地方での農業や製造業を支える低賃金の労働力を確保するために、海外の若い人材を、「技能実習生制度」と称して、数年間の雇用を成り立たせる。
これは、バブル崩壊以後の地方経済を支える、低賃金労働者を要望する事業者が、技能実習とは表向きで、実は人手不足の応急処置として広がった。
これでなんとか事業をつないで経営するうちに、本来の生産性向上の努力を怠って、単なる低賃金による価格競争に埋没していった。
今回の新型コロナ感染症の拡大によって、海外からの渡航や、国内からの帰省も不自由になって、多くの海外実習生を悲惨な状況においてしまった。
今は我慢を強いることで、一時帰省もしないで頑張ってもらえるが、コロナ感染流行が緩和した段階では、この非人道的な制度は批判にさらされる。
人手不足を理由に海外実習生に依存している経営は、すぐにでも人手不足になって、事業に支障をきたすであろう。
技能実習は、新興国に対する経済支援であるのが本来で、低賃金労働者の供給システムとして利用するのは、大きな誤りである。
コロナ禍において、問題点が明らかになった機会に、この悪弊を捨て去って、技能実習生制度を、本来のあるべき形に改革するべきだ。
人手不足を対策するなら、地方経済を支える、定住者の転入を促す制度を拡充して、将来を展望できる賃金を保証し、実勢に応じて賃上げをする。
この機会に転換できなければ、地方経済は停滞したままで、悪弊に染まった安易な人手依存に埋没してしまうであろう。