庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

経済再生に向けての方針が迷走したままの安部政権。

2017-04-21 | 経済問題

安部政権は日本の「経済再生が最も重要な政策課題」で、経済成長政策を戦略的に実施すると宣言してきた。

しかし、「アベノミクス第3の矢」と豪語してきた経済再生が、方向がぐらついて迷走し始めているのに、その見直しもせずに、惰性で政権運営をしている。

円安誘導により一時的な輸出増加の恩恵はあったが、長期的な課題の次世代産業育成は、成果を挙げ始めたとは言い難い。

特にエネルギー産業の分野では、鳴り物入りで進めてきた「原発の輸出」の案件は、東芝の不祥事とウエスチングハウス社の大赤字の倒産で、完全に破綻した。

 

国内での【原発の新規建設】は、2011年3月の大事故発生時点で、早期に中断すべきであるのに、宙ぶらりんの状態に投げ出したままである。

また、温暖化対策に逆行する「石炭火力発電所の新規建設」の方針を掲げて、「石炭業界と発電業界におもねっている」体たらくぶりであった。

ここにきて、世界の情勢は昨年の「パリ協定の発効」のよって、石炭火力発電所の閉鎖の動きが、当然の流れに転換してきた。

途上国では、石炭火力発電依存は、しばらくは継続するにしても、先進国こそは「脱石炭火力」の方向に転換している。

 

イギリスでは2025年までに、現在12箇所の石炭火力発電所を全面閉鎖すると発表して、一部は「バイオマス発電所に改造」する検討を進めている。

フランスでは、炭酸ガスの回収装置(CCS)をつけない「石炭火力発電所」の輸出支援を停止すると公表した。

ドイツでは、【褐炭使用の石炭火力発電所】を、5箇所の操業停止とし、石炭への依存度を低下させる方針と発表した。

日本だけは、安部政権の旧産業保護政策優先主義で、旧時代の技術のままの「石炭火力発電所の新規建設」を経済成長戦略の、重要な位置ずけにしたままである。

こんな状態では、政府がいくら新規建設を言い出してハッパをかけても、関係する民間企業の意欲が活性化するはずがないのだ。

 

世界の将来の潮流に乗っていかない民間企業は、いつかは座礁資産を抱えることになって、東芝のように経営が大きく傾く原因にもなる。

予想されたことだが、ここに来て「民間企業の方針転換」の動きが始まっている。

今年1月には、兵庫県赤穂市の関西電力の火力発電所を、石炭に切り替える計画が中止に追い込まれた。

さらに3月には、千葉県市原市における石炭火力発電所新設計画が中止された。

4月には大阪市の相生発電所の燃料を石炭に転換する計画をやめて、バイオマス発電事業に変更する事業を公表した。

この様に、日本政府が進めようとしている旧時代産業擁護の政策は、民間企業ではもう愛想をつかされて、エネルギー政策は迷走する無残な状況である。(続)