首相が配偶者控除の見直しを指示した、と言うニュースが流れました。
女性の社会進出の妨げになっている、とか批判が強い制度ですが、そもそもなんで「家庭」単位で見た場合、両親ともフルタイムで働かないといけないのか。「家事」「育児」という「仕事」が家庭には存在しますが、その担い手が誰になるのかを無視しているわけです。フルタイムで働く労働者の片手間に出来るような「仕事」じゃないですよ。真面目にやれば。真面目にやってないから回ると言う面があるわけで、それをお金を払って外部化しているか、「成果」としての子供の成長に問題が生じると言う重大な結果を招くのです。
おりしもネットで契約したベビーシッターに預けた乳児が死亡した事件がありましたが、結局育児の外部化というのはこういうリスクを孕んでいるのです。
今回はシングルマザーでしたが、本来社会が担当すべき対象が、家庭から外部化されたことではじき出されて、ああいう怪しげな「業者」と言うか個人に頼るしかなくなるわけです。
「官製賃上げ」で久しぶりのベア獲得となりましたが、非正規には回らないのに、と斜に構える人が多いですが、できるところから底上げすべきなのに足を引っ張る、しかもそれが同じ労働者の中で激しい、というのは、まさに分断政策の成果です。配偶者控除にしても分断政策の影響で、専業主婦ケシカラン、というやっかみで、自分たちの底上げには決してつながらない、みんなで貧乏と言う自爆を繰り返しているわけです。
おりしも首都圏で鉄道会社やバス会社のストがありましたが、賃金交渉への理解どころか組合ケシカラン、と威勢の良い批判が聞こえてきます。労働条件の向上に対しての無理解や、イデオロギー的批判を優先させる社会というのも、分断政策のせいかでしょうし、これもみんなで貧乏への道です。
話を戻すと、ベビーシッターの事件にしても、父親の所得が十分に得られれば育児を内部化できるので、保育における待機問題も自然と減るのです。そういうプラスの展開で解消すべき話なのに、保育の体制強化のために配偶者控除を廃止して財源確保、と主張する手合いは話になりません。
配偶者控除の廃止、つまり「増税」で家庭の収入が減少する、だからその分をどう埋め合わせるか、母親が働きに出るしかない。という効果になるのですが、そうなると保育への需要が増加します。財源を確保したつもりでも、支出サイドを増やしてしまっては質の向上は望めませんし、下手をしたら1人あたりの財源が減少さえしかないのですが...