガー、と言いますが、製造業も二次三次の下請けは町工場ですよ。だのにどうして宿泊施設や飲食店だけ苦境だ苦境だと取り上げられて手厚く対策が取られるのか。大手の製造業が1社吹っ飛べば下請けまで入れれば万単位の人が路頭に迷うということがわかっていません。

経済活動が止められない、というのは物見遊山や飲み会の維持じゃないです。
ある産業が消えたら他へも波及する、だから観光産業にも配慮しよう、という趣獅フ議論をネットで目にしましたが、その事例は製造業が構造不況による退出で地域経済が崩壊した、という話です。「企業城下町」の本丸が落城したら城下町が亡ぶ、という当たり前の話ですが、足元の施策、政策は城下町の片隅だけいじっている話でしょう。

非効率なリモートを止めて通勤や出張対応を復活させれば公共交通の需要にもなりますし、宿泊出張が戻れば宿泊施設の需要も復活します。飲食店もそう。「安全に」経済活動が出来れば全て戻ります。
他への波及や裾野ガーというのなら、こっちが王道でしょう。観光産業や飲食店にフォーカスを当てるのは枝葉末節の対応です。

「新しい」でリモートなどの変革を求めることは、ある意味「Covid19による影響」が回復しないことを意味します。よしんば企業の効率や生産性が上がったとしても、企業活動に依存していた産業が衰退、滅亡するという非対称性が発生し、それは一時的でなく永続的ですが、誰もフォローしてませんよね。枝葉末節に拘る対応で既存の主軸となる産業が衰退する。そして変革を前提にすることで依存していた「枝葉末節」が結局滅びかねない、という誰得状態です。

国民の目に触れやすいサービス業は苦境が見える化しやすいこともあり、また業界団体も「声が大きい」わけで、行政による支援も「やりやすい」面があります。公共交通はその公共性から言わずもがな。
一方で製造業はそこが見えにくい。Covid19による自粛がピークになった時期は受注残高を消化して売上を確保出来ていたが、その時期の受注が激減する影響は後になって表れるという構造もおそらく国民どころか行政にも理解されていない(=支援の規模やタイミングが分かっていない)という懸念があります。

上で述べたようにコンマ以下のコストダウンで勝負しているのに、2桁パーセントの減少とかもう対応できるレベルをはるかに超えているわけです。経済が回復すればそこが自ずから解消する。枝葉末節に拘って王道の対応が遅れることは全体に大きなリスクをもたらします。経済を止めない、回さないといけないというのは本来こういう発想と対応であるべきです。


見事なまでの繰り返し

2020-07-17 22:36:00 | 時事
「学習効果がない」という表現がこれほど当てはまる話もないですね。
4月上旬からの感染者数急増と見事なまでの相似形。前回は3月後半の3連休での「緩み」が契機になったわけですが、今回は移動自粛などの要請解除による日常回帰以上の「リバウンド」が契機でしょう。

都内感染者数で比較すると、これも不気味なまでの一致を見せているのが、3月下旬にそれまで1桁から10人台前半だったものが40人台になり、2桁後半になったわけです。4月に入り100人超えとなり、いったん2桁に2日ほど下がった後に一気に当時のワーストだった201人に向けて増加したのですが、今回はそれが2倍以上の規模でトレースしてますよね。7月に入って100人規模になり、10日前後から200人台になり、いったん3日ほど100人台になったあとの286人、293人です。単純計算で7月最終週あたりに400~500人の感染者数が出てもおかしくない状態です。

重症者や死者ガー、といいますが、その数字は爬行します。前回もはじめて1日の感染者が100人を超えた時点の死者累計は23人に過ぎなかったわけです。あるいはこうしたデータの爬行性を「悪用」して少し前のデータを取り出して楽観論をまき散らしている人も少なくないわけです。

一方で良い意味で気になるデータもあるわけで、足元の流行はDNAタイプから見て中国型でも欧米型でもない日本固有、しかも東京や埼玉由来とみられるタイプという研究結果が参院予算委で報告されています。これをもって首都圏が「震源地」になっているという危機感を示しましたが、一方で欧米や南米などで猛威をふるった欧米型ではなく、日本における感染状況のように軽症止まりになるタイプ、ということであれば、「正しく恐れる」ことで効果的な対応や経済活動の両立も可能になるでしょう。

ただそれが確定するには結局2週間程度の観察期間が必要ですし、高齢者や基礎疾患持ちの罹患状況も確認する必要があります。でないとそこからの感染で重篤化しない証明になりませんし、さらにPCR検査などでCovid19ウィルスのタイプまで正確に把握できない限り、「日本型」だから大丈夫、と簡単に証明できないわけで、「大丈夫」というのが日本のローカルルールに留まるうちは外国との行き来が出来ない、という状態が継続します。

インバウンド頼みの観光や飲食産業はともかく、普通の企業活動における海外での活動が大きく制約されたままでは、経済の立て直しは程遠い状況であり、結局は感染収束国での「国際標準」になっているPCR検査での陰性を証明しないといけません。感染者数が大量に出るとしても、きちんと把握して隔離することでクリーンな集団を確立しないと、信頼は得られないのです。

その意味では感染者の把握も出来ていないのに交雑が多発する「移動推進促進」となるGo Toキャンペーンは現状では論外なのです。

ちなみに前回はGWにかけて「Stay Home」でなんとか拡大傾向に歯止めをかけたわけですが、足元はそうした積極的な対応が見られません。となると歯止めはかからないし逆に拡大が続くことも懸念されますね。
「日本型」だから大丈夫、というローカルルールを貫く場合は「鎖国」を覚悟するか、「欧米型」でも大丈夫ともっと割り切った欧州諸国はどんどん入ってきてますます感染収束国との行き来は遠のくという悪循環でしょう。

私もそうでしたが、「8割おじさん」が危機を煽った、と批判しましたが、「何もしなければ」という前提での想定が「いくらなんでも煽りすぎ」と言われていたのに、実際にそうなりつつあるというのは何とも情けない話です。当たり前のことを言われて逆ギレしていただけ、という自省が強く求められる事態ですから。