中国やインドのような最大の人口の国では、まだ「生活水準は最低限」の近い人たちが大量に労働者の予備軍として控えている。
そのような国では、大量生産品の技術を導入すれば、安価な労働力は無制限に供給されるので、同じような業種を先進国で維持することは、不可能である。
アメリカのトランプ大統領のように、中国製の【大量普及商品の輸入に大幅な関税を課す】としても、その程度では、輸入は止まらないであろう。
何しろ、アメリカ人の給与水準は、中国の4倍以上、インドの10倍以上であるから、一時的に輸入制限をしても、焼け石に水の感がある。
日本のように品質や価値観で、差別化するしか、先進国の製造業は生き残っていけない運命にある。
日本は、とうの昔から「品質に関する厳しい消費者意識」が効果的で、生活水準が最低限度の人たちを除いて、9割以上の国民は、高い品質を要求する。
100円ショップのような「使い捨て感覚の商品類は、中国製を買う」かもしれないが、大事に使う商品類は、品質の良い『日本製の品質の良い商品』を買う。
アメリカ人のような品質には無頓着の国民から、中国製を差別化する意識は生まれないであろう。
食料品の分野でも、「中国製は環境基準がゆるい」国柄もあって、安全性の高い食品とはみなされない。
味覚の点でも、日本人は子供頃から味覚を磨く環境で育つので、大人になってからも、「ジャンクフードは常用しない」国民性だ。
そのような国民の特質を活かして、地方の特産品や食品、地域独特の工芸品など、数えきれないほどの、上質の商品が提供されている。
これらの中から、世界にも通用するようは「高付加価値の商品」「高級な味覚の食品」が、次々と開発されている。
地方の自治体も、やっと、安物嗜好から解放されて、今や地域の特産品にちからをいれる自治体が、成功事例をたくさん生み出している。
政府が主導した「特産品奨励策」も、地域発の創造的な商品を生み出すように、わき役に徹することが大事になった。
以前からある特産品を製造する技術を、次の世代が引き継いで「新たな価値の地域商品を生み出す成功事例が、見え始めている。
大掛かりなイノベーションばかりが「経済成長の手法」ではない時代になった。
むしろ、大掛かりの事業は、【成功すると海外に展開】してしまうので、「日本経済の成長に貢献する」ことは、短期間になってしまう。
小規模のイノベーションで、地域の人の力が不可欠の「高付加価値商品」の方が、長期にわたって、地域経済を助け、日本経済への貢献ができる。
【大きいことはいいことだの時代】は過去で、継続できることが大事である。(続)