Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

資産は溶けて物価と金利は上がりインバウンドは消える

2024-08-05 19:55:04 | 時事
日経平均が大暴落です。史上最大の下げもさることながら、連日の下げで10000円レベルの下げとなっており、下げ幅は2割に達しています。
一方でドル円は冒頭と言っていいレベルで141円を付けており、先月までのトレンドが完全にひっくり返りました。

日銀の利上げがトリガーだとしたら、あれでマーケットがひっくり返るというのは日本経済というか市場の弱さを曝け出しています。
そして最悪なのは株、為替と大きく動いたことで、一般投資家の死屍累々、という局面がきてしまったことでしょう。政府が音頭を取って投資に誘導しているなかでのこの暴落は、資産を溶かしてしまう人が続出することを意味します。長期保有すれば大丈夫と言いますが、ピーク時からとはいえ2割の下げをカバーするのは並大抵じゃないでしょう。今夜の海外、そして明日の東京がどう反応するか。特に明日2000円くらいは戻してくれないと、元本割れの解消まで時間がかかりますね。損切りを慌ててする必要はないでしょうが、かなり長い期間の塩漬けは覚悟しないといけませんし、手許流動性の確保を考えると一定水準の損切りは止む無しの状況です。その意味で問題なのは、老後の資金としてつぎ込んだ高齢者層で、資金かが必要な時期が早晩来ますからね。確実に損切りですが、なけなしの資産を溶かした高齢者が増えると我が国の社会保障がおかしくなります。


しかしこうしてみると、新NISAだなんだと官民挙げての投資を煽っていたのも怪しい限りですね。基本的に現物の売り買いですから、投資熱を煽っても買ってくれなければ火は付きません。株が今後も上がるというトレンドであれば売る人は確実に少ないわけです。でも売る人もいた。売り買いでこまめに利ザヤを稼ぐという投資手法もありますが、素人に高値掴みさせて利益確定、というえげつない動きが見えてきますね。

スタグフレーションのなかで投資の利益が唯一の希望だったはずが、それが崩れたらどうなるか。実体経済への影響は必至です。
そして急激な円高は確実にインバウンドの需要を消し去ります。ピーク時に比べてドルは1割以上値を下げていますから、円ベースでの消費は確実に下がります。ここでも有卦に入っていたはずのインバウンド頼みの経済まで崩壊という悪夢が見えてきます。

いわゆる「実体経済」がしっかりしていれば円高も対外競争力の確保となってプラスですが、日本経済はいまや途上国型の経済に落ちているだけに、貿易外収支の悪化で肺炎を起こしかねません。最悪のシナリオはインバウンド一本足打法の地方経済でしょうね。インバウンドの消費力に依存した日本人とかけ離れた値付けが今後どうなるか。タイなど観光頼みの途上国で、Covid19による鎖国で外国人相手の観光関連が壊滅的打撃を受けたことは記憶に新しいですが、Covid19のような一過性の要因とは違いますから、このままパラダイムシフトになってしまうこともありえます。そうなったらバブル期のリゾートマンションのような死屍累々の光景が各地で発生するかもしれません。



分かる人だけわかればいい的に攻める連ドラ

2024-08-05 19:54:17 | ノンジャンル
2024年上半期の連ドラは司法が舞台という異色作ですが、「一般受け」しにくいというかとっつきにくいテーマなのにうまく料理していますね。
笑うしかないのが、近年連ドラというと忖度メディアよろしくネット界隈でヨイショ記事が氾濫していたのが今回は目立たないということ。おそらくこのテーマが咀嚼できないんでしょうね。見どころがどこなのかがわからない。下手に書くときちんと理解している視聴者に笑われる、ということでフリーズした格好です。なんとかヨイショしている記事は開き直ったのか通り一遍ですし。このあたりは大河ドラマとも共通するわけで、イケメンとアイドルを揃えておけばいいだろう、という安直な作りではなく、華麗な王朝絵巻とは言いながらも動きは地味という平安朝をしっかり描くことでコアなファンが付いた反面、忖度メディアの出る幕がない、というのは連ドラとの共通項を感じます。このあたりはさすがに東京制作と言えるわけで、分かりやすいテーマを安直なキャストで垂れ流す大阪制作とは一味違います。

昭和戦前から戦後にかけてという時代で、司法を舞台というのもいろいろな意味で攻めたドラマです。帝国憲法の体制から新憲法の体制に180度変換が果たされた時代であり、特にネット界隈では評判の悪い「戦後民主主義」の時期における法曹を通じてかなりリベラルな内容になっているわけです。
そうしたなかで戦後の法廷で関東大震災時の「朝鮮人虐殺」を念頭に置いた批判を織り込んだことが話題になっています。火の無いところに煙は立たない、と疑う判事に対し、煙がなぜ上がったのかまで調べるべき、と諫めるやり取りです。その後も朝鮮語の供述書の「誤訳」をネタにしていましたが、なんか攻めているというよりもネトウヨにケンカを売っている感じですね。しかしこれはそんな下世話な話ではなく今につながる問題の暗喩でしょう。司法警察や検察の外国人に対する扱いという意味で。

まあ攻めているとはいえ、これはさすがにまともな論者であれば否定することは無い「事実」なだけに、安全牌として扱っているんでしょう。ネトウヨレベルでもなかなかこれを否定することは躊躇われるとしか言いようがないわけですし。もう15年くらい前になりますが、ネトウヨ系雑誌の一つが関東大震災における朝鮮人虐殺の「真相はこうだ」的な連載をして単行本にもなりましたが、結局1年程度の連載をもってしても「虐殺」は否定できず、結局おどろおどろしく言っているのは、朝鮮人によるテロがあったから無辜の日本人がデマを信じて虐殺に至った、というレベルでした。まさに「火の無いところに・・・」を地で行くスキームでの正当化ですが、虐殺された人たちがテロリストだったという証明もないのでは正当化は無理筋でしょう。当時何時まで経っても「真相」が出てこないのを見て呆れた記憶がありますが、そのレベルで殺されて当然と言われてはたまりません。

自称保守、というか保守というにはあまりにも低レベルのネトウヨレベルが保守を名乗るようになって久しいですが、保守の足を引っ張るために活動しているのでは、というしかないような阿鼻叫喚です。その昔は「右翼」というと街宣右翼をイメージする人が多く迷惑極まりない状態で、「進歩的」とかのイメージ戦略が奏功していた左翼に対して名乗るも恥ずかしいという状態でしたが、さらに劣化したネトウヨとの同一視が不可避となると、真顔で保守の足を引っ張る陰謀論を信じたくなります。