Straphangers’ Room2022

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よく見ればご都合主義

2014-03-26 23:24:00 | 時事
クリミア問題で、今朝の朝日の投書欄に、そもそも前政権を「暴力革命」で放逐したことはどうなのか、という投書が掲載されていました。

なるほど、確かにそこは重要な論点であり、民主主義のためだから、といって政府転覆活動が許されるのかどうか。まがいなりにもウクライナは民主主義政権だったわけで、数年前の「ジャスミン革命」よりも民主主義プロセスを経ない政権交代への評価は厳しくなります。

そういう意味では放逐された前政権こそが民主主義という意味では「正統」とも言えるわけで、親西欧路線だから「暴力革命」を容認、ロシアのお膳立てだからクリミアの住民投票という「民主主義プロセス」は否定、というのはご都合主義に見えます。

ついでに言うと、「美しい国」系の人たちや「国士様」系の人たちは、この問題が帝政ロシア以来のクリミアにおけるロシア権益に根差すものであることをどう見ているのか。

キプチャク・ハン国の流れを汲み、オスマン帝国の属国だったクリミア・ハン国から最終的に18世紀になって帝政ロシアが奪取したのがクリミアの領有権であり、そこにウクライナはありません。

他国領内なんだから歴史があろうが何だろうが権益を主張するのは問題だ、というのであれば、近代日本の中国における権益はどうなのか。クリミア問題であまり無邪気にウクライナを支持し、ロシアを批判するのは、自己否定につながる可能性もあります。

まあ湾岸戦争からイラク戦争のときも、当時の対イラク政策が実は満洲事変以降の対日政策と瓜二つだったのに、「美しい国」系の人たちや「国士様」系の人たちは米国の施策を無条件で支持していたわけで、隣国から横槍が入る以前の問題として、我が国の「歴史認識」に筋が通っているとは言い難いのは残念です。