日本はデフレ経済に停滞してから、25年近くに達しているのに、未だに経済成長への足がかりは作れないでいる。
デフレの原因の最たるものは、「経済のグローバル化」に対応する国策を誤ったことで明確である。
貿易の自由化を進めれば、世界の「低賃金国での生産が有利」になるのは、火を見るよりも明らかである。
それを、対抗する手段を、国内企業での製造企業の「価格競争力と維持する」との名目で、賃上げを抑制した。
さらに、非正規雇用の人たちを、低賃金のままに4割にも増やし続けた。
これで、国内の消費購買力が落ちないはずはないのに、財政出動による公共投資での景気下支えを続けて、失業率の低下だけの維持は実行した。
しかし、公共事業の財源は【国債の無節操な発行増加】と、【消費税増税による低所得者への負担増加】であった。
このどちらも、長期的には消費購買力を引き下げる方向に働き、経済の原理どうりに【消費不足経済に低迷】したのである。
経済学者でなくても、分かりきったことなのに、20年以上も通用してきた。
アベノミクスで始めた「超金融緩和政策」は、市場にお金を潤沢に供給すれば、企業が借り入れを増やして、市場への投資を活発にするはずであった。
しかし市場経済が低迷して、消費購買力が低まる流れでは、働く人の給与増加に結びつくはずはなく、実質賃金は低下し続けている。
安部政権は、2年以上も経ってからやっと、正規従業員のベースアップを、鳴り物入りで民間企業に働きかけたが、3年足らずで息切れした。
非正規雇用社員の給与増加には、机上論の「同一労働同一賃金」のお題目を唱えるだけで、いつになったら、賃金の大幅引き上げが実現するか、全く見えない。
日銀のインフレターゲット政策は、とっくに破綻しているというのに、「国債発行の負担を減らす低金利誘導政策」にすり替えて、未だに固執している。
それでも、超金融緩和を続けることで、円高への抑止ができて、いっときの安らぎを貪っている「日本のエリート層」の怠惰ぶりである。
アメリカでは、エリート層の欺瞞ぶりに怒りを爆発させた庶民層が、とにかく、アメリカ国内に雇用を取り戻すと政権公約したトランプ氏を当選させた。
民主党の大統領候補選挙でも、エリート層の欺瞞ぶりを批判した「サンダースを支持した民主党員」が、過半数に迫る勢いであった。
新自由主義経済、無制限なグローバル化の方向と自由貿易礼賛には、過半数以上の庶民が反乱を起こす寸前である。
それでも、日本のエリート層は、金融緩和によるいっときのぬるま湯に浸って、日本の将来を真剣に考えることすら逃げてしまっている。安部政権の罪だ。(続)