庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

グローバル経済の自由化は節度を管理できることが必須だ。

2017-04-17 | 経済問題

1990年代から、共産圏のソ連の崩壊によって世界中が共通の市場に変化し始める時代に移行した。

これをグローバル化する世界の始まりとするは妥当だが、グローバル経済の進展が世界を安定させるとは限らない。

各国の政治体制も大きく異なる段階で、経済だけを共通の市場化する政策を進める事は性急すぎて、現実の世界には不適格であろう。

モノの移動の自由化も、各国の経済水準が大きく違う上に、政治体制の違いを考慮しないで、自由貿易の原則を共通にするのは、大きな誤りである。

 

金融の自由化は、投資資金が不足している国にとっては、資金需要が旺盛である上に、為替レートの変動によって、適切な資金の移動量が調整されている。

資金が過剰で投資需要が不足している国では、為替レートが下落する流れになって、輸出競争力が向上する仕組みになる。

その国が得意とする商品を輸出競争力の向上で増加させる力が働き、新規の投資も増えるので、後進国、発展途上国にとっては、仕事が増える調整が進む。

グローバル化の流れで、各国の資金の移動が自由化される事は、先進国にとっても余剰資金の活用が可能になり、途上国にとっても産業育成と雇用増加に良い。

1990年代のグローバル化は資金の効率的な移動が、全体を裕福な状態に進めた。

 

しかし、その次のモノの移動の自由化を、急速に推し進める動きは、先進国の「製造業にとっては悪夢の時代」につながっている。

急速に発展した途上国にとっては、製造が容易にできる商品の工場を、先進国の技術をそのままに利用できるので、効率的に商品製造ができる。

しかも、経済発展が未熟な段階であるから、賃金労働の需要が少なく、労働者の供給は無限に近い。

労働市場が健全になる前に、低賃金労働が横行して、労働ダンピングの状況になるから、先進国の労働者の職場を奪い、賃金の引き下げに影響する。

その結果は、先進国の労働者の消費購買力を減少させるので、需要不足現象を引き起こして景気後退を招く。

 

先進国では、この需要不足と景気後退のために、財政出動をして景気刺激策を講じて、政府の財政負担が過大になって、軒並みに財政赤字が増大する。

結局の所、この財政赤字の圧迫が、労働者の福祉政策を後退させて、先進国労働者の将来不安を招くので、【モノの移動の自由化を性急に進める事の弊害】の方がおおきくなってしまう。

それでも、急激に進めてきた圧力は、先進国での余剰資金の投資先を新興国に向ける「国際的な金融資本家」と、「国際化された民間大企業」の必要性からだ。

節度のない自由化は、【大多数の労働者を不幸】にして、富裕層を富ませるだけだ。

それは【先進国では収入格差の拡大】を生み、社会を不安定にしただけである。